本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
松岡洋右の国際連盟演説の大問題…勉強と意思疎通が不足
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(6)どう考えても大義名分が立つ行為だった
渡部昇一(上智大学名誉教授)
どう考えても満洲国の建国は、偏見を交えずにいえば、十分に大義名分が立つ行為だった。そもそも、清朝の皇帝が自分の郷里に帰り、国をつくってどこが悪いのかということなのだ。ところが松岡洋右首席全権が国際連盟総会で行なった演説をざっと見る限り、その点を強調した箇所は見当たらなかった。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第五章・第6回。
時間:9分10秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月7日
≪全文≫
 しかし、どう考えても満洲国の建国は、偏見を交えずにいえば、十分に大義名分が立つ行為だった。そもそも、紫禁城から追われた溥儀が軍閥・憑玉祥の部隊に追われる恐れが生じたため、家庭教師のレジナルド・ジョンストンとともに日本公使館に逃げ込んだことが、この満洲国建国の発端にはある。だから満洲国は、満洲族の出身である清朝最後の皇帝・溥儀が故郷に戻ってつくったということを、もっと広めていけばよかったのである。そもそも、清朝の皇帝が自分の郷里に帰り、国をつくってどこが悪いのかということなのだ。

 ところが松岡洋右首席全権が国際連盟総会で行なった演説をざっと見る限り、その点を強調した箇所は見当たらない。彼は若い頃アメリカにいたので、東洋の歴史には詳しくなかったかもしれない。詳しくなくても構わないのだが、せめて勉強はしておくべきではあった。

 さらにいえば満洲事変の立役者である石原莞爾と胸襟を開いて話し合い、情報を共有していれば、国際連盟における松岡首席全権の答弁と満洲における軍の動きの平仄が合い、信憑性が高まっていただろう。政府(外務省)と派遣軍(関東軍)は、二つの別の国のように別々に動いていたのである。意思の疎通がまったくないために、国際連盟での答弁とは異なることが現実には起きていた。その意味で、国際連盟における答弁や演説は、シナの専門家が同行して補助するべきだった。

 それこそ石原莞爾ならば、日本の満洲政策をきちんと説明できたに違いない。戦後、石原莞爾は、山形県酒田市の酒田商工会議所で開かれた東京裁判の臨時法廷に呼ばれたが、当時病を得ていたにもかかわらず絶対の自信があり、あたかも東京から来た検事が嘲笑されていたような雰囲気さえあった。

 明治の頃なら、彼を辞めさせて外交官にするということもできたかもしれない。だが、昭和になると組織や規則が確立されてしまったから、そういう勝手なこともできなかった。

 石原莞爾のことは、また少し後で触れるとして、ここで国際社会における日本の主張の下手さという問題点を指摘したい。というのも、日本が自らの立場を強く主張しないのは、いまでも同じだからである。

 たとえばシナは尖閣諸島について、「明代には中国側の冊封使によって既に発見・認知されており、中国の海上防衛区域に含まれた台湾の附属島嶼であった」(外務省ホームページ)と主張し...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
ソフトな歴史学のすすめ(1)グローバル・ヒストリーと民俗学
グローバル・ヒストリーの中で日本の歴史を俯瞰する意味
上野誠
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国大名と民衆の過酷な課題…飢饉の常態化をどう生き延びるか
黒田基樹
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(1)決断と信念のユダヤ人救出
毅然として人道を貫き、命を救う…樋口季一郎のユダヤ人救出
門田隆将

人気の講義ランキングTOP10
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(5)陸軍悪玉論の中の名将たち
武力を持ったエリート官僚たち…陸軍悪玉論と個々人の決断
門田隆将
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
ウェルビーイングを高めるDE&I(1)人と組織を取り巻く環境変化:前編
人材はコストではない!人的資本経営が注目されている背景
青島未佳
編集部ラジオ2026(13)心の「柔軟性」を高めるヒント
【10minでわかる】心の「柔軟性」を高めるヒント
テンミニッツ・アカデミー編集部
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(2)失敗の本質
『失敗の本質』初版から30年…同じ失敗を繰り返す日本組織
三谷宏治
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司