社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2024.09.20

スマホのカメラレンズはなぜ複数あるのか?

 かつて、旅行やイベントなどちょっとした思い出記録のために単体カメラを携行しましたが、近年、スマートフォン(以下、スマホと略称)のカメラ性能の向上が著しく、一般的な記録はスマホで十分と感じている人は少なくないでしょう。

 近景から遠景、マクロからワイドまで、撮影者のイメージングをカバーするために、スマホのレンズは単眼から複眼がスタンダードとなってきました。

複眼化の理由は

 一眼レフカメラがブームだったころ、高画質で思い出を残そうとするなら、標準レンズ、望遠レンズ、広角レンズ、マクロレンズまで、いくつかの交換レンズを準備したように、スマホでも単眼から複眼へいくつもの光学レンズが組み込まれるようになりました。

 フィルムからデジタルに変わった専用カメラの世界でも、複数の光学レンズを持ち歩かなくてもよいように、一つのレンズで近景から遠景、さらに画角もワイドに変えられるようなズームレンズに集約したモデルも発売されました。

 同じように、スマホに搭載するカメラにも、単眼だった時代には、外装する光学ユニットもいくつか発売されることもありましが、そうした光学ユニットを装着しなくてもよいように、また、アプリでデジタル処理しなくても、高画質であらゆるニーズを満たせるように解決したのが、複眼という方法なのです。

 スマホの薄さと大きさという制約から、一つの光学ユニットで厚みを出すよりは、現状、複数の光学ユニットを並列させることで、高画質化の要件を満たすようにしたというのが、福眼化の理由になります。

高画質で思い出を記録

 APPLE社のiPhoneで映画やCFが撮影されたという話を聞くように、専用デジタルカメラと肩をならべるまでになったスマホは、カメラと編集スタジオが一体化したガジェットに成長しました。携帯電話にカメラを搭載したJ-PHONE(現:ソフトバンク)とシャープの開発を嚆矢として、驚くばかりの進化といってよいでしょう。

 スマホの高額化の傾向に見て取れるように、心配なのがコストになります。高解像の追求は処理すべきデータ量にも比例しています。内部ストレージだけでなく、外部ストレージとしてのクラウドや編集加工のためのアプリのサブスクリプションとして課金されていることも鑑み、消費者としては、スマホ単体だけでなく環境として支払っているコストにも目を配りたいところです。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?

平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?

平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想

平和は、いかにすれば実現できるのか――古今東西さまざまに議論されてきた。リアリズム、強力な世界政府、国家連合・連邦制、国連主義……。さまざまな構想が生み出されてきたが、ここで考えなければならないのは「平和」だけで良...
収録日:2025/08/02
追加日:2025/12/08
川出良枝
東京大学名誉教授 放送大学教養学部教授
2

布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方

布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方

熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方

眠る環境は各家庭の状況や個人の好みによって大きく異なるが、一般的に「良い睡眠」のために望ましい環境はどのようなものだろうか。布団や枕などの寝具、エアコンなどの室温コントロールを含めた寝室の環境、また寝つきの良く...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/12/07
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
3

『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり

『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり

葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道

役者絵からキャリアを始め、西洋の画法を取り入れながら読本の挿絵を大ヒットさせた葛飾北斎。その後、北斎が描いていった『北斎漫画』や浮世絵などの数々は、海外に衝撃を与えてファンを広げるほどのものになっていく。60代は...
収録日:2025/10/29
追加日:2025/12/06
堀口茉純
歴史作家 江戸風俗研究家
4

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性

プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性

プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義

プロジェクトマネジメントが世界的に普及し始めたのは1990年代。ソフトウェア産業の発展とともに拡大を続け、時代のニーズを受けて多くのシーンに定着してきた。今回は、その基本に立ち返り、国際標準をもとに、プロジェクトと...
収録日:2025/09/10
追加日:2025/12/03
大塚有希子
法政大学専門職大学院イノベーションマネジメント研究科准教授