テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.06.24

曖昧になりがち?おさらいしたい交通ルール

 はじめは気をつけていたことでも、時間が経つとだんだん気が緩んでいくのは人間の常です。物事によってはそれでも問題はないこともありますが、こと交通ルールに至っては大きな問題です。また場合によっては、取り返しのつかない事故につながることもあります。ここでいくつか大事なポイントを再確認しておきましょう。以下の見出しはそれぞれ、基本的にやってはいけない行為と言えます。

サンダル・ヒール・スリッパなどでの運転

 ヒールなど踵の高い靴で運転するとブレーキやアクセルの操作に支障をきたします。またすぐに脱げてしまうようなサンダルも要注意です。咄嗟の動きが必要な事態になったとき、ヒールが引っかかったり、サンダルが脱げたりすると、すぐにブレーキが踏めないリスクがあります。またもし踏めたとしても必要な強さで踏みこむことができないかもしれません。

 これらは特に道路交通法で禁止されているわけでないですが、各都道府県などの自治体が道路交通施行細則でルールを定めています。具体的に見てみると、東京都や神奈川県では、げた、スリッパ、木製サンダルなど、脱げやすいものや靴底が厚かったり、滑りやすかったりするようなものなど形状から運転に支障をきたす可能性のある履物は、取り締まりの対象となっています。

対向車がいる状況でのハイビーム走行

 夜間で歩行者や対向車のいないような場所での走行はハイビームが基本です。ただし、道路交通法第52条第2項では、「車両等が、夜間、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。」とされています。つまり、対向車がいるときには「ロービーム」に切り替える必要があります。

 同様に交通量の多い市街地などでもロービームに切り替えます。またハイビームは遠くの歩行者を見つけるには有効ですが、近くに歩行者がいる場合、その視界を遮ることになります。特に歩道と車道がしっかりわかれていないような道ではより危険かもしれません。歩行者が近くにいる際にはロービームにする配慮も必要です。

エンジンをつけたまま離れる

 エンジンをつけたまま車を離れる行為は、道路交通法第71条5で「車両等を離れるときは、その原動機を止め、完全にブレーキをかける等当該車両等が停止の状態を保つため必要な措置を講ずること。」とされています。また、道路交通法71条5の2では「自動車又は原動機付自転車を離れるときは、その車両の装置に応じ、その車両が他人に無断で運転されることがないようにするため必要な措置を講ずること」と記されています。

 つまり、車が勝手に動かないようにすること、また他人が勝手に運転できない状態にすることは、道路交通法においてはドライバーの責任に帰するのです。ちょっとトイレ、ちょっとコンビニ、ちょっと自販機、といったときであっても必ずエンジンを切った上で、車をロックする必要があると言えます。

挨拶でクラクションを鳴らす

 クラクションについては道路交通法第54条の第2項によると「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。」とされています。

 法律上、クラクションを使用できる場面は、「見通しのきかない交差点や、道路の曲がり角」、「危険を防止するためやむを得ない場合」、「『警音鳴らせ』の道路標識等により指定された場所」の3つのみです。スピードの遅い車や青になっても進まない車にクラクションを鳴らして知らせるのは、実はNGです。また挨拶やお礼でのクラクションも基本的には違反です。

「歩行者に水をはねる」「横断歩道に人がいても止まらない」などなど

 ほかにも「歩行者に水や泥を跳ねてしまう」「横断歩道に人がいても止まらない」「高速道路でのガス欠を起こす」「ヘッドレストを外して走行する」「ランプが切れた状態で走行する」「追い越し車線を走り続ける」「必要な車間距離をとらない」「運転中にゴミをポイ捨てする」といった行為は違反です。これらのルールは、歩行者や他の自動車への配慮という意味合いだけでなく、自身が大怪我を負わないためのものでもあります。

 細かいものであっても交通ルールはドライバーも歩行者も、生活するあらゆる人間が安全に暮らすために必要なものです。この先は、AIや通信技術が進歩し、自動運転などももっと普及するでしょう。そうなれば交通ルールに変更が加わる部分は多分にあると思われます。しかしルールは必ずその必要性があって決められています。交通ルールがあるところには、なにかしらの危険があるのだという意識は持っておきましょう。

<参考サイト>
サンダルでの運転は交通違反になる?|ZURICH
https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-driving-shoes/
ハイビームの上手な活用で夜間の歩行者事故防止|警察庁
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/highbeam.html
クラクションの正しい使い方とは?鳴らすべき場所やルールについて|大人の自動車保険
https://www.ins-saison.co.jp/otona/oshiete/car/sound-horn.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者
2

イーロン・マスクと対立…ChatGPT大ブームまでの紆余曲折

イーロン・マスクと対立…ChatGPT大ブームまでの紆余曲折

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(2)ChatGPT開発秘話

仕事をはじめさまざまな生活シーンで多様な役割をこなすチャットボットとなった「ChatGPT」。OpenAIが公開したこのサービスが世界中を驚かせるまでには、その創業に携わったサム・アルトマンとイーロン・マスクの対立など紆余曲...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/26
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
3

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運と歴史~人は運で決まるか(2)運に恵まれるにはどうすればいいか

普通の人間の「運」については、どう考えればいいのだろうか。例えば、日本において消費文化が花開いた江戸時代、11代将軍・徳川家斉の治世には、庶民が「運がめぐってこない」ことを皮肉った狂詩があった。運には「めぐりあわ...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/25
山内昌之
東京大学名誉教授
4

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

起業の極意!サム・アルトマンと松下幸之助

編集部ラジオ2024:4月24日(水)

ChatGPTを開発したことで一躍有名となったOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの発展によって社会は大きく、急速に変化しており、その中心的な人物こそが彼であるといっても過言ではありません。

そんなアルトマンが...
収録日:2024/04/15
追加日:2024/04/24
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア