社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「頭がいい人は字が汚い」ってホント?
予備校講師としてテレビにもよく出演する林修先生は「東大合格者トップ層は字が汚く、2番手グループは字がきれい」だと言います。このことからすると、「頭がいいほど字が汚くなる」ということになるかもしれません。実際はどうなのでしょうか。
日本の国語教育では、漢字の学習としてバランスや「トメ・ハネ・ハライ」などを意識する授業にかなりの時間を割くようです。また、習い事で「書道教室」に通っていたという人も少なくないのではないでしょうか。つまり、日本では、「字をきれいに書く」ということは大切な教養として息づいていると言えるでしょう。
たしかにメモやノートを取るのはある程度、時間はかかります。なので、記録のための字を書く時間はなるべく減らしたいと考えていてもおかしくはないでしょう。つまり、効率よく物事を進めるには、字をきれいに書くということにこだわってはいられない、ということです。
また、スタッフの一人が、大学時代に履修した西洋美術史の先生のことを教えてくれました。その先生は東大を出た後にフランスの有名大学に留学して研究を積んだ、いわゆる「頭のいい」方でした。
スタッフによれば、その先生の授業は外国語が混じったり抽象的な言葉を使うことが多いため、一応板書して伝えようとはしてくれるのですが、その文字がいつもうねうねしていて、漢字なのか、カタカナなのか、はたまたアルファベットなのか、区別することが難しいくらいに難解な文字だったそうです。
これは、まさに頭のスピードに文字が追い付かない例です。先の林先生が言う、頭がいい人というのは、字を書くのは誰かに見せるためではなく、自分のためと割り切っているのかもしれません。ただ、「伝達」という文字の役割においては、少なくともある程度判読できる文字でなければつらいですよね。
ですが、ふとしたときに目にしたきれいな、あるいは丁寧な文字はやはり魅力的で、その人の背景に品の良さや真面目さといったものを感じるのではないでしょうか。こういう細やかさを感じることができる私たち日本人の感性は、大事にしていきたいですね。
教養としての美文字教育
最近ではPCの普及で、手書きの文字を見る機会も減ってきました。そんな中、ふと知人の手書き文字を見て、「この人、こんなにきれいな字を書くのか」と見直したり、逆に普段は礼儀正しい人の雑な文字を見て「意外だなぁ」などと思ったりした経験はありませんか。もしかしたら私たちは、無意識に「字はその人を表す」という感覚をもっているのかもしれません。日本の国語教育では、漢字の学習としてバランスや「トメ・ハネ・ハライ」などを意識する授業にかなりの時間を割くようです。また、習い事で「書道教室」に通っていたという人も少なくないのではないでしょうか。つまり、日本では、「字をきれいに書く」ということは大切な教養として息づいていると言えるでしょう。
頭の回転が早い人は字が汚い!?
ですが、海外ではやや事情が違うようです。ある記事によると、字の汚さと頭の良さについて、アメリカでは、日本人の留学生が美しい筆記体で提出したところ、受け取った先生はその字の美しさに驚いたあと、「エネルギーは内容にもっと使うべき」とばかりに、その場で再提出を通告したそうです。ちなみに、アメリカの学生たちはどれも殴り書きに近かったけれども、書くスピードはとにかく速かったということです。たしかにメモやノートを取るのはある程度、時間はかかります。なので、記録のための字を書く時間はなるべく減らしたいと考えていてもおかしくはないでしょう。つまり、効率よく物事を進めるには、字をきれいに書くということにこだわってはいられない、ということです。
また、スタッフの一人が、大学時代に履修した西洋美術史の先生のことを教えてくれました。その先生は東大を出た後にフランスの有名大学に留学して研究を積んだ、いわゆる「頭のいい」方でした。
スタッフによれば、その先生の授業は外国語が混じったり抽象的な言葉を使うことが多いため、一応板書して伝えようとはしてくれるのですが、その文字がいつもうねうねしていて、漢字なのか、カタカナなのか、はたまたアルファベットなのか、区別することが難しいくらいに難解な文字だったそうです。
これは、まさに頭のスピードに文字が追い付かない例です。先の林先生が言う、頭がいい人というのは、字を書くのは誰かに見せるためではなく、自分のためと割り切っているのかもしれません。ただ、「伝達」という文字の役割においては、少なくともある程度判読できる文字でなければつらいですよね。
日本人なら丁寧さも大事にしたい
たしかに、字に対して見た目や丁寧さを意識することと、学習スピードを上げることは両立しづらいでしょう。そう考えると、「頭がいいほど字が汚くなる」、つまり、頭がいい人ほど字がきれいとか汚いとか気にしなくなる(気にしない)、ということになるのかもしれません。ですが、ふとしたときに目にしたきれいな、あるいは丁寧な文字はやはり魅力的で、その人の背景に品の良さや真面目さといったものを感じるのではないでしょうか。こういう細やかさを感じることができる私たち日本人の感性は、大事にしていきたいですね。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
生と死が明確に分かれていた…弥生人が生きていた世界とは
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(9)弥生人の「生の世界」
弥生時代の衣食住には、いったいどんな文化があったのだろうか。土器やスタンプ痕の分析から浮かび上がる弥生人が生きていた世界、その生活をひもとくと、農耕の発展の経路や死生観など当時のさまざまな文化の背景が見えてくる...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/05/14
運動では減らないコレステロール…食生活の見直しで対策を
健診結果から考える健康管理・新5カ条(5)コレステロールは運動では減らない
コレステロールは中性脂肪と混同されがちだが、まったく異なる性質の脂(あぶら)である。コレステロールには、消化酵素になるなど3つの使い道があるが、摂り過ぎると運動しても簡単になくならないため、血管の変化を引き起こし...
収録日:2025/01/10
追加日:2025/05/13
「法華経はSFだ!」というナラティブの神秘的体験
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
『法華経』といえば紀元1世紀から3世紀に成立したといわれる大乗仏教の代表的経典である。厳しい修行や哲学的思索を行う出家が中心だった当時のインド仏教に対し、誰もが平等に成仏できると説く『法華経』は画期的なものだった...
収録日:2025/01/27
追加日:2025/05/04
イスラエルの歴史を学ぶ~シオニズム運動と英国の三枚舌
近代イスラエルの誕生:その苦闘の背景(1)
国防において、科学・芸術・産業の追究において、イスラエル人が示す桁外れの熱意。その根源は、民族がたどった歴史にあると島田晴雄氏は言う。現代のイスラエル精神に直接影響を及ぼした近代イスラエルの成立過程を2回に分...
収録日:2013/10/04
追加日:2014/07/17
米国史の教訓…ドル基軸通貨体制の信認を問う大転換に?
株価と歴史…トランプ関税の影響を読む(1)アメリカ史の教訓とは
トランプ関税の影響は、今後、どのように広がっていくのだろうか? 過去の大きな構造変化や金融環境の変化が各国の「株価リターン」にどのような影響を与えたのかを分析しつつ、今後を考えるヒントがないかを検証していく。第1...
収録日:2025/04/18
追加日:2025/05/02