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IoT×AI時代にチャンスのある業界とは?

スタートアップ流イノベーション(3)IoT×AI時代

鎌田富久
TomyK Ltd.代表/株式会社ACCESS共同創業者
情報・テキスト
生産者と消費者が直接結び付き、社会は最適化へ向かう。IoTやAI化によって新たに生まれるサービスはそれを実現するが、そこから新たなビジネスチャンスも多く到来しているという。その詳細について、TomyK Ltd.代表で株式会社ACCESS共同創業者の鎌田富久氏が解説する。(全5話中第3話)
≪全文≫

●リアルな世界とコンピューティングの世界がつながった


 3回目は「IoT×AI時代の新たなチャンス」というお話をしたいと思います。

 現在、「リアル世界×Computing(コンピューティング)」という新しい世界が広がってきています。この20~30年、デジタルの世界では、パソコンから始まって、ソフトウェア、インターネット、クラウドが発展しました。リアルな世界の経済活動がネットの上で再現されて行きました。

 これが一大経済圏になったことで、リアルの世界で行われていることはほぼネット上にもあるという状況まで来たわけですが、それが少し変わってきています。われわれは今まで、デジタルの世界とつながるとき、最初はパソコンの画面、最近まではスマホの画面が主な接点となっていたわけですが、現在では画面を飛び越えて、ウェアラブルやメガネ型など、さまざまなものが接点となってデジタルの世界とつながるようになってきています。これをビジネス的に考えれば、パソコンやスマホのプラットフォームはアメリカ勢に牛耳られているため(厳しいのですが)、それを飛び越えて新たなチャンスが出てきたということで、また一つの新しい競争が始まっていると捉えてもいいと思います。

 また、「リアル世界×Computing(コンピューティング)」、あるいはAIという部分ですが、さまざまな可能性が今、出てきています。IoTといわれるような地上のセンサーやデータもありますし、現在では宇宙からデータを取る、あるいはドローンを飛ばして空からデータを取るといったように、俯瞰して広い地域のデータを取るマクロな分析ができるようになってきました。

 そしてもう一つ、逆に日本だと、IPS細胞も出てきていますし、ゲノムレベルや細胞、分子レベルの非常にミクロな世界からも大量のデータを集めて分析し、アクションするという動きも出てきています。

 ということで、マクロとミクロの両側から、これまでコンピューティング、あるいはネットと離れていたものが結び付き、大きな可能性が出てきているのです。


●「社会は最適化に向かう」ため、注目は最適化されていない分野


 もう少しいくつかのトピックを話しますと、「社会は最適化へ向かう」ということがあります。

 ユーザーの行動をベースにして何かを推薦するとか、最適化していくということが、これまでネットの世界でどんどん進んだわけですが、これが今、リアルの世界に出てきました。リアルの世界、例えば工場のデータや店舗におけるお客さんの情報といったものを集め、それらを認識・分析して、その結果、必要なアクションをすることで売上をさらに向上させたり、コストダウンさせたりするということで、IoTとAIを結び付けることがどんどん始まっているということです。

 さらに、このような動きが発展して、新しいビジネスモデルを生むというところにつながってきています。もともと日本の製品は品質が良く、なかなか壊れないものが多いのですが、それを少し高い価格で売るよりも、実はサービスにして使ってもらい稼働率を上げ、利益につなげる、つまり、そうしたサービスの方に向いているかもしれません。ですが、今まで物売りビジネスをやっていたので、急にはなかなか切り替えられないこともあります。しかし、ゼロから考えれば、非常に理にかなったサービスになるため、そのような変革に非常にチャンスがあるということです。

 「社会が最適化に向かう」ということですが、少し周りを見渡してみれば、まだ最適化されていない、あるいは無駄が多いものは随所に見つかると思います。今では生産者と消費者がネットでつながって非常に近い存在になりました。その間のさまざまな流通がどんどんとなくなってきており、消費者からすれば生産者の顔が直接見えたり、生産者からすればユーザー(消費者)の声が直接聞けるといったことがどんどん増えています。つまり、必要なものを必要な人に届けることが、無駄なくどんどんできるようになってきたということです。

 そんな中、まだ最適化されていないものとしては、学習や教育があります。本当は自分にものすごく向いているカリキュラムや自分に合った先生がいるのに、たまたま出会ったものを選んでいる、ということが多いのです。医者と患者の関係もそうで、たまたま診てもらった先生にその後も診てもらうということにどうしてもなりますが、お医者さんからしても得意な分野があり、そういったところがもっとマッチングされるといいと思います。また、転職や就職といった大きな決断に関しても、比較的簡単に選んでいるということもあるので、そういった分野がこれからデータをもと...
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