江戸とローマ~花見と剣闘士
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
大祭「サートゥルナーリア祭」はクリスマスの原型か
江戸とローマ~花見と剣闘士(5)祭と無礼講
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
派手な祭りと無礼講は各国共通だが、江戸とローマは中でも群を抜いている。古代ローマの12月に行われた「サートゥルナーリア祭」はその典型で、奴隷も参加したといわれる。祭りの羽目外しを自粛しがちなのが日本だが、個人の自由ととらえ、規制を退ける強い意識は現在のヨーロッパにも生きている。(全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:6分56秒
収録日:2021年5月24日
追加日:2021年12月13日
≪全文≫

●大祭「サートゥルナーリア祭」はクリスマスの原型か


―― あと、江戸の楽しみというと、今でもそうですが、お祭りでしょうか。山王祭、神田祭、深川祭のような祭りがあったりします。ローマの場合、そういう祝祭はどういうイメージで行われたのですか。

本村 それはもちろん、ありました。1年のうちのほとんど半分、あるいはそれ以上が何かの祭りになっているということです。

 ただ、お祭りでは基本的にドンチャン騒ぎをして、お酒を飲んだりするわけです。そういうことがどこまでオープンに許されるかというのが、お祭りの基本ではないかと思っています。その中に見世物として「パンとサーカス」の、特にサーカスのほうがあったりするわけですね。

 お祭りそのものは江戸もローマも同じです。また、他の地域でもそれはあるけれども、やはり江戸とローマはその中でも突出して多かったのではないかと思います。

―― そうですね、寺社仏閣はたくさんありますから、それらのお祭りを含めると、相当頻度が高かったと言われます。日本の場合、いわゆる山車とか「ねぶた」のようなものを組んで練り歩いたり、いろいろな賑わいがありますが、ローマもいろいろな祭りのときにはそういうものがあったのでしょうか。

本村 そうですね。いろいろな出し物があったりしますが、「サートゥルナーリア(祭)」というのが一番大きな祭りでした。実は(競馬の)馬の名前にもなっていますが、ローマの年の一番最後のほうにある祭りです。

 一年の終わりの頃は収穫が終わった時期ですから、どこの土地でもそれを祝う。これがそのまま引き継がれたのかどうか、クリスマスなどもその祭りの期間に含まれています。ローマ時代からあった祭りが、キリスト教の中で「イエスの誕生した日」という形にすり替わったのかもしれません。

 本当にその日が誕生日だったのかどうかより、年の一番最後のところで、みんなが1週間なり10日なり本当の無礼講で楽しめる期間です。この期間は奴隷も参加していいとか、そういうことをやっていたのではないかと思います。


●まともに街を歩けない、イタリアの年越し花火


―― 古代とイコールというわけにいかないでしょうけれども、先生はローマなりイタリアのお祭りなどに行かれたり、出くわしたりされたことはございますか。

本村 出くわしたというのはないけれど、12月31日の花火はどこ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治