テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.06.21

白バイ以外にも!黒バイ、赤バイ…知っていますか?

 「働くバイクといえば何色?」と問われたとしたら、あなたは何色のバイクを思い浮かべるでしょうか。多くの人が「白色のバイク」、つまり「白バイ」を思い浮かべるのではないでしょうか。

 しかし、白バイ以外にも、全国各地ではいろいろな「色」の働くバイクが活躍しています。今回は、白バイの歴史、そして他の色の働くバイクを見ていきたいと思います。

最初は「赤バイ」だった?「白バイ」の歴史

 1918(大正7)年、自動車の普及による交通事故増加対策のための交通取り締まりを目的に、全国で初めて警察用のオートバイが警視庁で採用されました。

 ちなみに、このときのバイクの車体カラーは赤色(あずき色)でした。赤色の採用理由は、当時は赤色の自動車が少なく、目立つ色だったからです。そのため、当時は「赤バイ」と通称されていました。

 しかし、自動車に赤色が増えてきたため、1936(昭和11)年、車体カラーを白とした、白バイとなりました。白色の採用理由は、欧米各国の白バイにならったこと、パトカーと同色にすることで親しみをもたせたなどが挙げられていいますが、やはり白色が目立つ色であったことが大きいといわれています。

 なお現在は、白バイは法律により緊急自動車とされているため、法律で白色と定められています。

 白バイは、赤色回転灯、サイレン、特殊速度計、拡声器など交通取締り用の各種機器を備え、速度違反など道路交通法上の違反行為の取締りから、外国要人の警備、マラソン大会の先導など、いろいろな場面で活躍しています。

消防や災害時に活躍する「赤バイ」

 白バイの前身ではない、現在「赤バイ」と呼ばれる働くバイクは、消防署の緊急車両として採用されています。消防関係の車両は法律で赤色を用いるように定められているため、消防車と同様に、車体カラーは赤色です。

 赤バイは2台1組で運用されていますが、それぞれで搭載されている装備が異なることが特徴です。1台には消火器などの消火用の装備が、もう1台には簡易救助器具や後部資器材収納ボックスなどが搭載されています。

 火災や災害が発生した際、赤バイは機動性を生かして現場に先着し、いち早く消化活動や救助活動に対応します。

ひったくり犯対策に特化した「青バイ」

 「青バイ」と呼ばれる働くバイクは、大阪府警がひったくり発生件数の増加対策として結成したバイク部隊「大阪スカイブルー隊」が乗っているバイクの通称です。

 青を基調とした車体カラーに、白バイのようなサイレン、赤色回転灯、ボックス、アンテナなどを装備し、ひったくり犯の検挙や逮捕、ひったくり防止のための繁華街のパトロールなどの任務にあたっています。

 青バイは、ひったくり事件の発生件数が20年以上も全国ワースト1位だった大阪が、1997(平成9)年に導入しました。青バイの活躍もあってか、大阪でのひったくり事件発生は、2010(平成22)年には35年ぶりに全国ワースト1を脱出し、ひったくり件数も激減しています。

暴走族やローリング族を取り締まる「黒バイ」

 「黒バイ」と呼ばれる働くバイクは、2002(平成14)年から和歌山県警察・暴走族対策本部で活躍している、覆面二輪車(バイク)「黒豹」の別名です。

 「黒豹」(黒バイ)は、暴走族やローリング族(車体を左右に傾けたり蛇行したり、高速走行など危険運転をする集団)を取り締まるために結成された部隊が乗るバイクです。部隊は、基本的に夜に活動することから、気づかれないように車体カラーも運転する隊員の制服も黒に統一されています。

 また、黒バイ独自の装備として、前方には追跡中の車両を撮影するためのカメラが取り付けられているほか、追跡対象に向けて発射するペイントガンが搭載されています。暴走族等の悪質違反者の徹底取締りおいて、大きな成果を挙げています。

首都高の事故対応部隊「黄バイ」

 「黄バイ」と呼ばれると呼ばれる働くバイク隊は、首都高で起きた事故現場へいち早く急行し、事故現場での通行止めや車両誘導などを行うために導入されました。

 車体カラーは黄色で、白バイのようなサイレン、赤色回転灯のほか、車体後方にある収納ボックスに交通整理などで使用される発煙筒、救急セットなどが装備されています。

 なお、黄バイク隊は、警察や消防などの公的機関の管轄ではなく、民間企業の首都高パトロール株式会社が管理しています。

 いかがでしたでしょうか。多色多様な働くバイク、ぜひ注目してみてください。

<参考文献・参考サイト>
・『よくわかる警察』(倉科孝靖監修、PHP研究所)
・警察の乗り物 - 愛知県
https://www.pref.aichi.jp/police/syokai/kids/qa/norimono.html
・スカイブルー隊/大阪府警本部
https://www.police.pref.osaka.lg.jp/sogo/oshirase/4/4/1/7/7942.html
・WAKAYAMA PREFECTURAL POLICE 2023
https://www.police.pref.wakayama.lg.jp/05_kenkei/wakayamanokeisatsu/documents/pamphlet2023.pdf
・バイク隊|事業紹介 - 首都高パトロール株式会社
https://www.shutopato.co.jp/business/motorcycle/
・元々「赤バイ」だった!? 白バイの誕生 - CarMe
https://car-me.jp/articles/8371
・白バイそっくりな「黒バイ」「黄バイ」って何だ!? 機動力を生かして活動をする「色」んな働くバイクたち - モーサイ
https://mc-web.jp/life/zatsuneta/58419/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(2)「夜の街」新宿の原点

歌舞伎町を筆頭に、東京でも有数の繁華街を持つ新宿だが、その礎は江戸時代の内藤新宿にあった。遊女が働く飯盛旅籠(めしもりはたご)によって、安価に遊興できる庶民の「夜の街」として栄えた内藤新宿の様子を、『江戸名所図...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/28
堀口茉純
歴史作家
2

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者
3

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(3)電力の部分最適と全体最適

サステナブルな電力の供給と消費が求められる現代社会。太陽光発電のように電力の生産拠点が多元化する中で、それぞれの電力需給と国全体の電力需給のバランス調整が喫緊の課題となっている。実はヨーロッパなどの「再エネ比率...
収録日:2024/02/07
追加日:2024/04/27
岡本浩
東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長執行役員最高技術責任者
4

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授