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DATE/ 2015.12.16

機種変更の前に知っておきたい「格安SIM」4つのデメリット

 毎月の通信費はどうにか減らしたいもの。総務省の家計調査によると、2014年時点での携帯電話利用料は、1カ月平均7200円だ。現在はスマホの普及率も上がり、それに伴う利用料もさらに上昇しているだろう。「格安SIM」、「格安スマホ」への移行を検討している人も多いのではないか。

 「格安SIM」は、アンテナや回線網を持たない企業が、大手3社からそれらを借りて運営している。魅力はその利用料の安さだ。ものによっては、毎月1000円を切るプランもある。また、契約期間の縛りも大手ほど厳しくはない。こう書くと良いことづくめだと思うかもしれないが、もちろん格安サービスである以上、ウィークポイントもある。

1.キャリアメールは使えない

 @docomo.ne.jp、@ezweb.ne.jp、@softbank.ne.jpといった、いわゆる大手3社のメールアドレス(キャリアメール)は使用できない。

 Gmailなどのフリーメールを利用すればよいのだが、相手のキャリアメールしか知らず、さらに迷惑メールフィルターでキャリアメール以外は受信をしない、という設定をしている知人がいたら要注意。その知人に携帯の変更を知らせるメールは届かない。また設定によっては、届かなかったというサーバーからの返信が来ない場合もある。


2.LINEは使えるが、IDによる友達追加や検索はできない

 LINEのIDを登録するには、必ず年齢認証のシステムを通らなければならない。このシステムは今のところ、3大キャリアのユーザーページへのログインが必須なのだ。

 また、自分のIDを登録できなければ、IDを検索して知り合いを探し出すこともできない。もちろんこの点は、相手の電話番号を知っていれば問題はない。またQRコードをメールで送信することでも登録は可能だ。しかし、ID検索の手軽さが使えない点は不便と言わざるを得ない。


3.アプリを使わず通話した場合、通話料割引はきかない

 大手3社は同じキャリアであれば通話料が無料になったり、一定の金額を支払えば通話が無料になったりする。しかし、格安SIMを搭載した携帯では、一般の携帯通話回線を使った通話(アプリを使わない通話)をすると、通常の通話料金を払うことになる。

 この点はIP電話回線を利用したり、通話アプリを使ったりすることでカバーできる。また、通話料割引プランを契約時に選べる格安SIM事業者もある。しかし、大手から格安SIMに乗り換えて従来と同じ方法で通話していると、突然何万円もの請求が来ても文句は言えないかもしれない。また、MNPで番号を格安SIMに移した場合にはキャリア間通話割引がなくなることから、自分によく電話をかけてくる相手にも知らせておいた方がよいかと思われる。


4.通信スピードが安定しない、もしくは極端に遅い場合もある

 格安SIM事業者は、大手から借りている通信領域の規模、また利用者数によって、回線スピードが大きく変動する。つまり、他社よりも魅力的なプランを出せば多くの利用者が集まるが、利用者が殺到すればすぐに回線は混雑して遅くなる、という問題がある。

 また、使用するエリアによっても利用者数にばらつきがあり、回線スピードは大きく変化する。こういった点から、契約の際には、どの事業者がよいか、新鮮な情報を多角的に仕入れた方がいいだろう。

 他にもサポートや保証の条件など、細かい注意点はいくつかある。しかし、現在では総務省も音声定額サービスや割安な国際ローミングなど、「格安SIM」、「格安スマホ」でさらに多彩なサービスが提供できるようにするための検討を始めている。今後、格安通信業界が一気に変化する可能性は十分にある。

<参考サイト>
・朝日新聞デジタル 2015年9月14日
(ケータイ料金:1)平均月7200円 それ、割高かも
・日本経済新聞 電子版2015年11月26日 2:00
 格安スマホに音声定額 総務省検討、ドコモなどに対応要請

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