社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.08.21

日本人が海外でやりがちな「食事のNGマナー」

 ごはんを食べるときにはお茶碗を持つ、出されたものは残さず食べる…など、日本では当たり前の食事マナーですが、国によってはマナー違反にあたるものもあります。長らく自粛していた海外旅行も少しずつしやすくなった今、改めて日本と海外で異なる食事マナーについて知識を身に着けておきましょう。

パスタはフォークだけで食べる(イタリア)

 日本ではパスタを食べるとき、スプーンを使ってフォークにくるくると巻きつけて食べることが多いですよね。しかし、本場イタリアではパスタを食べるときにスプーンは登場しません。積み木崩しのように、一口の量のパスタをフォークで崩して、一口で収まるサイズにまきつけて食べるのが一般的になります。

乾杯のときのグラスは音を立てない(フランス)

 乾杯のときに隣の人とグラスを合わせて音を立てるのが日本では一般的ですが、フランスではNG。ワイングラスは薄張りのものが多く、音をたてるほどの勢いで合わせると割れてしまうこともあるからです。フランスでの乾杯は、相手と視線を合わせて、グラスを片手で持って目線の高さまで掲げる、というのがマナーです。にっこり微笑むとよりスマートになりますよ。

食器は手に持たずに置いて食べる(韓国)

 日本では食器を持って口に近づけて食べるのがマナーとされますが、これをマナー違反とする国は少なくありません。お隣の韓国でもこの作法はNG。そもそも韓国ではステンレスのお皿を使うことも多く、熱くてお皿が持てないため、お皿を持つ文化がないのです。距離的に近くても文化の違いがあるので、旅行の際は気を付けるようにしましょう。

出された料理は全て食べきらずに少し残す(中国)

 出されたものは残さず全部食べるのが日本の食事マナーですが、中国では少し残すのが通例となっています。これは「満足してお腹いっぱいになりました」という感謝の気持ちを表すため。しかし最近では、中国でもSDGsの観点から食べ残しを禁止するようになっています。また、食べきれなかった分は包んで持ち帰りできる文化が根付いているので、中国に行く際は参考にしてください。

食事で使うのは右手だけ(インド)

 インドでは手づかみで料理を食べることがありますが、このとき左手は使ってはいけないというマナーがあります。左手はトイレでお尻を拭くときに使われるため、「不浄の手」といわれています。食事中に使うのはもちろん、人と握手するときや何かものを渡すときも、左手を使うのはタブーとされているので気を付けるのが良いでしょう。

口に運ぶときにフォークを使わない(タイ)

 タイ料理ではフォークとスプーンが出されますが、基本のマナーはスプーンの上に料理を乗せて食べるのが一般的です。フォークはその補助的な役割を果たすのみで、口に運ぶときには使わないので注意するようにしましょう。フォークで食べものを刺して食べるのは子どもだけといわれているため、知らないでやってしまったら少し恥ずかしい思いをしてしまうかもしれません。

オーダーの際に店員に声をかけない(欧米)

 注文が決まったら「すみません」と声をかけるのが日本では一般的ですが、ヨーロッパやアメリカではこの行為はマナー違反になってしまいます。欧米では、たいていテーブルを担当するウェイターは決まっているため、タイミングを見計らってオーダーをとりにきてくれます。オーダーが決まったらメニューを閉じる、少し急いでいるときは目で合図するなど、ウェイターに気づいてもらえるスマートなやり方で意思表示をするようにしましょう。

郷にいれば郷に従え、食事マナーには気をつけよう

 日本には日本の食事マナーがあるように、各国には各国の食事マナーがあります。旅行先での食事は旅の醍醐味のひとつですが、マナーを知らないことでディスコミュニケーションが生まれて嫌な思いをしてしまうこともあるかもしれません。初めての国に行くときには、気持ちよく旅行先の食事を楽しめるように最低限の食事マナーを調べておくのが良いでしょう。

<参考サイト>
・日本の常識 実は世界でマナー違反? | HowTwo (ハウトゥー)
https://howtwo.co.jp/movie/825
・海外で気をつけるべき食事マナー7選 | TABIPPO.NET
https://tabippo.net/world_manner/
・中国人が「食べ残し文化」を見直し、日本の食事に衝撃を受ける理由 | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン
https://diamond.jp/articles/-/246753
・フォークで刺すのはNG!?タイ料理にもある意外な「食べ方マナー」8選 | Precious.jp(プレシャス)
https://precious.jp/articles/-/8146
・日本人が知らずにしている「アメリカの飲食店」で「やってはいけないこと」(安部 かすみ) | マネー現代 | 講談社
https://gendai.media/articles/-/112945
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?

平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?

平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想

平和は、いかにすれば実現できるのか――古今東西さまざまに議論されてきた。リアリズム、強力な世界政府、国家連合・連邦制、国連主義……。さまざまな構想が生み出されてきたが、ここで考えなければならないのは「平和」だけで良...
収録日:2025/08/02
追加日:2025/12/08
川出良枝
東京大学名誉教授 放送大学教養学部教授
2

『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり

『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり

葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道

役者絵からキャリアを始め、西洋の画法を取り入れながら読本の挿絵を大ヒットさせた葛飾北斎。その後、北斎が描いていった『北斎漫画』や浮世絵などの数々は、海外に衝撃を与えてファンを広げるほどのものになっていく。60代は...
収録日:2025/10/29
追加日:2025/12/06
堀口茉純
歴史作家 江戸風俗研究家
3

布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方

布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方

熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方

眠る環境は各家庭の状況や個人の好みによって大きく異なるが、一般的に「良い睡眠」のために望ましい環境はどのようなものだろうか。布団や枕などの寝具、エアコンなどの室温コントロールを含めた寝室の環境、また寝つきの良く...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/12/07
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
4

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景

チベット、内モンゴル、新疆ウイグルなど、少数民族に対する深刻な人権侵害をめぐって欧米諸国から強い批判を浴びている中国。しかし、こうした人権問題は今に始まったことではない。中華人民共和国建国の経緯と中国共産党の思...
収録日:2021/10/15
追加日:2021/12/24
橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授
5

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授