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なぜ増える?話題の「静かな退職」とは
最近しばしば耳にするようになった「静かな退職」(Quiet Quitting)という言葉。これは、仕事にやりがいや成果を追い求めず、最低限求められた業務だけを淡々とこなす働き方のことを指します。単にやる気のない怠惰な姿勢なのではなく、企業に対しては不満も熱意もない人が多いそうです。
2023年11月にインターネットで、全国の20~59歳の正社員男女3000人を対象に実施された調査「マイナビ 正社員のワークライフ・インテグレーション調査2024年版(2023年実績)」によると、約2人に1人が「静かな退職をしている」と感じているという結果に。初めてこの言葉を聞いたという人の中にも「自分も当てはまる」と感じる方が少なくないのではないでしょうか。
1・仕事に対する価値観の変化
働き方改革関連法案等を契機に、時間外労働や長時間労働の制限、休暇取得の基準が改善され、ライフワークバランスの重要性に気づいた人も多いはず。組織でがむしゃらに働き昇給や出世を追い求めるよりも、ストレスなく安定した生活のために働くという価値観が浸透しました。「仕事が生き甲斐」「忙しい自慢」などは古い価値観として、働きやすい環境を重視する人が増えたのも一因です。
2・働き方の多様化
パンデミックで広く導入されるようになったリモート勤務や在宅勤務、また短時間勤務や副業の推奨など、毎日決まったオフィスに通わなくても働けるという選択肢が増えたことにより、自分に合った働き方を優先するようになったことも影響しています。タイムパフォーマンスという意識も高くなり、必要以上に仕事をすることを「ロス」だと感じる若い労働者も増加しています。
3・正当な評価やインセンティブがない
先の調査では、静かな退職をしている意識のある人の約70%が、初めからその働き方をしようと決めていたわけではなく「入社後に変わった」と答えています。熱意を持って入社したものの「頑張っても報われない」「評価基準が曖昧」などの不満から、「静かな退職」へと方向転換したケースも。収入が変わらないのであれば、仕事にやりがいや評価を求めるよりもプライベートを充実させることに価値を見出す人が増えています。
実際に自分は「静かな退職組」だというサラリーマンのお話を伺うと、40代前半の独身男性「最初の就職で過剰労働で心身がボロボロになり、転職したのがきっかけ。給料は少ないけれど、趣味の音楽で副業して楽しく暮らしている」。また元々ワーカーホリック気味だった50代前半の男性は「コロナ入院中に、それまで忙しく読む時間もなかった読書に没頭して自分の時間の大切さに気付いた。責任あるストレスフルな毎日に戻れなくなり、気楽なバックヤードの仕事に異動させてもらった」。メンタルヘルスの問題をきっかけに「静かな退職」にシフトする人も多い印象があります。
【メリット】
・競争やプレッシャーなど、仕事でのストレスが減る。
・ライフワークバランスの整った健康的な生活ができる。
・時間内に業務を終わらせるなど、効率的になる。
【デメリット】
・収入アップは期待できず、経済的な成長は見込めない。
・組織によっては「働かない人」と思われて職場に居づらくなる場合も。
・スキルアップできないため、想定外の倒産、転職、異動などで不利になる。
一方、企業側にとっては「静かな退職」はデメリットの方が多いと考えられます。
【企業のデメリット】
・積極性のない指示待ち社員の影響で社内の士気が下がり、労働生産性が低下する。
・仕事をする人としない人の差が開き、その分仕事量が増えて負担のかかる社員が出る。
・「静かな退職」が増えると組織が活性化せず、優秀な人材が去ってしまう。
働き方は人それぞれです。しかし「静かな退職」をする社員ばかりになってしまった組織の未来には、希望はないと言わざるをえません。そうならないためには、働くことの価値を感じられるシステム、やりがい搾取にならない正当な対価、まずはそのバランスを企業が整えていく必要があるのではないでしょうか。
そして今「静かな退職」に続き、「静かなやりがい(Quiet thriving)」という言葉がじわじわと広がっているようです。仕事にちょっとした変化や工夫を取り入れてモチベーションを上げる「静かなやりがい」は、もしかしたら「静かな退職」を食い止めるスパイスとなるかもしれません。
<参考サイト>
「マイナビ 正社員のワークライフ・インテグレーション調査2024年版(2023年実績)」
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2024/02/dfc70cdce0631d46e8ca6bc13252efc7.pdf
2023年11月にインターネットで、全国の20~59歳の正社員男女3000人を対象に実施された調査「マイナビ 正社員のワークライフ・インテグレーション調査2024年版(2023年実績)」によると、約2人に1人が「静かな退職をしている」と感じているという結果に。初めてこの言葉を聞いたという人の中にも「自分も当てはまる」と感じる方が少なくないのではないでしょうか。
静かな退職が広まった背景、増える理由とは
静かな退職を選択する人が増えた背景には以下のようないくつかの理由が考えられます。1・仕事に対する価値観の変化
働き方改革関連法案等を契機に、時間外労働や長時間労働の制限、休暇取得の基準が改善され、ライフワークバランスの重要性に気づいた人も多いはず。組織でがむしゃらに働き昇給や出世を追い求めるよりも、ストレスなく安定した生活のために働くという価値観が浸透しました。「仕事が生き甲斐」「忙しい自慢」などは古い価値観として、働きやすい環境を重視する人が増えたのも一因です。
2・働き方の多様化
パンデミックで広く導入されるようになったリモート勤務や在宅勤務、また短時間勤務や副業の推奨など、毎日決まったオフィスに通わなくても働けるという選択肢が増えたことにより、自分に合った働き方を優先するようになったことも影響しています。タイムパフォーマンスという意識も高くなり、必要以上に仕事をすることを「ロス」だと感じる若い労働者も増加しています。
3・正当な評価やインセンティブがない
先の調査では、静かな退職をしている意識のある人の約70%が、初めからその働き方をしようと決めていたわけではなく「入社後に変わった」と答えています。熱意を持って入社したものの「頑張っても報われない」「評価基準が曖昧」などの不満から、「静かな退職」へと方向転換したケースも。収入が変わらないのであれば、仕事にやりがいや評価を求めるよりもプライベートを充実させることに価値を見出す人が増えています。
実際に自分は「静かな退職組」だというサラリーマンのお話を伺うと、40代前半の独身男性「最初の就職で過剰労働で心身がボロボロになり、転職したのがきっかけ。給料は少ないけれど、趣味の音楽で副業して楽しく暮らしている」。また元々ワーカーホリック気味だった50代前半の男性は「コロナ入院中に、それまで忙しく読む時間もなかった読書に没頭して自分の時間の大切さに気付いた。責任あるストレスフルな毎日に戻れなくなり、気楽なバックヤードの仕事に異動させてもらった」。メンタルヘルスの問題をきっかけに「静かな退職」にシフトする人も多い印象があります。
静かな退職のメリット、デメリットとは
「静かな退職」は良いとも悪いとも言えるものではありませんが、従業員本人にとって「静かな退職」がもたらすメリットとデメリットには、以下のような点が挙げられます。【メリット】
・競争やプレッシャーなど、仕事でのストレスが減る。
・ライフワークバランスの整った健康的な生活ができる。
・時間内に業務を終わらせるなど、効率的になる。
【デメリット】
・収入アップは期待できず、経済的な成長は見込めない。
・組織によっては「働かない人」と思われて職場に居づらくなる場合も。
・スキルアップできないため、想定外の倒産、転職、異動などで不利になる。
一方、企業側にとっては「静かな退職」はデメリットの方が多いと考えられます。
【企業のデメリット】
・積極性のない指示待ち社員の影響で社内の士気が下がり、労働生産性が低下する。
・仕事をする人としない人の差が開き、その分仕事量が増えて負担のかかる社員が出る。
・「静かな退職」が増えると組織が活性化せず、優秀な人材が去ってしまう。
働き方は人それぞれです。しかし「静かな退職」をする社員ばかりになってしまった組織の未来には、希望はないと言わざるをえません。そうならないためには、働くことの価値を感じられるシステム、やりがい搾取にならない正当な対価、まずはそのバランスを企業が整えていく必要があるのではないでしょうか。
そして今「静かな退職」に続き、「静かなやりがい(Quiet thriving)」という言葉がじわじわと広がっているようです。仕事にちょっとした変化や工夫を取り入れてモチベーションを上げる「静かなやりがい」は、もしかしたら「静かな退職」を食い止めるスパイスとなるかもしれません。
<参考サイト>
「マイナビ 正社員のワークライフ・インテグレーション調査2024年版(2023年実績)」
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2024/02/dfc70cdce0631d46e8ca6bc13252efc7.pdf
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