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DATE/ 2015.09.30

カラーラン 最もハッピーな5km

 空前のランニングブームの中、タイムを競わない新しいスタイルが生まれてきている。中でも注目を集めているのが、色とりどりの粉まみれになる「カラーラン」だ。白いシャツを着て、頭からつまさきまで七色に染められて楽しむ、そんなランニングイベントに魅入られるランナーが続出しているのだ。

 「カラーラン」は2011年にアメリカで創設され、「地球上で最もハッピーな5km」がコンセプト。カラーパウダーを浴びせられるカラーゾーンがコース内に数か所設置され、ゴールする頃にはシャツだけでなく髪の毛も肌も様々な色にまみれることになる。14年までに世界中で200万人以上が参加するビッグイベントへと成長した。

 「カラーラン」という名称は商標登録されているため、日本国内では「THE COLOR RUN JAPAN」しか使えないが、カラーパウダーを浴びながら走るというコンセプトで行われるランニングイベントとして「Color Me Rad」も双璧。9月26日に「Color Me Rad HOKKAIDO」が北海道石狩市で行われたばかりだ。

 カラーパウダーはコーンスターチと食用の着色料で作られているため人体には無害。参加者に聞いてみると、「シャツにどんどん色がつくのが楽しい」「真っ白い紙に好きな色で塗っていいよと言われたような感じ」。普段汚さないようにしているものを遠慮なく染める快感を得られるという点では、日本各地で行われているどろんこレースや、子供の頃にしたどろんこあそびに通じる考え方があるかもしれない。

 タイムを競うことが目的ではなく、とにかく楽しむことがコンセプトなので順位や記録の測定はしない。ファッションを披露するかのようにゴール後にどんな色に染まっているか見せあうのも楽しみどころの1つで、従来ランニングイベントに参加しなかった層も引き付けている。フルマラソンの完走者は女性の比率が約20%だが、「カラーラン」系のイベントは女性が男性を上回ることも多いという。

  「THE COLOR RUN」は10月17日に大阪で、「Color Me Rad」は10月3日に富山、10月24日に宮崎と全国各地で開催される。まだ具体的な日程は発表されていないものの、中部地方、沖縄でも「Color Me Rad」が行われる予定。

 他にも楽しむことに主眼を置いたランニングイベントが花盛りで、泡まみれになって走るバブルランや光や音を浴びて走るエレクトリックラン、モンスター役と人間役に分かれて追いかけっこしながら走るモンスターナイトラン、給水所にスイーツが用意されているスイーツマラソンなど枚挙に暇がない。健康に良い、気軽に始められるということで巻き起こったランニングブームは、従来なかった市場にまで広がり新たな局面に入っているとも言えるだろう。
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公益財団法人東洋文庫研究員