世界の語り方、日本の語り方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
文系と理系をごちゃ混ぜにしたことで共有できる「語り方」
世界の語り方、日本の語り方(7)「心と存在」の語り方
中島隆博(東京大学東洋文化研究所長・教授)
東大EMP(東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム)に集う多彩な若手学者たちが学際的・文理融合的な対話を積み重ねていった『世界の語り方』。ここでは第1巻「心と存在」から一部を振り返る。(2019年2月14日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「世界の語り方、日本の語り方」より、全9話中第7話)
時間:7分50秒
収録日:2019年2月14日
追加日:2019年8月14日
≪全文≫

●文系と理系の壁を超えて共有できる「語り方」へ


 もう一つの取り組みは、世界の語り方ということです。ここでは「心、存在、言語、倫理」をどう語るのかということで、座談会をしました。

 なぜこんなことをしたかというと、いわゆる文系と理系をごちゃ混ぜにしたかったのです。例えば、素粒子を研究している先生がいますが、その先生に向けて私が「素粒子とは何ですか?」と聞いたところで、意味がないというか、つらくなってくると思います。きっと非常に難しいことを言われて、熱が出てしまうでしょう。それはもう対話ではなくなり、「教えるー教えられる」関係に入るからで、それでは面白くないと思ったのです。

 では、どうすれば違うジャンルの人たち同士が話ができるのかというと、やはり語り方次第なのです。

 素粒子について、私はよく知らない。素粒子が何なのかを言われても、よく分からない。でも、その先生が素粒子をどう語るのかは理解できるかもしれない。「素粒子とは、こう、こう、こうである」と語られる場合もありますが、「素粒子を語るのって難しいんだよね。ここに問題があるんだよね」と言われたら、それは分かります。素粒子が何なのか根本的には分からなくても、です。今どう語っていくのか。そこにどんなチャンス、あるいは限界があるのか。それらのことは分かるので、それをやってみようと思ったのです。

 そうすれば、学問の違いを超えて議論ができるではないか。「素粒子とは何か」となると、私などはお手上げで「そんなこと、知らんがね」となってしまいます。それには量子力学などを理解しなければいけないのだろうけれども、それは難しい。しかも量子力学には確率が大事であるらしく、その確率も、高校までに習った確率とはどうも違っているらしい。そのようになると、もう頭がついていかない。しかし、どうしてそういう発想をしているのか。どういうアプローチをしているのか。それは共有できます。それをやってみたいと思ったわけです。


●数学者が「心」を語ると、集団性が見えてきた


 まずは、心の語り方です。心について、皆さんはどういう語り方をなさいますか、ということを聞いていきました。

 ここに、合原一幸氏の例を出しました。合原氏は数学者ですが、非常に面白い発言...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題
大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
デモクラシーの基盤とは何か(3)政治と経済を架橋するもの
「哲学・歴史」と「実証研究」の両立で広い視野をつかむ
齋藤純一
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏