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増える「おひとりさま老後」必要な資金とは
		        	    
 65歳以上は高齢者とされますが、この高齢者に占める「一人暮らし」の割合は、令和2年(2020年)の段階で男性は15.0%、女性22.1%となっています。さらに総務省の試算では、令和22年(2040年)には男性20.8%、女性24.5%まで増加するようです。「おひとりさま老後」の場合、一般的に夫婦二人の場合よりも経済的にも厳しい状況になるという話もあります。ここでは、「おひとりさま老後」に必要な資金について考えてみましょう。
つまり支出の合計15.5万円に対して、収入は13.5万円なので、平均で考えると毎月およそ2万円程度は不足することになります。毎月2万円ということは1年で24万円、20年後の85歳までにはおおよそ480万円が基本的な生活上で不足します。さらに、この調査では住居費が占める割合は8.9%(金額では1万3000円程度)です。賃貸で生活する場合は、ここにあと数万円が毎月上乗せされることになります。
他の内訳としては、食料費が最も多く26.2%(3万7000円程度)、次いで交際費が12.5%(1万8000円程度)、水道・光熱費10.3%(1万5000円程度)、交通・通信費が10.2%(1万5000円程度)です。さらにいえば、この計算に含まれているのは生活上のごく基本的なもののみです。比較的大きな出費でありかつ、必要となる可能性が高い「入院・介護費用」「住宅リフォーム代」などは含まれていません。このことから実際にはもっと大きな金額が必要だと考えていいでしょう。ただしあくまで平均なので、住むエリアや年齢によって差異はあります。
年金収入で足りない分をどう補うか。退職金をそれなりにもらった人ならば、ある程度はまかなえるかもしれません。また貯蓄や投資、生活費の節約という手段は早めから行っておきたいところです。あとは退職後も何かしらの「労働」をして稼ぐしかありません。ただし特に「おひとりさま老後」の場合、退職後もあえて「労働」をすることには、経済的な必要性以上の意味があります。
老後に完全に一人になることは認知症のリスクを高めたり、孤独死につながったりするリスクが高くなります。また引きこもれば運動不足になり、自分一人の食事はいい加減になっていきます。いったんこのスパイラルに入ると、状況を好転させるためのハードルはより高くなります。老後の「労働」は、他者とコミュニケーションを取り、社会と接点を持ち続けながら心身の健康を保つことを可能にします。経済的必要性から発するものではありますが、「おひとりさま老後」の人が「老後も働く」ことは、前向きに生きるためには必要なものと捉えてもいいのではないでしょうか。
		        平均値で毎月およそ2万円不足する
総務省統計局の資料「2022年(令和4年) 家計の概要」には、「65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支」が報告されています。これによると、老後の実収入は平均134,915円であるのに対して、支出は消費支出143,139円+非消費支出12,356円となっています。ここでの非消費支出とは「税金や社会保険料など」のことです。つまり支出の合計15.5万円に対して、収入は13.5万円なので、平均で考えると毎月およそ2万円程度は不足することになります。毎月2万円ということは1年で24万円、20年後の85歳までにはおおよそ480万円が基本的な生活上で不足します。さらに、この調査では住居費が占める割合は8.9%(金額では1万3000円程度)です。賃貸で生活する場合は、ここにあと数万円が毎月上乗せされることになります。
他の内訳としては、食料費が最も多く26.2%(3万7000円程度)、次いで交際費が12.5%(1万8000円程度)、水道・光熱費10.3%(1万5000円程度)、交通・通信費が10.2%(1万5000円程度)です。さらにいえば、この計算に含まれているのは生活上のごく基本的なもののみです。比較的大きな出費でありかつ、必要となる可能性が高い「入院・介護費用」「住宅リフォーム代」などは含まれていません。このことから実際にはもっと大きな金額が必要だと考えていいでしょう。ただしあくまで平均なので、住むエリアや年齢によって差異はあります。
投資や節約だけでなく「労働」が大事
先に「65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支」における収入の平均を134,915円と示しましたが、この収入の90%は年金が占めています。2021年(令和3年)において厚生年金保険(第1号)の、65歳以上での平均月額は14万3965円です。男女別では、男性が16万3380円、女性が10万4686円です。厚生年金保険(第1号)とは企業に勤めていた人が該当します。一方国民年金を見ると、平均月額は5万6368円、男女別だと男性5万9013円、女性5万4346円となっています。年金収入で足りない分をどう補うか。退職金をそれなりにもらった人ならば、ある程度はまかなえるかもしれません。また貯蓄や投資、生活費の節約という手段は早めから行っておきたいところです。あとは退職後も何かしらの「労働」をして稼ぐしかありません。ただし特に「おひとりさま老後」の場合、退職後もあえて「労働」をすることには、経済的な必要性以上の意味があります。
老後に完全に一人になることは認知症のリスクを高めたり、孤独死につながったりするリスクが高くなります。また引きこもれば運動不足になり、自分一人の食事はいい加減になっていきます。いったんこのスパイラルに入ると、状況を好転させるためのハードルはより高くなります。老後の「労働」は、他者とコミュニケーションを取り、社会と接点を持ち続けながら心身の健康を保つことを可能にします。経済的必要性から発するものではありますが、「おひとりさま老後」の人が「老後も働く」ことは、前向きに生きるためには必要なものと捉えてもいいのではないでしょうか。
<参考>
1 高齢者の家族と世帯|内閣府
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/zenbun/s1_2_1.html
2022年(令和4年) 家計の概要|総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/kakei/2022np/pdf/summary.pdf
高齢男女をめぐる状況|男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h23/zentai/html/honpen/b1_s05_01.html
令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001027360.pdf
おひとりさまの老後に必要な資金は?平均消費支出の解説や資産を増やす方法│常陽銀行
https://www.joyobank.co.jp/woman/column/201507_04.html
おひとりさまの老後に必要なお金はいくら? 老後資金はどうやってつくればいい?|ファイナンシャルフィールド
https://financial-field.com/oldage/entry-234953
			            
		            1 高齢者の家族と世帯|内閣府
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/zenbun/s1_2_1.html
2022年(令和4年) 家計の概要|総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/kakei/2022np/pdf/summary.pdf
高齢男女をめぐる状況|男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h23/zentai/html/honpen/b1_s05_01.html
令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001027360.pdf
おひとりさまの老後に必要な資金は?平均消費支出の解説や資産を増やす方法│常陽銀行
https://www.joyobank.co.jp/woman/column/201507_04.html
おひとりさまの老後に必要なお金はいくら? 老後資金はどうやってつくればいい?|ファイナンシャルフィールド
https://financial-field.com/oldage/entry-234953
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