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DATE/ 2016.11.02

価格競争も限界?格安スマホの落とし穴とは?

 格安スマホというフレーズもすっかり定着してきました。やや古いデータではありますが総務省の「MVNOサービスの契約数の動向」によると、事業者は昨年3月末の時点で170社。今では500社以上とも言われています。そこまで業者が増えると価格競争も限界に近づき、安さで勝負する段階から、通話プランで競う段階に入りつつあります。

格安スマホ 案外安くないケースも

 スマホの維持費が月額1000円台に!と当初はもてはやされた格安スマホですが、電話をほとんどかけずLINEなどで済ませてしまう人ならともかく、通話をある程度するとすぐに料金がかさんでしまいます。格安のはずが思ったより安くないと思った人も少なくないでしょう。というのも、大手キャリア3社には当たり前のようについていた通話パックやかけ放題の選択肢が、格安スマホにはほとんどなかったからです。

 一定のデータ通信量までなら0円という究極に安いプランも登場するなど、データ通信の安さでは価格競争はほぼ限界です。そこで、電話代も格安にならないかというユーザーの要望に応える事業者が増えてきています。

 大手キャリア3社のかけ放題と同じく国内通話がかけ放題になるプランを持つNifMo、もしもシークスなどの事業者もありますが、通話プランはそれだけではありません。IIJmio、OCNモバイルONE、楽天モバイルなどが提供するのは5分以内の通話がかけ放題になる時間制限型。BIGLOBE SIM、U-mobileなどが提供するのは月間で一定時間までなら定額とする通話パック型。様々なタイプがあります。

 通話方式が大手キャリア3社と違う社もあるので、そこも気をつけておきましょう。上に挙げた事業者のうち、NifmoだけがIP電話、その他の6社は専用アプリから発信する方式になっています。IP電話はインターネットを使用した電話サービスで、「110」「119」などができないというデメリットがあります。専用アプリの方は、アプリに不具合があると通話に問題が生じるケースもあるようです。

気をつけて!格安スマホに思わぬ落とし穴も

 これだけ選択肢が増えると、どれを選べばいいかわからなくなってしまうかもしれませんが、勢いで乗り換える前に、格安スマホに思わぬ落とし穴があることも知っておきましょう。

 たとえば回線速度。格安スマホの回線は大手キャリア3社に比べ、速度にムラが出やすい傾向があります。日経トレンディネットが発表した測定結果を参考にすると、時間や場所などの条件が良ければ50Mbpsをマークする業者があった一方で、通信が混み合う正午は1Mpbsを切ってしまうケースも。これではYouTubeを満足に見ることもできません。

 もちろん大手キャリア3社も回線速度の波はあるのですが、それをカバーするために公衆Wi-Fiにも力を入れています。格安スマホの場合は公衆Wi-Fiに対応していなかったり、対応していてもスポットが少ないことも多いので、ここも注意点でしょう。また、ドコモの端末に対応した格安スマホ業者は多いのですが、テザリングができないという欠点もあります。

 こうしたデメリットも許容できるユーザーにとっては、格安スマホは有力な選択肢になりうるでしょう。アフターサービスも含めた安心感やわかりやすさを取るなら大手キャリア3社、自分に合ったプランを見つけられるなら格安スマホと、これからますます住み分けが進んでいくのではないでしょうか。

<参考サイト>
・日経トレンディネット「どこが速い? 格安SIMの通信速度ランキング【16年初夏】」
http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/pickup/15/1003590/053000304/
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