社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
子どもが愚行…親への賠償額は●●●万円!?
子ども(未成年者)が愚行を冒し損害賠償が生じた場合、未成年者を監督する義務を負う者(親権者である親が多いため、以下「親」)が法的責任を負うことになります。
では具体的に、子どもが何歳になるまで親は責任を負うことになるのでしょうか。また、損害賠償が生じた場合、親が支払う賠償額はどれぐらいとなるのでしょうか。
【子どもの年齢に応じた民法での子ども/親の賠償責任有無の対応目安】
「子どもが12歳未満」子ども×(民法712条)/親◯(民法714条)
「子どもが13~14歳」子ども◯(民法709条)/親◯(民法709条)
「子どもが15歳以上」子ども◯(民法709条)/親×(監督責任なし)*
※◯=責任あり、×責任なし。()内は根拠となる民法の条数。
*ただし、無免許運転やその他犯罪などの重大な事故・事件では、子どもが17~18歳でも親の責任を認める場合が多い。
その場合、民法714条(責任無能力者の監督義務者等の責任)1項では、親が子どもによる行動の結果について法的責任を負うこととしています。ただし、親の責任が発生するためには、(1)当該責任無能力者(未成年者)の行為が、責任能力以外の不法行為の要件を満たすこと、(2)監督義務を怠らなかったこと、または監督義務を怠らなくてもその損害が発生したことの証明がないこと――、とした要件が定められています。
つまり、あくまで民法での解釈、とくに民法709条(不法行為による損害賠償)における一般不法行為の適用の場合となりますが、(1)親に監督義務違反が認められ、かつ(2)同義務違反が不法行為上の義務違反と評価でき、加えて(3)同義務違反と損害との間に因果関係が認められる場合――、親にも責任が発生すると考えられているようです。
例えば、11歳の子どもの火遊びで死者が出た火災では、監督義務を怠ったとして、親に3160万円の賠償命令が出ています。一方で、11歳の子どもが蹴ったサッカーボールを避けたことによる死亡事件では、親が監督義務を怠らなかったとして、最高裁では一審と二審で命じられた親への1千万円超の賠償命令を破棄し、請求を棄却しています。
さらに現代では、子どもによる愚行としてSNS等での迷惑行為の拡散による事件が社会問題となっていますが、現状では、15歳以上~18歳未満の子どもが親のあずかり知らぬ所で発信した場合、親への損害賠償請求は難しい場合が多いと言わざるを得ないようです。
時代にあった法改正とともに、社会変化に応じた愚行を起こさせないための教育が求められています。
では具体的に、子どもが何歳になるまで親は責任を負うことになるのでしょうか。また、損害賠償が生じた場合、親が支払う賠償額はどれぐらいとなるのでしょうか。
子どもの年齢と親の賠償責任有無の対応目安
まずは、子どもの年齢に応じた親の責任有無と根拠法をみてみましょう。2023年2月現在、民法での子どもの年齢に応じた子どもと親の責任有無の目安は、以下のようになっています。【子どもの年齢に応じた民法での子ども/親の賠償責任有無の対応目安】
「子どもが12歳未満」子ども×(民法712条)/親◯(民法714条)
「子どもが13~14歳」子ども◯(民法709条)/親◯(民法709条)
「子どもが15歳以上」子ども◯(民法709条)/親×(監督責任なし)*
※◯=責任あり、×責任なし。()内は根拠となる民法の条数。
*ただし、無免許運転やその他犯罪などの重大な事故・事件では、子どもが17~18歳でも親の責任を認める場合が多い。
監督義務を怠った親の賠償額は3160万円!…しかし
親の責任有無の根拠法には、民法が挙げられます。そして、民法712条(責任能力)では、子どもに“責任能力がない場合”には、子ども自身は何らの法律上の責任を負わないと定められています。その場合、民法714条(責任無能力者の監督義務者等の責任)1項では、親が子どもによる行動の結果について法的責任を負うこととしています。ただし、親の責任が発生するためには、(1)当該責任無能力者(未成年者)の行為が、責任能力以外の不法行為の要件を満たすこと、(2)監督義務を怠らなかったこと、または監督義務を怠らなくてもその損害が発生したことの証明がないこと――、とした要件が定められています。
つまり、あくまで民法での解釈、とくに民法709条(不法行為による損害賠償)における一般不法行為の適用の場合となりますが、(1)親に監督義務違反が認められ、かつ(2)同義務違反が不法行為上の義務違反と評価でき、加えて(3)同義務違反と損害との間に因果関係が認められる場合――、親にも責任が発生すると考えられているようです。
例えば、11歳の子どもの火遊びで死者が出た火災では、監督義務を怠ったとして、親に3160万円の賠償命令が出ています。一方で、11歳の子どもが蹴ったサッカーボールを避けたことによる死亡事件では、親が監督義務を怠らなかったとして、最高裁では一審と二審で命じられた親への1千万円超の賠償命令を破棄し、請求を棄却しています。
子どもの愚行、親への損害賠償請求は難しい
以上から、内容によるものの、15歳以上の子どもが愚行を冒した場合、損害責任を親に請求することは法的には難しいこと。また、愚行を冒した子どもが14歳未満であったとしても、親の監督義務や損害と因果関係などの証明が難しい場合、親への賠償額は発生しないことも多々あることなどがうかがえます。さらに現代では、子どもによる愚行としてSNS等での迷惑行為の拡散による事件が社会問題となっていますが、現状では、15歳以上~18歳未満の子どもが親のあずかり知らぬ所で発信した場合、親への損害賠償請求は難しい場合が多いと言わざるを得ないようです。
時代にあった法改正とともに、社会変化に応じた愚行を起こさせないための教育が求められています。
<参考サイト>
・民法 - e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
・子どもの火遊びで2人死亡火災、母親に3160万円賠償命令…親の監督責任重く│読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210929-OYT1T50101/
・子供の蹴ったボールで事故、親の責任認めず 最高裁│日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG09H81_Z00C15A4CC1000/
・【子供と親権者の賠償責任(責任弁識能力の有無による違い,監督責任)】│弁護士法人みずほ中央法律事務所
https://www.mc-law.jp/kotujiko/1048/
・未成年の子どもが犯罪を! 親の責任は? 損害賠償は誰が応じるべきか│弁護士法人VERYBEST
https://fukuoka.vbest.jp/columns/criminal/g_young/1105/
・民法 - e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
・子どもの火遊びで2人死亡火災、母親に3160万円賠償命令…親の監督責任重く│読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210929-OYT1T50101/
・子供の蹴ったボールで事故、親の責任認めず 最高裁│日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG09H81_Z00C15A4CC1000/
・【子供と親権者の賠償責任(責任弁識能力の有無による違い,監督責任)】│弁護士法人みずほ中央法律事務所
https://www.mc-law.jp/kotujiko/1048/
・未成年の子どもが犯罪を! 親の責任は? 損害賠償は誰が応じるべきか│弁護士法人VERYBEST
https://fukuoka.vbest.jp/columns/criminal/g_young/1105/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
今や世界共通の喫緊の課題となっている地球温暖化。さらに、日本国内の上下水道など、インフラの問題も、これから大きな問題になっていく。地球環境からインフラまで、「持続可能」な未来をどうつくっていくのかについて、「水...
収録日:2024/09/14
追加日:2025/03/06
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
アメリカでは再びトランプ氏が大統領に就任し、アメリカ・ファーストのもと大型関税に舵を切る一方、中国は過剰な輸出体制を取っている。加えて、気候変動を踏まえたサステナビリティの議論も進むグローバル環境において、日本...
収録日:2025/01/17
追加日:2025/03/04
大奥のはじまり…春日局を悩ませた徳川家光の衆道好き
江戸時代を支えた大奥(1)生活空間としての大奥の確立
テレビドラマなどでも題材になることが多い大奥だが、その実態は、作品世界で描かれるような世界とは少し違っているようだ。社交や儀式の場となる「表」に対して、プライベートな空間として区切られた「奥」という空間。その最...
収録日:2023/08/21
追加日:2023/10/15
なぜ銀行が国債を買うとお金の総量が増えるのか
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(2)お金の総量と国債…残念なブタ積み
社会に流通するお金の総量を司っているのは日本銀行券を発行する日銀だと、一般には思われているかもしれない。しかし、日銀がお金を生み出すその量はあくまで受動的に決定されており、その増減の鍵を握るのは人々の需要と民間...
収録日:2024/12/04
追加日:2025/03/01
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
日進月歩の進化を遂げている生成AIは、私たちの生活や仕事の欠かせないパートナーになりつつある。企業における生成AI技術の利用に焦点をあてる今シリーズ。まずは世界的な生成AIの導入事情から、日本の現在地を確認しよう。(...
収録日:2024/11/05
追加日:2024/12/24