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アフリカの国境はなぜ直線が多いのか
アフリカの地図を見てみると、国境が直線になっているところが多いことに気づきます。ほかの大陸の国の国境と見比べるとどうしても特異に見えますが、これらはアフリカの国々が決めたことではありません。
国境に直線が多い理由には、アフリカの悲しい歴史が深く関わっています。
【自然的国境】
自然の地形をもとにした国境です。山を利用した「山岳国境」、海を利用した「海洋国境」、川や湖を利用した「河川湖沼国境」の3つがあり、日本を含む世界の多くの国が採用しています。地形に沿っているため、国境線はうねうねと不規則な形をしています。
自然的国境は、視覚的にも“国ざかい”という意識が働きやすく極めて自然な分け方ではありますが、あまりに隔たりがあると国が閉鎖的になりやすい、隣国どうしの交流がしづらいなどの欠点があります。また日本のように「海洋国境」を持つ国では、海上に分かりやすい境界線がないため、海洋資源や領土をめぐって隣国との衝突リスクを常にはらんでいます。
【人為的国境】
地形に関係なく、人が意図的に引いた国境です。緯線・経線で分けた「数理的国境」のほか、ベルリンの壁のように軍事的側面から外国人の立ち入りを拒む「障壁国境」、文化・宗教の違いからそれぞれの言語圏・文化圏に沿って定めた「文化国境」があります。
現在ある人為的国境のほとんどが「数理的国境」で、アフリカの国々のほか、アメリカとカナダ、アメリカとメキシコの国境がこれにあたります。緯線・経線をもとにしているために形状は直線的なのが特徴で、近代に生まれた比較的新しい国に多い事例です。
【未確定国境線】
国同士の事情からはっきりと国境が定められていない場合、あるいは暫定的に国境としている場合があります。地図上で「破線」などで記されているのがそれで、これを未確定国境線といいます。インド、パキスタン、中国が領有を主張しあうカシミール地方はその典型例です。
しかし19世紀頃、大航海時代を迎えたヨーロッパの列強諸国が、新天地を求めアフリカに手を伸ばしたことで様相は一変します。列強諸国はアフリカ大陸を「無主の地」と決めつけ、我先にと土地の奪い合いを始めたのです。
そしてアメリカを含むヨーロッパの主要国14か国が集まったベルリン会議にて、それぞれの「取り分」が決められました。彼らはアフリカ先住民族たちの生活圏についてはまったく考慮せず、緯度・経度でざっくりと分けた「数理的国境」でアフリカ大陸を分割。植民地化してしまいました。
こうして列強諸国によって一方的に決められた人為的国境によって、「国境なき」アフリカの姿は失われました。同じ民族であるのに違う国の国民として分けられたり、また敵対している民族同士が同じ国民となったりと、非常にいびつな状態にさせられてしまったのです。
民族の分断は軋轢を生み、紛争が起きるきっかけをつくりました。各国が独立したあとも争いの火種はくすぶり続け、国境もそのまま残されました。そのため、アフリカの国境は直線だらけなのです。
アフリカの国々で今も貧困と戦争によって苦しむ人々が多いのは、侵略者による身勝手な人為的国境が遠因となっていることは紛れもない事実。直線状の国境は、アフリカの国々が受けた目に見えない深い傷跡でもあるのです。
自然的国境は一見、境目として理にかなってはいるのですが、国境付近に豊富な資源があると、両国が占有権を主張しあってどうしても争いに発展しやすくなるのが難点で、決して万能ではありません。そうした意味では、双方の合意に基づくのであれば、かえって人為的国境のほうが自然的国境よりも適している場合があります。
アフリカと同じく人為的国境を有するアメリカとカナダの場合、北緯49度線に沿って国境を定めています。もともとアメリカ大陸は平地だらけで境目に適した山々や川が少ないというのもありますが、アメリカとカナダ(と、北アメリカの一部を領有していたイギリス)の間でのべ50年以上にわたり議論され、解決に至ったのです。時に武力衝突の危険もありましたが、比較的平和裏に人為的国境が決められた良い事例といえるでしょう。
国境に直線が多い理由には、アフリカの悲しい歴史が深く関わっています。
そもそも国境はどう決まる?
国境は大きく分けて「自然的国境」「人為的国境」の2種類と、国境がはっきりと定められていない「未確定国境線」があります。【自然的国境】
自然の地形をもとにした国境です。山を利用した「山岳国境」、海を利用した「海洋国境」、川や湖を利用した「河川湖沼国境」の3つがあり、日本を含む世界の多くの国が採用しています。地形に沿っているため、国境線はうねうねと不規則な形をしています。
自然的国境は、視覚的にも“国ざかい”という意識が働きやすく極めて自然な分け方ではありますが、あまりに隔たりがあると国が閉鎖的になりやすい、隣国どうしの交流がしづらいなどの欠点があります。また日本のように「海洋国境」を持つ国では、海上に分かりやすい境界線がないため、海洋資源や領土をめぐって隣国との衝突リスクを常にはらんでいます。
【人為的国境】
地形に関係なく、人が意図的に引いた国境です。緯線・経線で分けた「数理的国境」のほか、ベルリンの壁のように軍事的側面から外国人の立ち入りを拒む「障壁国境」、文化・宗教の違いからそれぞれの言語圏・文化圏に沿って定めた「文化国境」があります。
現在ある人為的国境のほとんどが「数理的国境」で、アフリカの国々のほか、アメリカとカナダ、アメリカとメキシコの国境がこれにあたります。緯線・経線をもとにしているために形状は直線的なのが特徴で、近代に生まれた比較的新しい国に多い事例です。
【未確定国境線】
国同士の事情からはっきりと国境が定められていない場合、あるいは暫定的に国境としている場合があります。地図上で「破線」などで記されているのがそれで、これを未確定国境線といいます。インド、パキスタン、中国が領有を主張しあうカシミール地方はその典型例です。
アフリカにはもともと「国境」はなかった
アフリカ大陸にはもともと多様な民族が共生し、それぞれが先祖代々、独自の文化を守りながら生活をしていました。民族のトップたる族長や王はいましたが、彼らの使命は土地を守るというよりも民族の生活と秩序を守ること。中には定住せず、遊牧を行いながら生活を営む民族もいました。そもそも「国境」という概念がなかったのです。しかし19世紀頃、大航海時代を迎えたヨーロッパの列強諸国が、新天地を求めアフリカに手を伸ばしたことで様相は一変します。列強諸国はアフリカ大陸を「無主の地」と決めつけ、我先にと土地の奪い合いを始めたのです。
そしてアメリカを含むヨーロッパの主要国14か国が集まったベルリン会議にて、それぞれの「取り分」が決められました。彼らはアフリカ先住民族たちの生活圏についてはまったく考慮せず、緯度・経度でざっくりと分けた「数理的国境」でアフリカ大陸を分割。植民地化してしまいました。
こうして列強諸国によって一方的に決められた人為的国境によって、「国境なき」アフリカの姿は失われました。同じ民族であるのに違う国の国民として分けられたり、また敵対している民族同士が同じ国民となったりと、非常にいびつな状態にさせられてしまったのです。
民族の分断は軋轢を生み、紛争が起きるきっかけをつくりました。各国が独立したあとも争いの火種はくすぶり続け、国境もそのまま残されました。そのため、アフリカの国境は直線だらけなのです。
アフリカの国々で今も貧困と戦争によって苦しむ人々が多いのは、侵略者による身勝手な人為的国境が遠因となっていることは紛れもない事実。直線状の国境は、アフリカの国々が受けた目に見えない深い傷跡でもあるのです。
平和的に解決した人為的国境の例
人間の愚かしい意図が垣間見える人為的国境ですが、完全に悪とは言いきれない部分もあります。自然的国境は一見、境目として理にかなってはいるのですが、国境付近に豊富な資源があると、両国が占有権を主張しあってどうしても争いに発展しやすくなるのが難点で、決して万能ではありません。そうした意味では、双方の合意に基づくのであれば、かえって人為的国境のほうが自然的国境よりも適している場合があります。
アフリカと同じく人為的国境を有するアメリカとカナダの場合、北緯49度線に沿って国境を定めています。もともとアメリカ大陸は平地だらけで境目に適した山々や川が少ないというのもありますが、アメリカとカナダ(と、北アメリカの一部を領有していたイギリス)の間でのべ50年以上にわたり議論され、解決に至ったのです。時に武力衝突の危険もありましたが、比較的平和裏に人為的国境が決められた良い事例といえるでしょう。
<参考サイト>
・【世界の諸地域】 アフリカの国境線がまっすぐな理由(ベネッセ)
https://benesse.jp/teikitest/chu/social/social/c00687.html
・アフリカ諸国の国境に直線が多いのはどうして?(名城大学)
https://www.meijo-u.ac.jp/admissions/pamphlet/pdf/2021/human_human_2021.pdf
・【世界の諸地域】 アフリカの国境線がまっすぐな理由(ベネッセ)
https://benesse.jp/teikitest/chu/social/social/c00687.html
・アフリカ諸国の国境に直線が多いのはどうして?(名城大学)
https://www.meijo-u.ac.jp/admissions/pamphlet/pdf/2021/human_human_2021.pdf
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