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全国民に10万円より、医療に12兆円を

伝染病と死生観(2)腹を切る覚悟で断行せよ

情報・テキスト
新型コロナウイルスを水際で止められなかったのは、政治家が、批判されて「腹を切る」羽目になることを怖がったからである。「伝染病を食い止めるのが俺の死に場所」と政治家が覚悟し、強権を発動すれば今のような事態にならなかった。今、まず政治家に求められるのは失敗を認めて責任を取る覚悟を固めること。そして、経済を止めず、全国民に10万円を配るより、12兆円を医療に投ずることである。国家権力は、そのような断行ができるはずである。(全7話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:15:17
収録日:2020/04/24
追加日:2020/05/22
カテゴリー:
≪全文≫

●黄熱病に立ち向かった野口英世の生き方に学ぶ


―― 社長はずっと、「幸せ病」とおっしゃっています。

執行 幸福病。

―― これは相当な病ですね。

執行 魂を失って物質文明だけになれば、なってしまいます。

―― 「みんなが幸せになれる」みたいな。

執行 これも魂レベルで考えたら、「みんなの幸せ」は無理だとわかります。人間は比較の動物ですから、他人が不幸でなければ幸福ではないのです。魂について研究して、「魂が幸福を生み出す」ということがわかると、幸福とはみんながなれるものでは絶対にないとわかります。なぜなら、今いったように幸福の条件は、他人が自分より下であることだからです。人間は、いやらしいけれど誰かを見下すことによって、自分の幸せをつかむのです。これは良い悪いではありません。

―― 本性なんですね、人間の持っている。

執行 人間の本体であり、人間の文明の本体です。これがなければ動物です。ライオンやトラなど、1つの「種」のなかでは全部一緒。神から与えられた本能のまま生きるだけです。ところが人間は「差別化」、つまり「俺は違う」というものを作り上げました。そこから魂ができて、それによって文明が生まれたのです。

―― 「俺は違う」というところから生まれるのですね。

執行 文明と呼ばれるものは、全部文化です。文化が集積して国家権力に結びつくと、文明になります。それは全部、差別化です。「ほかと違う」という、つまりは自負心です。自負心は、裏返せば差別意識です。

―― 確かにそのとおりです。

執行 その差別意識が、文明にとっては極端に大切だということです。それを今失っているのです。

―― もともと持っていたものを全部捨ててしまったのですね。

執行 病気の克服でも、例えば結核が流行っていた、僕の子どもの頃までは、確かに恐れおののいて逃げている人もいました。ところが恐れおののいて逃げるのは、卑怯だ腰抜けだと言って、それに立ち向かい、平気で危険を冒して生きていた人もいました。その人たちが文明を担ってきたのです。

―― 黄熱病に立ち向かった野口英世をはじめ、いっぱいいたわけです。

執行 野口英世も黄熱病で死にました。だから仕方ないことなのです。細菌学は特にそうで、多くの人が死にました。その人たちが研究することで、ペストもコレラもみんな克服されたのです。

―― その野口英世も、日本人はもう忘れ去っています。

執行 だから野口英世らの生き方が、今僕が言っている生き方です。ところが今こういう話は、政治家を中心にわからなくなっています。わからないのは死生観が前もってないからです。だから「だって肉体が大切じゃないか」と言われると、「ああ、そういうことですか」となってしまう。一方、僕の話は魂の話です。「魂のために肉体を犠牲にする」のが昔の考えなのです。

―― 命より大事なものがある。

執行 それが人間で、なくなれば禽獣(きんじゅう)、動物です。それこそ孔子孟子の昔から、きちんと、ものの本にも書かれていることです。これは僕の父や祖父の時代まで、ある程度の人はみんな言ったことです。

 今は僕が言うと、おかしなことに聞こえます。それほど今は経済成長のため、消費文明のために、人間として持っていた魂的なもの、道徳などを全部捨ててしまったのです。捨てたどころか「悪いこと」になっているのです。

―― そのツケを今払わされている。これから払わされる、という感じですね。

執行 今はもう、飽食です。飽食でやりたい放題で経済成長した。そうなったら今度はみんな臆病になって、「幸福になりたい」「死にたくない」と。昔はこういう人を「腰抜け」と言いました。今の人は怒るでしょうが。

―― 「卑怯」や「腰抜け」という言葉は使えなくなりました。

執行 そうなのでしょうね。しかし、僕の父親が生き返れば言います。「何だ、この腰抜けどもは」と。今のコロナの騒ぎも、昔の人ならそうです。これは病気をなめているのではなく、病気に立ち向かうのが人類だと言いたいのです。

―― 立ち向かうのが人類だし、病気と向き合ってきたのが人類の歴史なのですね。


●中国と絶交する水際対策が必要だった


執行 でも今は、少なくとも逃げ惑っています。今の政策はすべて、逃げ惑うことです。今のコロナについて一言言わせてもらうなら、こうなってしまった原因ははっきりしています。結論から言うと、このような伝染病は水際で抑えなければダメなのです。とくに日本みたいな島国は。

 水際とは、中国で流行っていたときです。このときに中国と絶交し、鎖国する。これが水際対策です。

―― 国境を閉鎖する。

執行 国境封鎖です。これを相当期間、中国で(ウイルスが)なくなるまで続ける。これをやるのが権力です、本当は。ところ...
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