テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.06.09

「写ルンです」30周年!デジカメにはない“味わい”とは?

 修学旅行に行った先で、「あ、枚数切れちゃった、ちょっとカメラ買ってくる」といって自販機に走った記憶はありませんか?

 俗に「使い捨てカメラ」と呼ばれた「写ルンです」は発売以来、手軽さから爆発的にヒットします。かつて観光地には、必ずこの自販機がありました。その後、デジカメが普及したり、携帯電話にカメラが付いたりしたことで、売り上げは徐々に減り、目にする機会はかなり減ったのではないでしょうか。

「写ルンです」とは?

 正式には「レンズ付きフィルム」と呼ばれる、富士フィルム製「写ルンです」の発売が開始されたのは1986(昭和61)年。今からちょうど30年前のことで、カメラというよりも、フィルムにそのままレンズが付いた、という発想でした。

 ジーコジーコとフィルムを1枚分ずつ巻きあげてから、シャッターを押すと、カチャっという軽い音とともに数字が先に進み、撮影した枚数が表示されます。既定の枚数を撮り終わったら、再びダイアルを回してフィルムを巻き終え、写真屋さんなどに持っていって現像してもらうというものでした。

「写ルンです」30周年アニバーサリーキット、只今限定発売中

 実は、「写ルンです」は現在でも発売され続けているロングセラー商品なのです。そして、ちょうどいま、「写ルンです 30周年アニバーサリーキット」が5万本の数量限定で発売されています。ただ、アニバーサリーキットとはいっても、こちらのカメラは現在発売中のシンプルエースという「写ルンです」に初代風着せ替えカバーがついたシンプルなもの(キットには、そのほか「写ルンです」専用のストラップと小冊子も付いています)。しかし、その感じがまたなんともレトロで楽しそう。

軽さと味わい

 なによりも90グラムという、おもちゃのような驚異的な軽さは、他に類を見ません。続けて撮っても、決して首が凝ることはないでしょう。また、どんなものを撮っても、なんとなく味が出ます。平成のいまを撮っているのに、どことなく昭和の感じがただよい、デジタルの写真よりもコントラストがくっきりとしていて、温かみがあります。フラッシュを使わなければ暗いところではうまく撮れませんが、その暗い感じがまたいい味を醸し出すことも。

最大の魅力は、不自由さゆえの「ワクワク感を楽しむこと」

 デジタルカメラは、基本的に何枚でも自由に撮影でき、その場で確認ができます。うまく撮れていなければ、そのたびに消して取り直せばいいのです。ですが、フィルムカメラはそうはいきません。27枚撮りのものであれば、それ以上は決して撮れません。失敗しても撮り直しができないのです。

 しかし、そんなある意味不自由のなか、「これはうまく撮れた」というものが出てきたら、宝物を見つけたような喜びがあります。それは、写真屋さんから写真を受けとったあと、一枚一枚確認するときのドキドキにもつながってきます。あの場面はどうだっただろう、と思いながら一喜一憂できる。つまり、時間も手間もかかるし、なかなかうまく撮れないかもしれないけれど、デジタルカメラにはないワクワク感があるのです。

 この「不自由だけど、あえて手間と時間をかけて、ワクワク感を楽しむ」という贅沢、一度味わってみると、意外とハマるかもしれません。

<参考サイト>
・FUJIFILM:写ルンです 30thアニバーサリー
http://fujifilm.jp/personal/filmandcamera/utsurundesu/promotion/lf30/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

「見せかけの相関」か否か…コロナ禍の補助金と病院の関係

「見せかけの相関」か否か…コロナ禍の補助金と病院の関係

会計検査から見えてくる日本政治の実態(2)病床確保と補助金の現実

コロナ禍において一つの大きな課題となっていたのが、感染者のための病床確保だ。そのための補助金がコロナ患者の受け入れ病院に支給されていたが、はたしてその額や運用は適正だったのか。事後的な分析で明らかになるその実態...
収録日:2025/04/14
追加日:2025/07/18
田中弥生
東京大学客員教授
2

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者
3

胆のう結石、胆のうポリープ…胆のうの仕組みと治療の実際

胆のう結石、胆のうポリープ…胆のうの仕組みと治療の実際

胆のうの病気~続・がんと治療の基礎知識(1)胆のうの役割と胆石治療

消化にとって重要な臓器「胆のう」。この胆のうにはどのような仕組みがあり、どのような病気になる可能性があるのだろうか。その機能、役割についてあまり知る機会のない胆のう。「サイレントストーン」とも呼ばれる、見つけづ...
収録日:2024/07/19
追加日:2025/07/14
糸井隆夫
東京医科大学病院 消化器内科 主任教授
4

3300万票も獲得した民主党政権がなぜ失敗?…その理由

3300万票も獲得した民主党政権がなぜ失敗?…その理由

政治学講座~選挙をどう見るべきか(5)政権交代と民主党

民主党は、2009年の衆議院選挙で過半数の議席を獲得し、政権交代に成功した。しかし、その後の政権運営に失敗してしまった。その理由についてはいまだ十分な反省が行われていないという。ではなぜ民主党は失敗してしまったのか...
収録日:2019/08/23
追加日:2020/02/12
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
5

印象派を世に広めたモネ《印象、日の出》、当時の評価額は

印象派を世に広めたモネ《印象、日の出》、当時の評価額は

作風と評論からみた印象派の画期性と発展(2)モネ《印象、日の出》の価値

第1回印象派展で話題となっていたセザンヌ。そのセザンヌと双璧をなすインパクトを与えた作品があった。それがモネの《印象、日の出》である。印象派の発展において重要な役割を果たした本作品をめぐる歴史的議論や当時の市況を...
収録日:2023/12/28
追加日:2025/07/17
安井裕雄
三菱一号館美術館 上席学芸員