続・シリコンバレー物語~創業者群像と課題
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
アインシュタインも不要?アルゴリズム革命で生じた大転換
続・シリコンバレー物語~創業者群像と課題(6)アルゴリズム革命〈下〉
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
アルゴリズム革命は科学方法論に大変革をもたらした。理論駆動型からデータ駆動型への大転換である。きっかけとなったのは、1990年代に行われた「ヒトゲノム解読計画」。その後、大量のデータと超高速のコンピュータはデータサイエンスという新しい分野を切り開き、私たちの生活に食い込んでいる。(全11話中第6話)
時間:8分27秒
収録日:2021年7月20日
追加日:2022年6月14日
≪全文≫

●科学方法論の大転換


 こういうこと(アルゴリズム革命)が何をもたらしたかというと、科学方法論が大転換してしまいました。

 これまでは何が一番すぐれた科学かというと、物理学でした。「理論駆動型科学」といわれるそうですが、ガリレオは太陽の動きを観察して、「地球が太陽の周りを回っている」と言いました。ニュートンは物が落ちるのを見て、それに関する理論を挙げました。

 その後、アインシュタインに至るいろいろな理論が出てきますが、彼らに共通しているのは「理論のないデータはクズだ」ということです。ニュートンは3本の方程式で宇宙のあらゆる現象の説明に成功しています。

 しかし、そのために非常に単純化もしているということはあります。学問上の論争はモデルの正しさをめぐって行われます。モデルと違った結果が得られたら、そのモデルは破棄される。だから、理論というのは、捨てられなかったモデルの体系だといいます。つまり、最後まで生き残った理論のかたまりがモデルであり、(本質を理解するための)道具だということです。

 今日この動画を視聴している方は、ほとんどご経験があると思いますが、科学するときには、例えば世界中の人口や日本の人口が相手では莫大で手が出ません。何百人か何千人かのサンプルを拾ってきて、大きな理論を理論仮説から作業仮説に下ろし、実証研究するわけです。統計的に優位かどうか。優位であれば、そこで意味されることは政策に使われるし、生産管理に使われる。そのようにわれわれは科学を習ってきました。

 ところが、その全部がアルゴリズム革命により不要になってしまったのです。ですから、世代による大きな違いが、今や出てきています。極端にいうと、ニュートンもアインシュタインも要らなくなったということかもしれません。


●データ駆動型の機序となったヒトゲノム解読計画


 なぜそれができたかというと、ヒトゲノムの解読計画があったからです。覚えている人もいるかもしれませんが、1990年代にアメリカ政府が全力を掛けて、アメリカ人の全遺伝情報を解析すると言ったことがあります。

 ゲノム解析で行うのは、人の全遺伝情報であるDNA分子をシークエンサー配列解読機にかけて読み取る作業です。これ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(2)MAGAの矛盾と内戦の現状
MAGA内戦勃発…なぜトランプがMAGAの敵になってしまうのか
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(2)プロテスタントと「予定説」
カトリックとプロテスタントの違いは?「救済予定説」とは?
橋爪大三郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理