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あのルソーも「すべての悪は弱さから来る」と主張した

伝染病と死生観(3)すべての悪は弱さから来る

情報・テキスト
国民にこれだけ自粛を強いれば、コロナが収束しても日本人の生活は元に戻らない。テレワークの普及で働き方も変わるが、これについても政治家や官僚が何を考えているか見えて来ない。あらゆることでこれまでの流れをぶち壊した以上は、二度と元には戻らない。しかし政治家たちは、大きな変化にオロオロしているだけ。これは、水際対策を決断できなかった自分たちの失敗から逃げているから、また、死を覚悟して事に当たっていないからだ。フランス革命の革命家・ロベスピエールも、死ぬ覚悟で立ち上がった。また、民主主義の最初の思想家ルソーも「すべての悪は弱さから来る」と言った。まさに今の状況を言い当てている。(全7話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:13:02
収録日:2020/04/24
追加日:2020/05/29
キーワード:
≪全文≫

●「花は愛惜に散り、草は棄嫌に生うるのみなり」


―― 国家権力には、振るいどころと振るう時期があるのですね。

執行 もちろんです。今は国家権力を国民に振るう時期ではありません。今は医療を整え、重症者が何人出るかわかりませんが、「何人出ても助ける」というところに国家のお金と権力を使う。

―― 失敗したのをなだめるために10万円ずつ撒いて、12兆も使ってはダメだろうと。

執行 話になりません。国民に10万円、20万円ばら撒いて何の意味があるのか。しかし、あのお金を医療に投じたら大変なことです。でもやらずに、国民のほうを抑えつけようとしているのです。国民を抑えつければ、戦争でいえば補給が切れることですから、もう戦いつづけられません。だったら、生活と補給を建て直さなければいけません。

―― 持久戦ですからね。局面が変わっているわけですよね。

執行 弾と食料を送る方法を採る。それは国民生活を支えることです。ところが今政治家のやっていることは、国民生活を叩いているのですから。

―― そうですよね。それを「自粛」という名のもとに……。

執行 「何が自粛だ、要請だ」ということです。政治家には、まず、自分たちがやれと言いたい。政治家に知り合いはいませんが、いたら言ってやります。名指しで言うのは悪いですが、政治家たちは休んでいないだろう、と。テレビ局にしても、普通の会社に8割は通勤も何も休めと言いながら、自分たちは休んでいないし、番組もやっています。自分が休んでいないじゃないか、ということです。人に言うなら、まずテレビ局が番組を8割やめる。24時間のうち8割をテストパターンにする。そこまでやって、政治家も2割しか出ない。あとは全部、自宅待機する。自宅待機も家族と喋るなら意味がありません。本当にやるなら家族とも一切接触しない。それが隔離で、今は中途半端です。

 要するに政治家だって、自分たちがやっていない。官僚も自分たちはやっていない。少し聞くと、「こちらはテレワークではできませんから」などと言っています。しかし、そんな事情があるのなら、それは、ほかの会社も全部同じです。人がやっている仕事は全部命がけなのですから。テレワークだけでできる仕事など知れています。

 人間がやる仕事というものは命がけで、命と命がぶつかり合っているのです。それをやめさせておいて、自分たちはやっている。官僚もそうです。官僚を何人も知っていますが、みんな自分はやっています。それでいて市中の会社や、その日も食べられないようなラーメン屋に「お前たちは、やってはならん」と言っているのです。

―― 本当にそうですね。商店街の飯屋とか、みんな抑えつけているのですから酷い話だと思います。

執行 国民が築き上げてきた、いろいろな商売の伝統などを全部ぶち潰して、何もかも、もう元には戻りません。テレワークにしても、これだけテレワークを始めたら、もうビルを構えてやる普通の仕事には全面的には戻れません。

―― オフィスが要らないことが、わかったわけです。

執行 もう今、実感しています。

―― テレワークでできるなら要りません。

執行 テレワークでできるということが、多くの人にわかってきたのです。それがわかってしまったので、今後どうするのだろうと思って見ています。日本の政治家や官僚は何を考えているのか不思議に思います。

―― やはり死生観が定まらないと、生き方の軸がありません。生き方が定まっていないから、非常に大きな変化が起きたときにオロオロするだけなのです。

執行 今はそうです。今、僕は色々なことをしゃべっていますが、これらは全部、死を前提とした自分の生き方が定まっていないと、わからないことなのです。わかっていると、今僕が喋っているのは全部簡単なことです。

―― でも深いです。自分が死ぬかもしれないと思って人と付き合うのと、ずっと生きていると思って付き合うのとでは、人間に対する接し方が全然違ってきます。ずっと生きていると思うと、「どうやって利用してやろうか」という話にもなります。

 先生に挙げてもらった、道元の「花は愛惜に散り」という言葉はやはりすごいと思います。

執行 道元の『正法眼蔵』の「現成公案」に出てくる有名な言葉です。僕が大好きな言葉で、「花は愛惜に散り、草は棄嫌に生うるのみなり」と。どんなに素晴らしいもの、どんなに人々が愛するもの、いかに愛しても、すべて物事は散り果てていく。どんなに嫌おうが何をしようが、宇宙というのは生えるべきもの、生まれてくるものは、どんどん生まれてくる。だから、まずそれを受け止めなければいけない、ということです。これを受け止めるのが死生観です。そして、それがあるとコロナ対策もわかります。

―― この部分があって政策を語るか、この部分がなくて場当たり...
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