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よく妬まれる人はどうすればいい?ポイントは察知能力

組織心理学~「妬み」との上手な付き合い方(3)感謝のこころと「見る目」の養成

山浦一保
立命館大学スポーツ健康科学部・研究科 教授
情報・テキスト
妬まれることの多い人はどうすればいいのか。「打たれる釘は打たれるので、もう飛び抜けてしまえ」という話があるが、実はなかなか難しい。となると、ポイントになるのは察知能力だ。そこはリーダーにとっても重要なことだが、チーム力を上げるためには仲間にも求められるところである。今回は、妬みを緩和させるカギとなる「感謝のこころ」についてとともに、「見る目」の養成について解説する。(全3話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12:24
収録日:2023/06/21
追加日:2023/11/17
≪全文≫

●感謝の念は妬みの緩和剤


── それ(前回お話しした「リーダーだけでなく、メンバーの誰かがコミュニケーションをとっていく」ということ)は相手に心を配っているというか、相手の心を見ているところでもあるので、そういうのは、お互いに伝わっていくことになるのでしょうね。

山浦 そう思います。「1週間、感謝の念をわりと頻繁に感じ取れたという方は妬みの感情が薄れていく」というデータが研究室で出ました。まだ継続してデータを取っていかないといけませんが、学会でも発表させていただいています。もしかすると、そういう可能性もあるかもしれません。

── 感謝を感じ取るというのは、具体的にどういうことですか。

山浦 それは漠と聞いているので、何でもいいのです。上司に対してでも、仲間に対してでも、家族に対してでも、あるいは自然の豊かな恵みに対して「お天道様、ありがとう!」ということでもかまいません。何でもいいので、「この1週間、どのぐらい(感謝を)感じましたか」という漠とした項目で聞いています。その頻度が高い人は、1週間前に強く妬みを感じていても、1週間後にはそれ(感謝の念)を思わない人よりも(妬みが)薄れているというのです。

── なるほど。それでは、感謝の心を感じたほうが得…というと語弊がありますが、そういうことですね。

山浦 そうですね。なので、自分の心も落ち着かせることができ、マインドフルネスにもあたるというのであれば、相手の方に対しても幸せを与える。こんなにいいことはないですね。

── 確かに少し想像力を働かせると、「これをしてくれるのにどれだけ苦労してくれたのだろう」と思って、感謝の心が湧いてくるものですよね。そう思えるかどうかというのも、一つ大きな(ポイントでしょうか)。

山浦 そうですね。そういう目線、視野の広がりがご自身の中にあるかどうかというのは、試していただきたいと思います。

―― なるほど。


●妬まれることの多い人は飛び抜けてしまえばいい!?


―― あと、妬みに関してお聞きしたいのが、妬む側のことばかりではなく、妬まれやすい人や妬まれる立場にある人がどうすべきかということです。(本には)ヴァン・デ・ヴェン氏の実験やエピソードが書いてありました。

 私が非常に印象深かったのは、妬まれる危険性について理解していると、結構うまく回避できるケースもあるということです。妬まれるケースが分かっていないと、ますます妬まれてしまうかもしれない、という指摘もありました。「妬まれることに対する恐れを抱く」というのは、たしかに集団生活における一つの知恵だというところもあると思いました。この点について、ご説明いただいてもよろしいですか。

山浦 はい。基本的に、人は他人と比較をする。ただ、比較をするといっても、皆さんの中のとても足の速い人は、オリンピック選手や金メダリストと常に比較しているのでしょうか。一方、スポーツは苦手という人が金メダリストと比較をして、自分の足が速いとか遅いと判断するのでしょうか。おそらく後者の方は、まずそうされないと思います。

 人間は自分の能力を的確に知りたい、占いたいと思うわけですが、そのときにどうしても比較対象物が要ります。そのときに、あまりべらぼうにかけ離れた人と自分の比較はしないわけです。そこが重要なポイントで、自分とちょっと違うというか、自分が優れているのか・劣っているのかの際どいラインにいらっしゃる方を、うまく見極めて比較対象にするのです。そのことによって自分が良かったか・悪かったかの判断をしますので、妬まれることの多い方は、おそらく飛び抜けてしまえばいいのかもしれません。

―― 逆に隔絶してしまうという方法もあるわけですね。

山浦 そうです。よく芸能人の方や経営者の方などにもおっしゃる方がいると思うのですが、「打たれる釘は打たれるので、もう飛び抜けてしまえ」というのが、まさにそれだと思います。でも、なかなか飛び抜けることは難しい。

―― 言うは易く行うは難し、というところですね。

山浦 そうです。


●リーダーの俯瞰力と仲間の「見る目」の養成でチーム力を上げる


山浦 ですから、そういう場合、やはり察知能力が要る。それでどうするかというと、むしろご自身の能力を使って、妬んでいそうな方のためにその力を注いでみる。あるいは自分が犠牲を払って、周りの方々や職場がよりよくなるように縁の下の力持ちを買って出てみる。そういう手法をとるのはとても有効だということが分かってきています。

―― 「俺が、俺が」と言うのではなく、むしろ誰かのために何かをしてあげるという思考に変えていくということですか。

山浦 そうですね。そういうところから、おそらく周りの方は温かさを感じるのですね。そういう温かいパーソナリティ...
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