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DATE/ 2023.10.01

人気の「観光列車」おすすめ5選

 新しい旅の形として、今注目を集めているのが観光列車です。観光列車とは「内外装を凝らし、味覚を楽しみながら旅行ができるなど、乗ること自体を目的にした列車」(JTB総合研究所「観光データベース用語集」より)などと定義されており、天気や体力を気にせず、手軽に“旅感”を楽しめるのが特徴となっています。

 今回は初めての方にもおすすめしたい、人気の観光列車の旅を5つ、ご紹介します。

JR東日本「リゾートしらかみ」(五能線 秋田駅~青森駅)

 東北地方の五能線、秋田駅から青森駅の日本海側を走る「リゾートしらかみ」は、全国人気No,1にも選ばれるほど列車ファン、旅ファンから支持されている観光列車です。1990年に前身となる「ノスタルジックビュートレイン」が日本で初めて“観光列車”という呼称を用い、その後「リゾートしらかみ」として人気を博したことから、観光列車ブームの火付け役といわれています。

 人気の秘密は世界遺産・白神山地をはじめとした数々の絶景、そして地元住民による車内イベントを堪能できることです。停車駅ごとに地元住民が乗り込み「なまはげ」や「津軽三味線」といった伝統芸能を披露したり、地元の特産物を紹介したりしてくれるため、列車にいながらにして東北の歴史に触れ、地元の人々との交流が楽しめると評判を呼んでいます。長い歴史と経験から培われたホスピタリティは、他の追随を許しません。

 もちろん、雄大な日本海の景色も大きな見どころ。特に雪に囲まれた真冬の海岸に白波がおしよせるさまは、ほかでは見られない絶景となっています。

近鉄「観光特急しまかぜ」(大阪難波駅ほか~賢島駅)

 2013年の運行開始以来、関西No,1の観光列車として不動の人気を集めているのが「観光特急しまかぜ」です。大阪難波駅、京都駅、近鉄名古屋駅のそれぞれから賢島(かしこじま)駅までの区間で運行されており、伊勢志摩方面の旅程を豊かなものにしてくれます。

 この観光列車最大の特徴が“最高の眺めと座り心地”と評判の座席シート。進行方向の景色を大パノラマで楽しめる最前列の展望車両、掘りごたつ風の座席に靴を脱いで座れる和風個室といった特別席はもちろんですが、通常のひとり用の席でも本革を使った「プレミアムシート」と呼ばれる特別仕様です。前後間隔は125cmとゆったりめで窓も大きく、一人旅でも快適に過ごせます。

 食事が楽しめるカフェ車両は2階建てで、伊勢志摩の絶景を眺めながら「松阪牛カレー」などの地元ならではのメニューが味わえます。

えちごトキめき鉄道「えちごトキめきリゾート 雪月花」(上越妙高駅~糸魚川駅など)

 上越妙高駅から糸魚川駅(妙高高原駅で折り返し)の区間を走る上越地方有数のリゾート列車「雪月花」は、2017年に鉄道車両の新人賞とされる「ローレル賞」を受賞するほど、今人気急上昇中の観光列車です。

 注目すべきは世界的なデザイナーを起用し、細部までこだわりぬいたという列車の内装デザイン。 “all made in NIIGATA”をコンセプトに、調度品は新潟県産のものでそろえ、提供される食事も地元の食材を使い、新潟県出身のシェフや県内の老舗料亭の料理人によるフルコースと、何から何まで新潟づくし。文字通り、旅の“トキめき”を感じさせる工夫が随所にみられます。

 もちろん流れる景色も見応え抜群。座席の手すりにまで大きくとられた車窓は、まるで内と外の境目が感じられないほどダイナミックな絶景を生み出しています。日本海と、日本百名山のひとつ・妙高山といった海と山の景色をいっぺんに楽しめるのもポイントです。

JR四国「伊予灘ものがたり」(JR伊予灘線 松山駅~伊予大須駅など)

 四国を代表する観光列車といえば、愛媛県の海沿いを走る「伊予灘ものがたり」です。

 赤から黄色の落ち着いた色合いの車体が印象的な、レトロモダンな観光列車としてもともと人気でしたが、2022年にリニューアル。1号車の「茜の章」、2号車の「黄金の章」に加え、3号車にはより上質なプライベート空間を追求したスイート席「陽華(はるか)の章」が備わり、いっそう洗練さと豪華さを感じられる車内となっています。

 真新しい車内はもちろんのこと、なんといっても自慢は車窓から見える伊予灘の美しさ。全国でも知られる絶景の秘境駅「下灘駅」では停車し、眼前に広がる海をバックに列車を撮影することができます。

 列車は松山駅から伊予大洲駅、または八幡駅を結ぶ区間を、上下4ルートで運行しています。運行ルートは時間帯ごとに変わるため、それぞれの時間帯で違った景色、食事が楽しめるというのも人気の秘密。モーニング、ランチ、ディナー、そしてアフタヌーンティーと、それぞれ地元のシェフがこだわりの食材で提供しています。

西武鉄道「旅するレストラン 52席の至福」(西武線 西武新宿駅~西武秩父駅)

 首都圏に住んでいて、なかなか遠出はしづらい……という人にオススメなのが、西武鉄道が運営する観光列車「52席の至福」です。区間は西武新宿駅~西武秩父駅。ブランチコースは西武新宿駅発なので非常にアクセスがよく、日帰りで気軽に列車旅を楽しむことができます。

 しかしその気軽さからは想像できないほど、内容はプレミア感満載。秩父鉄道沿いの伝統工芸品や貴重な木材を使用した車内インテリアは世界的建築家・隈研吾氏が手がけたもので、車両ごとに異なるデザインが施されています。そのいずれも秩父の雄大な自然とみごとに調和し、眺めるだけで優雅な気分にひたれます。

 しかし、この列車の最大の魅力は、都内の一流シェフが監修する地元産食材をつかった高級フルコース料理。乗客車両の間にあるオープンキッチンで調理され、一皿一皿、できたてを味わうことができるのです。記念日のためのアニバーサリーケーキの用意もあるので、特別な人と特別な時間を過ごすのにもぴったり。忘れられない一日になるでしょう。

 忙しい日常からしばし離れられる豪華観光列車の旅、皆さんもぜひ体験してみてはいかがでしょうか。

<参考サイト>
・観光列車(日本民営鉄道協会)
https://www.mintetsu.or.jp/knowledge/term/16351.html
・リゾートしらかみ(橅/青池/くまげら)(JR東日本)
https://www.jreast.co.jp/railway/joyful/shirakami.html
・観光特急しまかぜ(近畿日本鉄道)
https://www.kintetsu.co.jp/senden/shimakaze/
・えちごトキめきリゾート 雪月花(えちごトキめき鉄道)
https://www.echigo-tokimeki.co.jp/setsugekka/index.html
・観光列車「伊予灘ものがたり」(JR四国)
https://iyonadamonogatari.com
・西武 旅するレストラン 52席の至福(西武鉄道)
https://www.seiburailway.jp/railways/seibu52-shifuku/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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