航空機事故ゼロをめざして
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
航空機の安全を保証するV&Vプロセスとは何か?
航空機事故ゼロをめざして(9)安全を保証するプロセス
鈴木真二(東京大学名誉教授/東京大学未来ビジョン研究センター特任教授/福島ロボットテストフィールド所長)
アメリカでは、民間の専門家が航空機の安全を証明するルールを提案し、それを政府がガイドラインとして採用している。こうしたルールづくりの仕組みが日本ではまだ整備されていないと、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻教授の鈴木真二氏は指摘する。安全を保証するためのV&Vプロセスとはどのようなものか。(全12話中第9話)
時間:7分57秒
収録日:2017年11月27日
追加日:2018年4月7日
≪全文≫

●FAAは非常に厳しいフェールセーフ設計の規則を定めている


 アメリカの連邦航空局(FAA)は、非常に重要な部品について、次のような規則を定めています。例えば、フライトコントロールという飛行機を制御するために必要な部品があります。これについては、任意の単一の故障があっても、通常通り運行ができることが要求されています。また、電気系統や油圧系統故障などの複合的な故障があっても、安全に飛べることも要求されます。

 こうした規則は「ワンフェールオペレーショナル、ツーフェールセーフ」と呼ばれる、非常に厳しいフェールセーフ設計を意味します。航空機にはそれほど重要な部品が存在するのです。


●専門家がルールをつくり、それを政府が採用する


 型式証明において、航空機の安全を証明するためのルールを定めるために、アメリカではどのような手続きが取られているのか、見てみましょう。安全の基準は連邦政府が作成しますが、その基準のベースとなる考え方は、民間の非営利団体を中心とした委員会が提案します。

 FAAには、航空規則制定諮問委員会(ARAC)という常設の委員会が設けられており、その下に、テーマごとに設置される臨時の委員会として、航空規則制定委員会(ARC)があります。ARCには製造業者やエアライン、大学、研究機関など、専門家が参加して議論を交わします。

 こうした各種委員会に技術的な資料を提供するのが、非営利民間団体です。例えば、航空無線技術委員会(Radio Technical Commission for Aeronautics、RTCA)やオートモーティブ技術者協会(Society of Automotive Engineers、SAE)があります。RTCAは無線や電子機器に関する技術を検討する民間団体で、SAEは自動車や航空機の技術者団体です。いずれにせよ、製造業者やエアライン、大学、研究機関、また政府関係者などが検討委員会をつくって、主に機械部品に対する基準づくりを議論しています。

 このように、安全性を保証するための非常に高度なルールに関しては、専門家がその経験を生かしてルールをつくり、それを政府が採用するという構図になっているのです。わが国では、まだ民間航空機産業がアメリカほど成熟していないということもあり、こうしたルールづくりの仕組みが残念ながら整備されていません。これから航空機産業が成長していくためにも、安全に関するルールを議論する仕組みを整えることが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
火山の仕組みを知る(1)火山の世界的分布と噴火の仕組み
火山噴火が起こるメカニズムと日本の火山の特徴
藤井敏嗣

人気の講義ランキングTOP10
百人一首の和歌(1)謎の多い『百人一首』
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
渡部泰明
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(4)注目されるタスクベース・アプローチ
AIは「まあまあの技術」?…タスクベース・アプローチでわかること
宮本弘曉
ウェルビーイングを高めるDE&I(4)人的資本経営の核となるDE&I:後編
日本は不寛容な国か?完璧主義の弊害とDE&Iを進める必要性
青島未佳
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(3)占守島での「戦後の激闘」
ソ連軍に断乎反撃せよ…終戦後の占守島侵攻をなぜ撃破できたか
門田隆将
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(1)「生成AI」の画期性
「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長
渡辺宣彦
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(4)2段階の教育
プラトンが『ポリティア』で書いた2段階の教育論とは
中島隆博
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎