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名将ネルソンは、国のために死ぬ覚悟があるから自由だった

伝染病と死生観(7)自分の宿命を知ることが人生の喜び

概要・テキスト
ホレーショ・ネルソン
「自分の宿命がわかることが人生の本当の喜び」という言葉があるが、これは「わきまえがある」ということでもある。貧しさも受け入れれば、貧しいなりの幸せがある。自分の出身、自分の基礎能力などといった「宿命」を受け入れ、愛することが大切なのである。また、上に立つ人間が立派になりうるかどうかは、偉大な宗教や思想が国にあるかどうかに左右される。たとえばトラファルガーの海戦で活躍した名将ネルソンは、自分は海軍軍人として「国家のために命を捨てる」と子どものときから覚悟を固めていたからこそ、破天荒で自由に生きられたのである。(全7話中第7話)
※インタビュアー 神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12:07
収録日:2020/04/24
追加日:2020/06/26
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≪全文≫

●日本はなぜ上流階級に「人材」がいないのか


―― やはり、「空海や道元みたいな天才になれ」といったことを強要されて、わきまえがないやつが徘徊する。わきまえがないと、普通の人にとってどれぐらい不幸なことか、それがわからなくなってしまうのですね。

執行 そういうことです。わきまえは重要です。ただし死生観がないと、わきまえは出ません。

―― 確かにそうですね。わきまえは、死生観がないとできないですね。

執行 基本的には、「何が自分なのか」がわからないと。そこがわかって、本当に自分の人生が築ける。そして、人一倍の努力をした場合、「私は何であるか」もわかるようになります。わかるようになった人は特別優れた人です。これは歴史上、少ない。

―― そんなものを目指せといわれても……。

執行 今は国民全部がそうなっているのです。

―― これは酷い話ですね。

執行 これは無理です。

―― 無理ですね。だから欲求不満だらけの人が増えていく。

執行 みんなノイローゼになるのです。嘘だから。

―― ありえないですからね。

執行 どこまでも優秀になるのは当然ですが、そうなる人は、それなりの努力と才能が要るわけです。僕としては「やりたい人は、ご自由にどうぞ」というだけです。文明はそうやってきたのです。多くの人は、自分の宿命と運命を知って、そこに立ち向かうということです。

―― どういう場所に生まれたか、どういう親に生まれたか、どういう家に生まれたかは、全部仕方ないですからね。

執行 仕方ないというより、それが喜びであり、人生なのです。「なぜ貧乏人の子だと嫌」なのか。ここがダメなところです。僕の場合は、たまたま武士の家に生まれましたが、僕は貧乏に生まれても何にしても嬉しいです。自分の家が好きだから。僕は、日本人に生まれたから、日本が好きなだけだから。単純といえば単純ですが、日本をなぜ好きかというと、祖国だからです。

―― わかりやすいです。

執行 当たり前です。

―― そっちのほうが楽ですよね。

執行 僕はみんなに「偏っている」といわれますが、偏っていない人はいません。人間は全部偏っています。フランス人は「フランスが好きだ」というのだから偏っていますが、そういう人が立派なフランス人です。

―― やはり、わきまえがあって、ある程度の不条理、不平等を認めないと、心穏やかにならな...
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