社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.07.31

これはNG!バイクの違法カスタムとは

 バイクの楽しみは、乗ることだけでなくカスタムすることにもあります。さまざまなパーツを見比べたり、自分だけのバイクにしていったりする感覚は楽しいですが、やり過ぎれば「不正改造」とみなされることもあるようです。また、もし違法となってしまうと代償はそれなりに大きいです。ではどこからが違法なのでしょうか。

マフラーの騒音基準

 マフラーをカスタムする人は多いかもしれません。マフラーのカスタムで違法となる最大のポイントは音量です。測定方法はいくつかありますが、特に重視されるのは「近接騒音測定」と呼ばれる方法で測定されるものです。車検でもこの方法で測定され、それぞれ排気量に応じた基準があります。この基準は数年ごとに変更されてきます。たとえば2014年(平成26年)以降に製造されたバイクではこの測定方法において、原付は79dB以下、125cc以下(第二種原付)は85dB、250cc以下(軽二輪)以上では89dB(それぞれさらに経年劣化などを踏まえて+5dBまで)といったルールになっています。

 また、2016年10月以降に製造されたバイクや、カスタムしたマフラーでは、基準に適合していることを表すJMCA(全国二輪車用品連合会)のマークやEマークがついたものを使用しなければなりません。他にも、排ガスに関する規制もあります。ただし、こういったルールは、製造されたタイミングによって内容が異なります。新しい基準はそれ以降に製造されたものに対して有効で、遡って適用されることはありません。

ハンドル、ウィンカー、ヘッドライト、ナンバープレート

 ハンドルは規定値に対して幅はプラスマイナス2cm、高さについてはプラスマイナス4cmの範囲内である必要があります。またウィンカーは「オレンジ色、10w以上60W以下、照明部の面積7平方cm以上」といったことに加えて、角度や点滅数、ウィンカー同士の距離など細かく数値で決められています。ただし、Eマークが付いていればこの基準の限りではないようです。また、ヘッドライトの色温度は3500kから6000kの範囲内と定められており、1998年4月以降に製造された車種に関しては、常時点灯していなければなりません。

 ナンバープレートの位置をカスタマイズすることもあるでしょう。こちらのルールは2021年10月1日以降、より厳しくなっています。まずプレートは、覆ったりフレームをつけたりしてはなりません。また折り返したり、上下逆さにしたりするのもNG。他にもボトルカバーの大きさや上下角度といったところでも決まりがあります。なかなか細かいところまで決められている印象です。

違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

 もし「不正改造」とされた場合、道路運送車両法第54条に関連した違反となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。なかなか重い罪だといえるでしょう。また本人が改造したかどうかは問題とはなりません。ショップや知り合いに依頼して結果的にルールを越えた場合であっても罪は同様です。もし「不正改造」したとみなされる状態で公道を走った場合、整備命令を受けます。この命令を受けると15日以内に整備し直して運輸支局に車両を提示する必要があります。もし整備命令を無視すれば、ナンバープレートなどが没収され、場合によっては50万円以下の罰金が科されることになります。

<参考サイト>
自動車の不正改造|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha/tenkenseibi/huseikaizou/h2/h2-3/
前面ガラス等への装飾板の装着 「法令」|国土交通省
http://www.tenken-seibi.com/husei/kaizou/glass/hourei/index.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
2

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題

保守的な軍国化によって、内戦への機運が高まっているアメリカだが、MAGAと極左という対立図式は表面的なものにすぎない。その根本に横たわっているのは白人とユダヤ人という人種の対立であり、それはカーク暗殺事件によって露...
収録日:2025/09/24
追加日:2025/11/06
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
3

「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの

「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの

徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために

10年の修行で自我を手放し宇宙と一体化する境地に達すると、自分中心からホリスティックな視点に変わり、物事の表と裏の共通点が見えてきて、その本質がつかめるという田口氏。人生は常に新たな命題を解き明かし続ける旅である...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/11/08
4

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

40代前半に訪れる「中年の危機」、鍵は「人生の成長戦略」

40代前半に訪れる「中年の危機」、鍵は「人生の成長戦略」

人生100年時代の「ライフシフト概論」(3)キャリアの危機〈下〉

40代前半で訪れる「中年の危機」を脱するためには、会社中心の人生から「未来は自分で作る」という自分を中心とした人生への意識転換が必要だ。そのためのカギは、「Will・Can・Create」の3つから自分の「人生の成長戦略」を考...
収録日:2022/06/15
追加日:2022/09/24
徳岡晃一郎
株式会社ライフシフト 代表取締役会長CEO 多摩大学大学院名誉教授・特任教授