●人生は「悪くて当たり前」を前提にプラス思考で生きていく
皆さん、こんにちは。人間力をつけるということについてお話ししていますが、私自身に人間力がついているからお話ししているのではなく、人間力がついていないので挑戦しているという話として聞いていただければ有難いです。
いろいろな方々と日々お会いする中でよく聞くのが、自分ほど不幸な人はいないとか、何をやってもうまくいかないとか、自分は運が悪いという話です。しかし、私の人生経験から考えると、スムーズにものごとが進んだことは、実は本当に少ないのです。以前に八重洲ブックセンターでユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)の柳井正社長とお会いしたことがあります。柳井社長は『一勝九敗』という本を書いているのですが、その際、柳井社長に「私は1勝99敗です」とお話ししたことを覚えています。これは単に柳井社長の本の名前にひっかけただけではなく、1勝999敗、1勝9999敗、もしかしたら1勝99999敗くらい、私は負け続けてきていると感じていたからです。
しかし私自身は、人生は「悪くて当たり前」であると考えています。そこで今回のテーマですが、悪くて当たり前ということで、プラス思考で生きることが大事だとお伝えしたいと思います。
●人生は原因と結果の法則で成り立っている
私は、世の中は全て原因と結果の法則で成り立っていると思っています。数々の複雑な要因が関わってくるので、私たちは生きる中でそのことに気付きません。原因と結果の法則とはどういうことか。例えば、バランスよく食べないと体の調子が悪くなったり、運動しないとメタボになって息切れしたり、甘いものばかり食べていたら糖尿病になったりということで、必ず悪い原因があって悪い結果になるということです。
このように、人生は原因と結果で成り立っています。これはどの分野にも当てはまると思います。例えばスポーツでも、やはり練習した人が良い結果を生み出します。つまり、良い原因あるいは要因を積み重ねたときに、良い結果が出てくるということです。
●結果を出したいなら、圧倒的な努力が必要
こう考えると重要なのは、何もしなければ悪い結果が出てくる、ということです。自分はこんなに努力をしているのにたいした結果が出ないという話を、よく聞きます。例えば眠い中に朝早く起きて仕事に行くことも、大変な努力でしょう。しかし、普通の努力では結果は出てこないと考えています。いろいろな方が使っていて、私もいろいろなお話をする際に必ず使っている言葉に、「圧倒的努力」があります。圧倒的努力とは何かを簡単に定義すると、みんなが驚くような努力だということです。
一回目にお話ししましたが、私は勉強ができない中、大学ではほぼ優の成績を取ることができました。なぜかというと、勉強ができないことは分かっていたので、無遅刻・無欠席・無早退を貫き、予習復習を完璧にして授業に行きました。その結果、4年間に必要な単位をほぼ2年半で取ることができました。テストは本当に苦手だったのですが、その努力を買われて、ほとんどの教授から授業に来なくても成績(単位)はあげるから自分のやりたいことをやりなさいなど、励ましの言葉を頂きました。
このように、圧倒的な努力をしたときには、周りの人は黙っていません。必ず応援してくれます。それも、思わぬところから手を差し伸べて頂けることもあります。
●今日が人生最期の日と思う危機感が、圧倒的努力につながる
それでは、なぜそのような圧倒的努力ができるかといいますと、悪くて当たり前という発想があり、いつも危機感を持っているからです。人生は平均して80歳くらいと長いのですが、しかし振り返ってみると、これまで本当にあっという間だと思います。私は今57歳ですが、22歳で就職した際にはどこの会議に行っても自分が最年少で恐縮していたのですが、今はもうどこの会議に行っても最年長になってしまいました。
このように人生があっという間だとすると、死ぬときもあっという間なのだろうと考えるようになりました。そこで、毎日「今日が人生最期の日だ」と思って生きようと決意しました。そのため、毎朝起きたときに今日も目覚めて命があることに感謝し、家を出るようにしています。最期だと思うことで、ある意味での危機感が生まれます。私は多分、本当は怠惰な人間なので、危機感がないとぶらぶらと過ごしていると思います。しかし今は、毎日が最期の日だと思っていますので、何か一つでもいいから今日できることはないかと挑戦させていただいています。
●他人や環境は自分の思うままにはならない
このように危機感を持つと、やはり圧倒的努力をするしかありません。圧倒的努力に関して私が教訓としているものに、米国の百貨店王といわれたジョ...