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DATE/ 2024.04.26

「新紙幣」になると昔のお金は使えなくなる?

 2024年7月3日に紙幣が新しくなりました。偽造防止のための定期的な改刷ですが、今回新しくなるのは一万円、五千円、千円の3券種。これらは新たな偽造防止技術が施された新紙幣に替わります。では、これまで使用されてきた紙幣はどうなるのでしょうか。そのまま使用できるのでしょうか。

新しい紙幣はどういうものか

 まず新紙幣がどういうものなのか見てみましょう。新紙幣は改刷のたびに肖像画も変わります。今回のお札の顔となるのは、一万円札が日本近代社会の礎となった実業家「渋沢栄一」、五千円札が女性教育を行いその地位向上に尽力した「津田梅子」、千円札が破傷風の予防や治療法を確立した近代医学の父「北里柴三郎」です。

 また新たな紙幣には最新の偽造防止技術が組み込まれます。たとえば、お札を傾けると左右の余白がピンク色になったり、特殊発行インキにより紫外線をあてると一部が発光したりします。またインクを高く盛り上げる「深凹版印刷」や、従来のものよりも高精細な「すき入れ」があるなどさまざまな工夫があります。さらに今回特に興味深いところは、最新の3Dホログラムが組み込まれている点かもしれません。これにより見る角度によって肖像が立体的に回転します。

古い紙幣は使えるのか

 今の紙幣は発行停止とはなりますが、もちろんそのまま使えます。またこれまで発行された旧紙幣に関しても、使用期限といったものは設定されていません。法的な措置がとられていない限り、そのまま使うことができます。ただしこれまで発行された紙幣53種類のうち、実際に法的措置が取られて通用力がなくなった紙幣は31種類あります。法的措置の理由は、関東大震災後時に発行された兌換券(だかんけん)の整理のため(1927年)、終戦直後のインフレ対策(1946年)、少額通貨の整理(1953年)の3つがあるようです。ということで現在、実際に使用可能なお札は22種類となっています。

 古い紙幣には、たとえば千円札の肖像画で言えば、夏目漱石(昭和59年(1984年)発行)、その前は伊藤博文(昭和38年(1963年)発行)といったものがあります。さらにもう一つ前の千円札は聖徳太子(昭和25年(1950年)発行)の肖像画だったようです。聖徳太子は他にも昭和33年(1958年)発行の1万円札や昭和32年発行の五千円札、昭和21年(1946年)発行の百円券など、何度か採用されています。これらの紙幣は現在でも額面通りそのままの通貨として利用可能です。

 ただし古い紙幣の場合、機械が対応していなかったり偽札を警戒されてレジで受け取ってもらえなかったりする可能性はあります。こういった場合、銀行に持っていけば額面通りで現在の紙幣に無料で交換してもらうことが可能です。一方で現在一般に流通していない紙幣には、希少価値がついている場合もあります。この場合、ものによっては額面以上の価値となることもあるので、買取業者などに鑑定してもらうのも一手かもしれません。

<参考>
2024年7月3日 お札が変わります|新しい日本銀行券特設サイト(国立印刷局)
https://www.npb.go.jp/ja/n_banknote/index.html
新しい一万円札について|新しい日本銀行券特設サイト(国立印刷局)
https://www.npb.go.jp/ja/n_banknote/design10/
昔のお金は使えますか│財務省
https://www.mof.go.jp/faq/currency/07ad.htm
これまでに発行されたお札のうち、現在使えるお札はどれですか? 古いお札を持っていますが、現在も使えますか?│日本銀行
https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/money/c07.htm
その他有効な銀行券・貨幣│日本銀行
https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/valid/past_issue/index.htm
裏面の印刷を省いた 日本銀行兌換券(だかんけん) 乙200円|お札と切手の博物館
https://www.npb.go.jp/ja/museum/tenji/gallery/urajiro.html
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一般社団法人 次世代基盤政策研究所(NFI)所長・代表理事