百姓からみた戦国大名~国家の本質
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民衆にとって生命維持装置の役割を果たしていたのは「村」
百姓からみた戦国大名~国家の本質(2)「村」という組織の重要性
黒田基樹(駿河台大学法学部教授/日本史学博士)
過酷な生存状況を民衆が生き延びるために重要な存在だったのが、村という組織である。村は百姓たちが集まってできた支援的な共同体であり、各家の私権を制約する公権力としても存在していた。この村を単位に、領主は生産資源をめぐって争い、戦が生じた。これが、既存の政治秩序を解体していったのである。(全8話中第2話)
時間:11分52秒
収録日:2019年3月20日
追加日:2019年9月22日
≪全文≫

●村という組織が社会における基本の単位


 戦国時代において、民衆はどのような仕組みをもって生き延びようとしていたのでしょうか。この時に重要な存在だったのが、「村」という組織です。これが民衆にとっての生命維持装置としての役割を果たしていました。

 民衆にとっての根源的な生命維持装置の基本は、「家」という組織です。これは、生産組織、経営組織としての家ということになります。しかし、慢性的な飢饉状況の中では、経営組織としての家の存続が非常に難しい状況にありました。有力な百姓層であったとしても、大抵は3代目ぐらいには潰れてしまっていたのです。

 このように家が永続的に続かないという状況の中でつくり出されたのが、家々が連合し、さらには家を構成していない百姓たちが集まってつくり出す支援的な共同体としての村です。13世紀の後半以降、こうした共同体がつくり出されていきます。この村という共同体を基礎として生存を図ることが、中世後期以降における社会の基本的な在り方でした。

 ちなみに、この慢性的飢饉が克服されるのは、戦国時代を経て、江戸幕府になる17世紀後半ほどです。江戸幕府の将軍でいうと、4代目の徳川家綱、5代目の徳川綱吉の時代であると考えられています。ですから、それまでの人々は、村という組織に依拠しながら懸命に生存を図っていたのです。

 この村という組織が社会における基本の単位であり、この村が安定的に存続していくということを、当時は「成り立ち」と呼んでいました。私もそれに倣い、「村の成り立ち」と表現して、この動きが社会の基本的な展開をもたらしていったのだと考えています。


●政治団体としての村


 この村という共同体の性格はどのようなものだったのでしょうか。

 まず村は、ある一定の地域に存在する、百姓がつくり出した家組織が連合して形成されていました。そして、村の構成員に対して、税金である独自の徴税権、法律をつくる立法権、法律を犯した場合に対しての取り締まりの行為である警察権、さらには村の構成員を兵士とする、対外的な戦争を行うための軍事力を有していました。村とは、そうした力を持ち、自立した政治団体としての姿を持っていたということです。その村の成れの果てが、現在の地域の集落や部落です。つまりこうした村は、もともとは武力をも有する組織であったということなのです。

 村はそ...

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