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DATE/ 2015.10.07

マイナンバーで会社に副業がバレる!?

 10月1日に通知が届き、来年1月から施行されるマイナンバー制度。今、会社員の間でまことしやかにささやかれているのが、「マイナンバー制度が始まると、会社に副業がバレてしまう」という噂だ。

 給料が上がらないので、仕方なく副業にはげむ、あるいはこれからはげもうと考えている給与所得者も今の時代には少なくないだろう。

 しかし、最近は減ってきたとは言え、副業禁止規定のある企業はいまだに多い。また、副業禁止ではなくても、給与とは別の収入があると思われてはなんとなく気まずいということもあるだろう。水商売など、副業の内容を問われた時に答えにくいから、隠しておきたいという事情の人もいるかも知れない。


マイナンバー制度で副業が会社に丸見えになるわけではない

 マイナンバーは税の徴収や還付を透明化するための制度である。しかし、透明化するからといって、丸見えになった個人の収入の全貌が、本業の会社に通知されるわけではない。もしそんなことが起こったら、それは重大な個人情報漏えいだ。


副業がバレるきっかけは住民税?

 ではなぜバレるのかというと、住民税の額が会社に通知されるからだ。住民税は住所のある自治体に払うものだが、これは個人の所得に応じてかかるものだ。つまり、所得が多ければ高額、少なければ低額ということ。

 そして、多くの場合、住民税は給料から天引きされている。給与明細を見てみると、「住民税」という項目があるが、それだ。

 天引きして税務署に支払うのは会社だが、払うべき金額を伝えてくるのはもちろん税務署だ。この通知された税額が経理担当者などに見られて、会社から渡している給与から考えると多いと気付かれる可能性がある。

 すると、副収入がある、つまり副業しているんじゃないかなと疑いを抱かれ、その疑いを追及されれば副業がバレてしまうということなのだ。

 税は様々な控除も絡み、それは個人によって違うため、住民税の額がよっぽど多ければ別だが、バレにくいだろうし、仮に疑いをもたれたとしても、そんなしつこく追及するほど面倒な計算や手間を踏む企業が多数派とも考えにくい。よっぽど多ければバレる可能性は高まるだろうが、家計の足しくらいのささやかな額なら微妙だ。バレるかどうかは、ケースバイケースだろう。


マイナンバー導入以前からも、そもそもバレる可能性はあった

 また、ここまで読んで違和感を持った読者もいるかも知れないが、マイナンバーが始まる前でもきっちり申告していれば、住民税の天引き額のズレは生じていたはずなのだ。

 今回の話に限っていうと、マイナンバー制度は、複数個所から給料をもらっていた場合、その突合せが簡単になるということに過ぎない。

 例えば、雇用側が誰にいくら給与を支払ったかをマイナンバー付きできっちり申告する義務が生じるため、なんで企業側から支払ったという記録があるのに、もらった側の確定申告はないんですか? ということになってしまうのだ。

 マイナンバーは副業バレのきっかけを作るものかも知れない。だが、必ず副業をバラすものというわけではけっしてない。マイナンバー導入をきっかけに、いちど自分の税金周りや収入周りを確認してみた方が良いだろう。

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一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授