テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.08.13

祭の屋台最前線!食べ歩きの新定番とは?

 いよいよお祭のシーズンが到来しました。盆踊りや花火大会などをはじめとした夏祭りから秋祭りにかけて、日本列島がしばらくの間、様々なお祭で大賑わいとなります。

 お祭気分を盛り上げるのに欠かせないものといえば、屋台でしょう。子供の頃、夏や秋の夜空のもと、煌々と照らされる屋台の誘惑に心をときめかせた記憶があるはずです。金魚すくいの屋台で、ゆらゆらと金魚が泳ぐ幻想的な風景などは、非日常的なファンタジーを与えてくれたものです。

 今回は、屋台の定番、焼きそば、たこ焼き、お好み焼き、かき氷、チョコバナナ、リンゴ飴などに混じって、最近のお祭で見かけるようになった注目の屋台を紹介します。一体どんな屋台が新たに登場しているのか、まさに「屋台の最前線」です。

女性と子どもに大人気「まるごとグレープフルーツジュース」

 今年の5月、スタッフが仲間たちと縁あって、長野県諏訪市の「御柱祭」で出店を出す機会に恵まれました(屋台は組みませんでしたので、「出店」ということで)。

 “ほかの屋台とは違うものを”―そんなことを考えながら、打ち合わせと試作を重ねてたどり着いたスタッフたちのメニューは「国産牛の牛すじ(煮卵入り)」と「ラクレット&ボテトサラダ&ナチョスのプレート」、そして「冷えたワイン」でした。

 お客さんの目の前で、大きなラクレットチーズをバーナーの火で溶かす様はエンターテインメント感があって好評だったのですが、想定外は真夏のような暑さ……。日中、汗だくで歩く人たちに、「アツアツ」のメニューは売り上げ的にいまひとつ伸びを欠いてしまいました。

 そんななか、長蛇の列ができていたのが、「カジュッタで作ったグレープフルーツジュース」です。

 カジュッタとはグレープフルーツ生絞り機のことで、グレープフルーツに小さな穴を開け、内部を絞って果汁100パーセントのジュースにします。グレープフルーツをそのまま器にして、穴にストローを入れて飲むスタイルのものです。

 見た目の清涼感、おしゃれなルックス、みずみずしさがあいまって、とにかく女性や子どもたちに大人気。これからの屋台の定番になるだろうと予感させる盛況ぶりでした。

食べ歩き新定番「イタリアンスパボーにトルネードポテト」

 手軽に食べ歩きできる定番といえば、ブランクフルト、リンゴ飴、冷やしパインなど、たくさんありますが、最近目立っているのは「イタリアンスパボーにトルネードポテト」です。

 イタリアンスパボーは、文字通りパスタの麺を揚げて味付けしたもの。よくカフェやイタリアンレストランで、軽食スナックとして同じようなものを見かけますが、イタリアンスパボーは、お祭の屋台ならではパンチがきいたテイスト。お祭のわっしょい感をより盛り立ててくれるジャンクな味付けです。

 トルネードポテト(ツイスターポテト)は、らせん状に切ったポテトを串に刺して揚げたもの。お祭に限らず大人気のフライドポテトを、手を汚さずに食べることができます。

 フライドポテト系ということでは「もちもちポテト」「くねくねポテト」も注目。独特のもちもちした食感にはまって、自宅で作ってみる人も多いそうです。

 また、串・割り箸に刺したグルメということでは、きゅうりの一本漬けや鮎の塩焼きの屋台も目立つようになってきています。お酒のつまみにぴったりですので、缶ビールを片手にぜひお試しあれ。

全国各地の味を屋台で楽しむ

 最近では特に郷土食を打ち出した屋台も潮流に。B級グルメブームにあやかった屋台も目につきます。お祭の機会に、まだ食していないB級グルメに舌鼓を打つのもありです。

 つい先日、東京・世田谷で行われた「せたがやふるさと区民まつり」では、全国各地の名産を扱う出店で賑わいを見せていました。

 熊本県熊本市の「からし蓮根」や「ちくわサラダ」、群馬県川場村の「飲むヨーグルト」、青森県八戸市の「八戸せんべい汁」、島根県飯南町の「いのしし肉鉄板焼き」など、およそ40ほどの屋台が出店。そこには、なかなか味わえない「ふるさとの味」がありました。

 物産展が好きな方、ふるさとの味を懐かしみたい方、グルメ旅行気分を満喫したい方は、「郷土色」をテーマにしたお祭が狙い目です。

ノスタルジックなムードを残しながら進化していく屋台文化

 新しい屋台が生まれる一方、姿を消そうとしている屋台もあります。ひよこ売りなど、生き物を扱う屋台はほとんど見かけなくなっています。

 そして、金魚すくいに代わる定番になりつつあるのが「スーパーボールすくい」。水槽に浮かんだ色とりどりのスーパーボールが水流に乗って揺れているさまは、新しいお祭の風景といえるでしょう。

 時代の変化とともに、屋台も変わっていきます。しかし、友だち同士で、また家族で連れ立って楽しむお祭の情緒はいつになっても変わることはありません。祭と屋台は、子どもの頃からの記憶に染み込んだ日本人の文化そのもの。ノスタルジックでありながら、世相を反映する屋台を末長く見続けていきたいものです。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの

正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの

徳と仏教の人生論(2)和合の至りと正直

『書経』を研究する中で発見した真理について理解を深めていく今回。徳は天をも感動させる力を持ち、真の和合は神を動かす。そして、宇宙は人間のように、また人間も宇宙のように構成されており、その根底には「正直」がある。...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/10/25
2

台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性

台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性

クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か

サヘル地域をはじめとして、近年、世界各地で多発しているクーデター。その背景や、クーデターとはそもそもどのような政治行為なのかを掘り下げることで国際政治を捉え直す本シリーズ。まず、未来の“if”として台湾でのクーデタ...
収録日:2025/07/23
追加日:2025/10/04
上杉勇司
早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授 沖縄平和協力センター副理事長
3

台湾クーデター・シミュレーション…「世直し」への条件

台湾クーデター・シミュレーション…「世直し」への条件

編集部ラジオ2025(25)クーデターで考える「政治の要点」

冷戦終結後に減少していた「クーデター」。しかし、2019年以降、再び増えだしているといいます。その背景には、中国やロシアなど「権威主義」の国々とアメリカとの対立、さらに「ワグネル」など民間軍事会社の暗躍などがありま...
収録日:2025/09/29
追加日:2025/10/23
4

ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?

ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?

エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄

ソニー・ミュージックエンタテインメント(ジャパン)は、アメリカのコロムビアレコードと1968年に創業した、日本初の外資とのジョイントベンチャーである。ソニーはもともとエレクトロニクスの会社だったが、今のソニーグルー...
収録日:2025/05/08
追加日:2025/10/20
水野道訓
元ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役CEO
5

一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界

一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界

習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?

「習近平中国」「習近平時代」における中国内政の特徴を見る上では、それ以前との比較が欠かせない。「中国は、毛沢東により立ち上がり、鄧小平により豊かになり、そして習近平により強くなる」という彼自身の言葉通りの路線が...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/09/25
垂秀夫
元日本国駐中華人民共和国特命全権大使