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アマゾンとグーグル創業者が疾走した世界最大・最強への道

続・シリコンバレー物語~創業者群像と課題(3)ベゾスとペイジ&ブリン

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
情報・テキスト
創業者群像の第3話では、アマゾンのジェフ・ベゾス氏、グーグルのラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏を紹介していく。「アマゾン・エフェクト」を及ぼして既存の小売業を消滅させるアマゾンの商法の原動力はどこにあるのか。双子のようなコンピュータの天才が率いたグーグルはどこまで大きくなるのだろうか。(全11話中第3話)
時間:11:17
収録日:2021/07/20
追加日:2022/05/24
≪全文≫

●「アマゾン・エフェクト」で小売業を呑み込むモンスター


 次は、アマゾンをつくった驚異の人、ジェフ・ベゾス氏です。

 ベゾス氏は、eコマース書店から世界最大・最強の小売ネット企業を構築しました。消費者のために最大のネットワークを用い、最速の配送を実現するために、大規模・最新のシステムに対して莫大な投資をしています。

 売上は巨大ですが、利益は最小。なぜかというと、消費者の「効率」のために注力しているからです。ただ、アマゾンの労働負荷がそうとう高いことは有名で、最近では、労働組合結成に対する動きも報道され、よく知られています。

 これは後ほど言いますが、「軍隊的」ともいわれるアマゾンの社風は、ベゾス氏の両親から引き継いだ勤勉さが、そのルーツの一つではないかと言われます。両親といっても、実は父親が義理の関係で、キューバ移民でした。母親の再婚によって4歳で養子になったわけで、半分キューバ人という言い方もできるかと思います。

 最強の競争力と急速な拡大により、小売業の圧倒的な地位に立ち、他の小売業がどんどん消えていく「アマゾン・エフェクト」を及ぼしています。1年間に数千軒から1万軒ぐらいが消えていく。さらにベゾス氏は宇宙開発に非常な興味を持ち、つい最近(2021年7月20日)、(自身の立ち上げた「ブルーオリジン」が)開発したロケットで宇宙に飛び出しました。


●勤勉な養父のエートスを受け、30歳で起業


 ジェフ・ベゾス氏(ジェフリー・ベゾス)の父親はテッド・ジョルゲンソン、母親はジャクリーン・ジョルゲンソンというアメリカ人。彼が生まれた時、父親はバイクショップのオーナー、母親は17歳だったといいます。

 母親は間もなく離婚し、キューバから移民してきたミゲル・マイク・ベゾスという男性と、68年に再婚します。義父となるマイク氏は、4歳の時に彼を養子に引き取ったわけです。一家はやがてテキサス州ヒューストンに移住します。マイク氏はニューメキシコ大学を卒業後、エクソンでエンジニアとして働き始めました。非常に勤勉だったようで、そのエートスが彼にも受け継がれているといわれています。

 彼は小学校の頃に科学に関心を持ち、工作も得意でした。やがて一家はフロリダ州マイアミに移住して、彼はマイアミの高校に通いますが、高校在学中ずっとマクドナルドでアルバイトをしていたそうです。それにもかかわらず、卒業の時には全学年の総代を務め、超優秀な生徒に贈られる奨学金をもらって表彰されます。86年にプリンストン大学を優秀な成績で卒業して、電気工学と計算機科学で学位を取得。非常に優秀な人のようです。

 大学卒業後はいろいろな会社を経験しますが、オンラインの書店を創業しようと決めたのは93年の後半です。ニューヨークからシアトルに移動する時に事業計画を書き上げ、94年に自宅のガレージでアマゾンを起業します。この時、貧しい両親が30万ドルも都合してくれたのだそうで、非常に感謝しているといっています。


●ブルーオリジン、ワシントンポスト、そして退任


 さて、21世紀に入った途端、世界中が「ドットコム不況」に襲われます。ベゾス氏のところも例外ではなく、2000年に銀行から200億ドルの融資を受けたものの、アマゾンのキャッシュバランスはわずか3億ドルしかありませんでした。大変不調で、物流センターを閉鎖したり、レイオフをしたり、いろいろなことをしていましたが、とうとう2002年の後半、大規模投資により収益がまったくなくなって、破綻の危機をささやかれます。この時は、ほとんどつぶれそうだったようです。

 しかし、2003年になると財務状態は回復して、4億ドルの黒字を出します。2007年にはKindle をスタートし、2013年に行われた「オンライン小売企業の評価」において、アマゾンは断然世界トップの企業という認定を受けます。

 一方でベゾス氏は、2000年の9月に有人宇宙飛行を目的とするベンチャー企業「ブルーオリジン」を設立しています。さらに2013年には「ワシントンポスト」を買収して、たちまちのうちに黒字にしていきます。ところが、トランプ氏がさかんにベゾス氏への攻撃を繰り返し、口汚く罵ります。「ワシントンポスト」がトランプ批判のような記事を出すのが原因で、「叩け」と言っていたそうですが…。

 ベゾス氏は2021年の7月に退任すると発表していて、予告通り退任しました。退任して約2週間後には、ブルーオリジンの開発したニュー・シェパード号によって、初の有人宇宙飛行に参加したことが、大きなニュースになりまし...
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