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DATE/ 2017.02.12

チョコの焼きそば!「甘いカップ麺」その味は?

 逆チョコ、友チョコなど毎年新たなトレンドが生まれるバレンタイン・デーですが、今年はカップ麺業界で「スイーツ麺戦争」が勃発しています。「マルちゃん 甘ーいきつねうどん」(東洋水産)、「ペヤング チョコレートやきそばギリ」(まるか食品)、「明星 一平ちゃん夜店の焼そば チョコソース」(明星食品)、3商品が1月に発売されました。一見「イロモノ」のカップ麺3種類、果たしてどんな味なのでしょうか。それぞれ試食してみました。

上品な甘さVS違和感だらけの甘さ

 「マルちゃん 甘ーいきつねうどん」はパッケージこそピンクですが、見た目は普通のきつねうどん。まず一口…。まったく「イロモノ」感はなく、おいしいうどんです。たしかに甘いといえば甘いですが、違和感のない甘さ。「カップ麺にしては」という注釈こそつきますが、上品な甘さといえば良いでしょうか。無理やり甘くしたという印象はまったくありません。期間限定と銘打っていますが、レギュラー商品にしても良いのでは?そう思うくらい普通においしいうどんでした。

 「甘ーいきつねうどん」がおいしかっただけに、「スイーツ系と言ってもキワモノではなく、ちゃんと食べられる商品なんだな。そりゃそうだ、変なものを作ったって売れるわけがない」と思い込んでしまいました。

 ですが、その甘い目論見はもろくも崩れ去ります。ペヤングやきそば「チョコレート・ギリ」は、液体ソースが濃厚なチョコレートそのもの。麺とよく絡めるとチョコのいい匂いが漂ってきます。この匂いと焼きそばがどうマッチするのか?疑問を抱きながらすすってみると―。チョコの味としかいいようがありません。これをなぜ焼きそばの味にしてしまったのか…。味自体は決してまずくないんです。ただ、「焼きそばとはこういうものだ!」という固定観念が全力でチョコ味の焼きそばに「?」サインを送ってくるのです。でも、焼きそばに何の先入観も持たない人だったら、おいしく食べられるのかもしれません。

 チョコ味は単なる受け狙いなのか―。期待感ゼロで一平ちゃん夜店の焼そば 「チョコソース」味にも挑戦してみました。自然と「挑戦」という言葉を使ってしまうようになってしまったのはペヤングのおかげです、きっと。メーカーの明星食品によると、「国内外の有名チョコメーカー数社に監修を依頼するも、実現には至りませんでした」というシロモノ。通常の焼きそばと同じような見た目だったペヤングと違い、一平ちゃんは麺そのものがうっすら茶色。それが吉と出るのか凶と出るのか、いざ!

 …意外と悪くありません。ほんのりと塩気があり、単にチョコの味がするだけだったペヤングと違い、本来ありえない「チョコ味のカップ焼きそば」を成立させようとする工夫が感じられました。とはいえ、やはり普通のカップ焼きそばの方がおいしいのは間違いないですが。

ガチ系のマルちゃん、ネタ系のペヤング、一平ちゃん

 一平ちゃんは約一年前の2015年にもチョコソース味を発売、そして昨年2016年末にはショートケーキ味というこれまた攻めた商品で世間をざわつかせました。どちらも味の面では厳しい評価だったようですが、今回「意外といけるかも」となった(スタッフがそう感じた)背景には、過去2回の経験が生かされているのかもしれません。

 今回のレポートは、あくまで試食したスタッフによる個人的な感想ですので、「ペヤングの『チョコレート・ギリ』が一番うまい!普通のカップ焼きそばよりうまい!」という人も中にはいるかもしれません。

 各社スイーツカップ麺を発売したのはバレンタイン時期だからということが一番の理由かとは思いますが、大きく分けると、ガチ系のマルちゃん、ネタ系のペヤング、一平ちゃん、とくくれるかと思います。そして、ネタ系の二社の間では、経験の差が出たのかなという印象でしょうか。ただ、3つともインパクトはあり、義理チョコ代わりにはうってつけ、かも。そういった意味では各社ともいい時期にうまい商品(おいしいという意味でなく)を出したといえるのかもしれません。

<参考サイト>
・東洋水産株式会社ホームページ(ニュースリリース「甘ーいきつねうどん」新発売のお知らせ)
http://www.maruchan.co.jp/news_topics/entry/2017/01/post_1313.html
・まるか食品株式会社ホームページ(商品一覧「ペヤング チョコレートやきそばギリ」)
http://www.peyoung.co.jp/products/632/
・明星食品ホームページ(ニュースリリース「明星 一平ちゃん夜店の焼そば チョコソース」1月9日発売)
https://www.myojofoods.co.jp/news/5688.html
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授