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DATE/ 2015.10.08

「毛が濃くなってます!」そのウソ?ホント!

 中高年の宿命といえばメタボと薄毛。外見のイメージは他人が気にする以上に自身のメンタルに影響しかねない。中でも、日本の成人男性800万人が頭皮の薄毛脱毛を気にしているというデータもある。

 こうした悩みを背景に、現在、さまざまな育毛剤や育毛法が出回っている。イメージ戦略として、有名人や芸能人を登用したモニター報告なども事欠かない。最近では、東国原英夫氏の「毛が濃くなってます!」というTwitterも話題になったばかりだ。

 しかし、薄毛、脱毛、育毛のモニター商法とその真偽は極めて怪しいといわざるを得ない。男性の心理につけこんだ阿漕(あこぎ)な商法を規正するために、日本皮膚科学会はこうした男性型脱毛症に対して「診療ガイドライン」を作成して主要薬剤の効能をホームページで公表している。

 日本皮膚科学会の推奨は、頭皮の血行促進効果のなる「ミノキシジル」と、原因となる5α-還元酵素の働きを下げる内服薬「フィナステリド」。ポイントは、頭皮の血行促進と、脱毛症の原因となる酵素の働きにあることがわかる。

 成分名だけでは不案内につき、「ロゲイン」「リアップ」と聞けばピンと来る人も多いのではないだろうか、その主成分がミノキシジルになる。一方、フィナステリドは市販される「プロペシア」として知られる。それぞれ、併用が可能だ。

 近年、フィナステリドの特許が切れ、ファイザーがジェネリック医薬品として「フィナステリド錠」を発売。「プロペシア」が独占していた市場も価格競争により、1000円以上安価に入手できるようになってきた。また、原因となる酵素種への対応強化したグラクソ・スミスクライン社の「デュタステリド」という薬剤も承認申請している。

 ミノキシジル系については、効果持続と使いすぎの副作用の多さなどから見直しを検討している向きもある。また、血行促進が脱毛効果を防ぐことへの科学的根拠の検証がなされているようだ。

 決定打となる薬剤はまだなく、個人差とともにどう評価されていくのか気になるところである。東国原英夫氏の「ビタブリッドCヘアー」も同様である。ご自身のケースがそれぞれの生活習慣の環境下、育毛と養毛、脱毛対策、脱毛症治療という、どの段階対策になるのか、慎重に検討されたい。

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一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授