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DATE/ 2016.12.18

大阪のオバちゃんはなぜヒョウ柄が好きなのか?

 アラフォー女性が身につける時に注意と覚悟が必要なアイテム、それはずばり「ヒョウ柄」です。ヒョウ柄の服を着ていると、余程おしゃれに着こなさない限り言われてしまうのが「大阪のオバちゃんみたい」という一言。そのため、30代半ばを超えてからヒョウ柄を着なくなったという女性の声もよく聞きます。

 このように、ヒョウ柄といったら「大阪のオバちゃん」というイメージが定着していますが、アパレル通販ZOZOTOWNの(株)スタートトゥデイが発表した「日本一ヒョウ柄を買っている都道府県民ランキング」によれば、第1位は意外にも埼玉、そして第2位が大阪という結果に。

 ところが、実際に大阪の天満やなんばの商店街を歩いてみたところ、洋服屋の店頭やショーウインドーには必ずと言っていいほど1枚や2枚ヒョウ柄アイテムが飾られていますし、ヒョウ柄を着て歩くオバちゃんの多さも目を引きます。それと比較すると埼玉でヒョウ柄を目にすることは多くない印象です。どうやらヒョウ柄を「買っている」ことと「よく着ている」の間には、少しずれがあるのかもしれません。

 今回は、そんな元祖ヒョウ柄好きの大阪のオバちゃんたちが、なぜ「ヒョウ柄」を愛してやまないのか、大阪の街と大阪出身者に取材。その理由に迫ります。

お金持ちに見える! ヒョウ柄は「毛皮」の代わり

 大阪のオバちゃんは新しい服を買うと、「これ、なんぼやと思う?」と決まって家族や友達に聞くのだそうです。大阪は言わずと知れた商売の街、物を買うときには「いいものを安く」「高くていいのは当たり前」という意識があり、高そうに見えるものを、安く買うことへの満足感が大きいといいます。

 そんななかヒョウ柄は、最高級のお金持ちファッションのイメージである「毛皮」の、いってみれば廉価版。毛皮より安いのに、お金持ちに見えるという理由で好まれる傾向があります。一度ヒョウ柄で味わったゴージャス感がやみつきになってしまった、と商店街で出会ったオバちゃんも話してくれました。

派手=カッコいい。目立ってなんぼの文化にあり

 東京では、さりげなく力の抜けたおしゃれが上級者という意識がありますが、大阪は真逆。たとえばブランド物でも、ロゴが大きく入ったものや、一目でどこのブランドと分かるものが売れるそう。人から見て分からないものにお金をかけることはムダなことで、「なにすましとんねん」とのこと。つまり嫌でも目立つ主張の強い派手なヒョウ柄は、大阪の「おしゃれ」に当てはまるわけです。ちなみにドルチェ&ガッバーナやルイ・ヴィトンが販売したヒョウ柄アイテムは、大阪では大人気だったそう。ブランド物のヒョウ柄で、ヒョウの中でもさらに目立ちたい、という気概を感じますね。

タイガースファン心理では?という意見も

 ヒョウ柄とたこ焼き以外にも、大阪で忘れてはならないのが「阪神タイガース」。それは虎でしょう?と思ってしまいますが、「虎の黄色と黒のカラーはオバちゃんの中ではヒョウと同じ。タイガースファンも多い大阪のオバちゃんは、虎に似たヒョウ、ライオンなど猛獣系の柄全般に親近感があるのでは?」と大阪出身の女性が話してくれました。

 実際、婦人洋服店をのぞくと、そこには虎やライオン、ゼブラといった多種多様でワイルドなアニマル柄が。強くてカッコイイ、そんな阪神タイガースのイメージもオバちゃんのヒョウ柄への購買意欲を潜在的に高めているのかもしれません。

売られているヒョウ柄アイテムの絶対量が違う

 大阪の雑貨店に勤務していた女性は「ヒョウ柄のベッドリネンやタオルを販売した時に、ものすごい勢いで完売した。」と語ってくれました。大阪では洋服や小物だけでなく、インテリアにもヒョウ柄を使用しているオバちゃんも多いとのこと。いくら埼玉県民が一番ヒョウ柄が好きという結果といえども、大阪のヒョウ柄商品の取り扱い量は埼玉とは比べものになりません。日々目にしているため、ヒョウ柄への抵抗や違和感も少なくなり慣れてしまい、むしろヒョウ柄にしておけばおしゃれは大丈夫、と安心感さえもつ人もいるそうです。

 いかがでしたか?今回の取材で出会ったヒョウ柄を着た大阪のオバちゃんたちは、元気で自信に溢れている方ばかり。ヒョウ柄は大阪のオバちゃんたちの元気の源なのではないかと感じました。

 最近では「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」の動画でブレイク中のピコ太郎さんが着ている衣装もヒョウ柄。なんだかわからないけど楽しい、元気が出る、と人気沸騰中ですが、もしかしたらそれはヒョウ柄の影響も少なからずあるのかもしれませんね。
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