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DATE/ 2023.07.24

ハトは地面をつついて何をしているのか?

 市街地の公園、住宅街、農耕地など、私たちが生活するさまざまなところで目にするハト。その姿をよく見ていると、エサはなさそうなのに、くちばしで地面をつついてる姿を目にすることがあります。地面をつつくハトは、いったい何をしているのでしょうか? 私たちには見えないエサを食べているのか、それとも違う何かをついばんでいるのか……その疑問について調べてみました。

ハトは何を食べるのか

 街中でよく見かけるとはいえ、ハトの生態についてあまりよく知らないという人も多いでしょう。日本には市街地でよくみるドバトの他にも、キジバトなど数種類のハトが生息しています。種類は違えども、基本的には植物の種や木の実、豆類や穀類など、山や森林にある食べ物を主食としています。

 しかし、植物性のものだけしか食べられないわけではなく、市街地にいるハトは人間が道端に落とした食べこぼしをおもなエサにしています。ハトは非常に目が良いため、私たちが肉眼では確認できない細かいエサも見つけ、地面に落ちたエサをついばんでいるのです。何もない地面をついばんでいるハトはこうしたエサを食べているというのが、ひとつの答えになります。

ついばんでいるのはエサだけではない

 ただし、地面をついばんでエサを食べているだけではありません。ハトは、なんと小石をついばんでいることもあるのです。というのも、鳥は食べ物を口に入れても噛むことができないため、小石を飲み込んで胃の中で食べ物をすりつぶして消化する、という習性を持っているのです。ハト以外にスズメも同様の習性を持っているので、鳥としては珍しいことではありませんが、知らないと少し驚いてしまいますよね。

市街地にハトが増えているワケ

 ハトの生態は分かったものの、もともとは農耕地にいたハトがなぜ人間が生活する市街地に増えているのでしょうか。それは、天敵がいないこと、上記のように人間の食べこぼし=エサが豊富であることなどが理由となります。

 ハトの天敵は猫やカラス、猛禽類のタカ、ワシ、フクロウ、他にはイタチ、ヘビなどが挙げられます。猫やカラスは街中にもいるものの、市街地にいればその他の動物と出くわす確率は下がるため、天敵に襲われるリスクも下がります。また、人間が落とす食べこぼしは、ハトにとって塩分も油分も多いため、決してハトの体に良いエサとはいえません。しかし、食糧を安全に得られるという大きなメリットから、ハトの方が食生活を合わせて変化させているとも考えられています。

 こうして都市に住み着いたハトは、一年中繁殖ができる鳥なので、その数はどんどん増えています。ハトのフンが車や洗濯物を汚したり、害虫の発生源になったり、病気を運んできたり、私たちの生活にさまざまな被害を与えることがあります。こうしたハトの被害を少なくするためにも、安易にエサを与えたりしないようにしましょう。

<参考サイト>
・地面をついばんでいる鳩は何を食べているのか? 衝撃の事実が判明│産経新聞
https://www.sankei.com/article/20160424-SPNB6XGMBBLIXOQZPN2SG7XOZI/
・気になる鳩の食事について│Inspirate合同会社
https://inspirate37.com/%E9%B3%A9%E3%82%88%E3%81%91%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/6786/
・鳩の餌や食べ物を理解し、効率よく鳩対策しよう!今すぐできる注意点
│鳩110番
https://www.hatotaisaku-a.com/news/post40683.php
・ハトの習性と生態を知ろう ハトの一日に密着! | 鳥害タイムズ | エドバンコーポレーション
https://www.advan-group.co.jp/times/hato_syusei_seitai/
・スズメやハトが明らかに何もない場所でついばんでいるけど、一体何を食べてるの?|読むらじる。|NHKラジオ らじる★らじる
https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/kodomoq/sFLnePiouJ.html
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授