テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2024.01.31

足はなぜ臭くなる?臭いやすい人の特徴と対策

周囲も気まずくなってしまう足のニオイ

 帰宅して靴を脱いだら足が臭ってドキッとした……という経験をお持ちの方も、少なくないのではないでしょうか。とはいえ、家で一人のときならニオイに気づいたのは自分だけなのでまだいいかもしれません。出先からオフィスに戻って足を楽にしようと靴を脱いだらニオイが……となったら、周囲に職場の仲間がいるので気が気ではありませんよね。ニオイに気づいた人も指摘しづらいので、気まずい雰囲気になってしまうものです。

 特に近年はニオイに配慮する意識が高まっているので、足のニオイも撲滅したいところですが、あのニオイの正体は何者なのでしょうか。今回は足のニオイの原因と対策を探ってみましょう。

あの嫌なニオイの正体とは?

 足のニオイの主な原因物質は「イソ吉草酸(いそきっそうさん)」といいます。ヨーロッパ産のハーブであるセイヨウカノコソウから発見された吉草酸の一種で、事業などで発生する悪臭を規制する「悪臭防止法」の対象にもなっている不快な臭気の物質です。ただし、少量なら果物のような香りがするので、食品の香りづけなどに利用されています。

 つまりイソ吉草酸が臭ってしまうのは、大量に発生したとき。ただしイソ吉草酸は、もともと人間の皮膚にある物質ではありません。皮膚の常在菌が皮脂や垢などを分解した結果として発生します。

 常在菌は雑菌ともいわれますが、皮膚の健康を保つために不可欠な存在です。しかし、必要以上に増えてしまうとバランスが崩れていろいろな弊害が出てきます。そして足が常日頃置かれている環境は、常在菌が必要以上に活発になってどんどんイソ吉草酸を発生させる状況になりやすいのです。その状況とは以下のようなもの。

・汗をかきやすいのに拭きにくい
 足の裏には汗を分泌する汗腺が集まっており、実は脇の下よりも多いとされます。しかし靴を履いていると汗を拭きにくいため、足はとても蒸れやすい環境になります。汗で湿度が高いうえに体温でほどよく温まっている足は雑菌にとって居心地がよく、イソ吉草酸が大量に発生してニオイが強くなってしまいます。

・構造が複雑で「えさ」がたまりやすい
 足は指や爪があるため入り組んだ形状をしており、皮脂や汗が混ざった垢がたまりやすいです。これに加えて全体重を支える足の裏、特にかかとは角質層が厚くなっているため、はがれた角質もたまりやすいです。このような老廃物は雑菌の大好物。「えさ」をたくさん得た雑菌は、イソ吉草酸をどんどん発生させてしまいます。つまり、次のような人は足が臭いやすいと考えられます。

・通気性の悪い革靴やブーツをよく履いている。
・同じ靴や靴下を長時間履き続けている。
・足の垢や角質をしっかり洗えていない。
・足の爪が伸びたままになっている。
・汗っかきで足の裏も汗が大量に出ている。

足のニオイとさよならするには

 もしも足が臭いやすいタイプだとしても、慌てる必要はありません。仕事で革靴を履かなければならない方や、長時間同じ靴を履かなければならない方はたくさんいらっしゃるでしょう。そのような場合は、足のケアをもう少しだけ念入りにしてみてください。具体的には以下のような点に注意するとよいでしょう。

・足を丁寧に洗う
 足の裏は手が届きにくいこともあり、洗うのが億劫になりがちです。しかし指の間、爪の隙間、かかとなどの汚れをしっかり落とすように心がけてください。足専用の洗浄剤やブラシなどを利用するのもよいでしょう。足を洗ってもニオイが取れなかったり、一時的に消えてもニオイが戻ってしまったりするときは、洗った後にしっかり乾燥させることも意識してください。足が濡れたままだとまた蒸れてしまい、雑菌の繁殖が繰り返されるのです。

・重曹で足を洗う
 足を洗うときに、水で溶いた重曹を利用するのもひとつの手です。重曹は弱アルカリ性なので、酸性のイソ吉草酸を中和する効果が期待できます。さらに、重曹には除菌効果があるので雑菌の繁殖を抑えられる可能性もあります。

・まめに爪を切る
 足の爪と皮膚の隙間には垢がたまりやすいので、こまめに切って清潔を保ちましょう。足の爪が伸びすぎると巻き爪などの原因にもなるので、足の健康のためにぜひ爪を短く整えてください。

・足の風通しをよくする
 仕事中は難しくても、家で過ごすときなどは足を空気に触れさせましょう。可能なら靴下も脱いで素足で過ごすと雑菌が繁殖しにくくなります。

・通気性の高さや抗菌機能に注目する
 靴、靴下、ストッキングなどは通気性が高いものや、抗菌機能があるものを積極的に選ぶようにするとよいでしょう。

 また、白癬菌というカビの一種による感染症、いわゆる水虫にかかると足のニオイが強くなることもあります。水虫は病気なので放置は禁物。ニオイのほかにかゆみや赤みがあるときは、皮膚科を受診してきちんと治療しましょう。足はどうしても臭いやすいので、こまめなケアを忘れずにしてあげてくださいね。

<参考サイト>
・横浜内科・在宅クリニック 足の臭いが洗っても取れないのはなぜ?|内臓が原因?治し方を紹介
https://yokohamanaika-clinic.com/ashi-nioi/
・靴.com 足の臭い対策はどうすれば良い?臭くなる理由と消臭のコツを徹底解説
https://kutsu.com/category/NEWS/WRR_BAD_SMELL_009.html
・藤東クリニック 足が臭いのは病気?足の臭いの原因とケア・予防方法
https://fujito.clinic/column/index.php/2022/08/10/1811/
・eo健康 足が臭うのはなぜ?臭いの原因・予防方法・正しい消臭対策
https://health.eonet.jp/life/4105569.html
・Metoree 【2023年版】吉草酸 メーカー8社一覧
https://metoree.com/categories/7094/
・からだタイムズ 足が臭い原因と対策を解説!洗っても取れない足の臭いを消す方法とは?
https://www.greenhouse.ne.jp/times/body_prevention_foot

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

契機は白村江の戦い…非常時対応の中央集権国家と防人の歌

契機は白村江の戦い…非常時対応の中央集権国家と防人の歌

「集権と分権」から考える日本の核心(2)非常時対応の中央集権と東アジア情勢

律令国家は中国の先進性に倣おうと始まったといわれるが、実際はどうだろうか。当時の日本は白村江の戦いの後、唐と新羅が日本に攻め込むのではないかという危機感から「防人」という徴兵制をつくった。徴兵には戸籍を充実させ...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/08/25
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家
2

「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機

「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機

「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機

混迷を極める現代社会にあって、「学び」の意義はどこにあるのだろうか。次世代にどのような望みをわれわれが与えることができるのか。社会全体の運営を、いかに正しい知識と方針で進めていけるのか。一人ひとりの人生において...
収録日:2025/06/19
追加日:2025/08/13
納富信留
東京大学大学院人文社会系研究科教授
3

カーボンニュートラル達成へ、エネルギー政策の変革は必須

カーボンニュートラル達成へ、エネルギー政策の変革は必須

日本のエネルギー政策大転換は可能か?(3)エネルギー政策大転換への提言

洋上や太陽光を活用した発電の素地がありながらその普及が遅れている日本。その遅れにはどのような要因があるのだろうか。最終話では、送電網の強化など喫緊の課題を取り上げるとともに、エネルギー政策を根本的に変換させる必...
収録日:2025/04/04
追加日:2025/08/24
鈴木達治郎
長崎大学客員教授 NPO法人「ピースデポ」代表
4

同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」

同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」

トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性

トランプ大統領は同盟国の役割を軽視し、むしろ「もっと使うべき手段だ」と考えているようである。そのようななかで、ヨーロッパ諸国も大きく軍事費を増やし、「負担のシフト」ともいうべき事態が起きている。そのなかでアジア...
収録日:2025/06/23
追加日:2025/08/21
佐橋亮
東京大学東洋文化研究所教授
5

ウェルビーイングの危機へ…夜型による若者の幸福度の低下

ウェルビーイングの危機へ…夜型による若者の幸福度の低下

睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(4)社会的時差ボケとメンタルヘルス

社会的時差ボケは、特に若年層にその影響が大きい。それはメンタルヘルスの悪化にもつながり、彼らの幸福度を低下させるため、ウェルビーイングの危機ともいうべき事態を招くことになる。ではどうすればいいのか。欧米で注目さ...
収録日:2025/01/17
追加日:2025/08/23
西多昌規
早稲田大学スポーツ科学学術院教授 早稲田大学睡眠研究所所長