社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.02.12

外国人が不思議がる「日本人独特な仕草」5選

 よくお辞儀をする、笑う時に口元を隠す、電車で寝る……日本人なら当たり前の光景ですが、外国人から見ると不思議で、奇妙に感じることもあるようです。「日本人らしくてよい」と好意的に受け止められることもありますが、中には「かえって心配」「世界では通用しない」と思われるものも。

 今回は、外国人には不思議に見える日本人独特の仕草や、日本人ならではの行為についてご紹介します。

その1「しょっちゅうお辞儀・会釈する」

 とにかく日本人は「よくお辞儀をする」と言われています。挨拶する時、人とすれ違う時、扉を開ける時、はたまた電話をしている間でさえ、まるでそこに相手がいるかのようにお辞儀をする光景は、外国人にとっては不思議で仕方ないようです。

 お辞儀という行為はもともと中国から、仏教が伝来したタイミングで伝わったとされます。しかし中国ではお辞儀は「最敬礼」の意味が強く、日本ほどポピュラーな行為ではありません。

 海外でももちろん挨拶はしますが、お辞儀よりも「握手」が一般的。海外で握手は相手に敵意を持っていないこと、あるいは親愛の情を示すものですが、日本人の挨拶は相手への敬意やねぎらいの意味合いが強いとされています。

 また食事をする時の「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶も、外国人はとても驚きます。海外ではそういった食事前後の挨拶に対応する言葉や文化がないところがほとんどで、食事が並べられたら何も言わずに食べ始めます。

その2「見える場所に貴重品を置く」

 たとえばカフェやレストランが混雑している時、用を足すために席を立つ時など、席を確保しておくために荷物を置くことが多いでしょう。この時、バッグやスマホを机の上に置く人も多いかもしれませんが、外国人からすると「あまりに不用心」と思われています。

 海外の国では、スリや置き引きは日常茶飯事。中でも駅やレストラン、観光スポットといった人の多い場所は特に注意しなければならず、貴重品から数秒目を離しただけで被害に遭うこともしばしば。ましてや机の上に貴重品を置きっぱなしにするなど「盗んでください」と言っているようなもので、考えられないことなのです。

 机の上の荷物だけでなく、カバンを開けっぱなしにして歩く、ズボンのポケットに財布を入れて持ち歩くというのも、海外では不用心な行為です。筆者の友人の中にも、ズボンのポケットに財布を入れたままイタリアの空港を下り、ものの数分でスられた人がいました。海外での貴重品の取り扱いは、十分に注意が必要です。

その3「道ばたに酔っ払いが寝ている」

 海外でも夜の街での飲酒は普通のことですが、ベロベロになるまで酔っ払うということはまずありません。ましてや泥酔状態のまま、公衆の面前で寝てしまうというのは海外ではありえない光景。盗難や事故に遭いかねず、危険極まりないからです。もちろん日本人からしても、酔っ払いが路上で寝ているのを見ていい気分はしないのですが……。

 しかし外国人が驚くのは、日本人は誰かが酔い潰れていても荷物を盗んでいかないばかりか「酔っ払いを気遣うことがある」という点。心配そうに声をかけたり、飲み物をそっと置いていってあげたり、寝ている人の周りにカラーコーンを置いて車への注意喚起をしたり……と、無関心のようでいて、実は気にかけていたりするんですね。

 こうした光景はたびたびSNSに上がり「日本はなんて優しい国なんだ」「助けてくれた人は天使だね」と称賛コメントであふれます。

 似たようなことで「電車やバスで居眠り」というのも、外国人から見ると心がざわつく行為。あまりに悪目立ちするし、無防備すぎると感じられるのです。「日本人は疲れすぎ」「働き過ぎなのでは」と、体調を心配する意見も……。

その4「断る時に顔の前で手を振る」

 私たちは何かに対して断る時、違うことを伝える時は、顔の前で手を振ります。しかしこれは海外では通じないジェスチャー。むしろ「お前はバカか?」「頭大丈夫か?」といった、相手を侮辱する意味につながってしまい、使うのは危険です。海外では断る、違うと伝えたい時は、言葉で「NO」と言うだけでOKです。

 また日本人がよくする「ピースサイン」も、海外の多くの国では相手を見下し、侮辱するジェスチャー。そのため、外国人は日本人がカメラの前でピースサインをしているのを見ると奇怪に感じるようです。

その5「笑う時、口元を隠す」

 日本の女性は口を開けて笑ったり、話したりすることに抵抗を感じる人が多く、おしゃべり中も頻繁に口元を隠す仕草をすることが多いですよね。大口を開けることははしたない、下品だという印象があるからでしょう。

 しかし外国人から見ると口元を隠すというのは「隠し事がある」という仕草に見えて、とても気になるそうです。

 我々日本人は、コミュニケーションを取る時は主に「目」を見て相手と意思疎通を図りますが、外国人は主に「口元」を見て相手の表情を読み取ろうとします。そのため、口元を隠す=心を閉ざすという意味につながると考えられます。

逆に日本人が驚く、外国人がする仕草

 最後に、我々日本人からすると不思議に感じる「外国人の仕草」もご紹介しましょう。

【手招き】
 手指を上から下へふる、手招き。日本では「こっちへおいで」の意味ですが、欧米圏では「あっちへ行け」というまったく逆の意味となります。欧米で「こっちへおいで」のサインは、手を上向きにし、指を下から上へふります。映画のワンシーンでよく見るジェスチャーですね。

【手のひらを下向きにし、ヒラヒラと動かす】
 「So-so」と言いながら、下向きにした手のひらをヒラヒラと動かす仕草。これは「まあまあかな」ということを示すジェスチャーで、比較的頻繁に使われます。

【中指と人差し指を重ねる】
 相手に向かって両手の中指、人差し指をバツのように重ねるこのジェスチャーはフィンガーズ・クロスといい、十字架を表します。これは「成功するといいね!」「健闘を祈る!」といった、相手への激励を示す仕草。日本人が「がんばれ!」と言いながらガッツポースするようなイメージです。ちなみにベトナムでは卑猥な言葉につながるそうなので、注意しましょう。

 こんなにも違いがある、日本と海外の仕草。同じ形でも海外では意味が全く異なるものもあることには重々気をつけつつ、意味を理解しておきましょうね。

<参考サイト>
・海外で不思議がられる、日本人っぽい仕草や考え方8選(TABIZINE)
https://tabizine.jp/2019/03/26/246951/
・日本の挨拶の習慣と起源。その他各国の挨拶は?(にほんご日和)
https://haa.athuman.com/media/japanese/culture/1477/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?

平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?

平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想

平和は、いかにすれば実現できるのか――古今東西さまざまに議論されてきた。リアリズム、強力な世界政府、国家連合・連邦制、国連主義……。さまざまな構想が生み出されてきたが、ここで考えなければならないのは「平和」だけで良...
収録日:2025/08/02
追加日:2025/12/08
川出良枝
東京大学名誉教授 放送大学教養学部教授
2

布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方

布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方

熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方

眠る環境は各家庭の状況や個人の好みによって大きく異なるが、一般的に「良い睡眠」のために望ましい環境はどのようなものだろうか。布団や枕などの寝具、エアコンなどの室温コントロールを含めた寝室の環境、また寝つきの良く...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/12/07
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
3

『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり

『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり

葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道

役者絵からキャリアを始め、西洋の画法を取り入れながら読本の挿絵を大ヒットさせた葛飾北斎。その後、北斎が描いていった『北斎漫画』や浮世絵などの数々は、海外に衝撃を与えてファンを広げるほどのものになっていく。60代は...
収録日:2025/10/29
追加日:2025/12/06
堀口茉純
歴史作家 江戸風俗研究家
4

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景

チベット、内モンゴル、新疆ウイグルなど、少数民族に対する深刻な人権侵害をめぐって欧米諸国から強い批判を浴びている中国。しかし、こうした人権問題は今に始まったことではない。中華人民共和国建国の経緯と中国共産党の思...
収録日:2021/10/15
追加日:2021/12/24
橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授
5

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授