本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
もし大虐殺があったなら、南京政府が樹立できるはずがない
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(11)虐殺後の南京に「汪兆銘政府」ができるか?
渡部昇一(上智大学名誉教授)
仮に南京で大虐殺があったなら、汪兆銘は南京政府をつくることができなかっただろう。いってみればそれは、虐殺が行なわれたアウシュヴィッツなどの地に、虐殺を主導した人々が新しい政府を打ち立てられるか否か、という問いと同じである。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第五章・第11回。
時間:4分24秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月10日
≪全文≫
 第一次安倍政権の頃に、「日中歴史共同研究委員会」と称して、日本とシナの学者たちがいわゆる歴史問題について話し合う会合が行なわれているが、日本では南京問題を研究した人は一人も入っていない。私は日本側の座長だった北岡伸一氏とも一緒に議論をしたことがあるが、彼が南京問題を真剣に研究していたとはとても思えない。

 そういう人が日本側の座長だったのだから、人選が間違っているといわざるをえない。そのため「日中歴史共同研究委員会」では、日本の学者がなんとなく向こうの学者と会って話し合い、「日本が悪うございました」というような結果になった。だから、とくに国家間で見解の異なる問題を話し合う場合、そこに送り出す人を選ぶ側である外務省や文部省の役人によほど勉強してもらわないと困るのだ。

 実際、シナ人たちが「南京屠殺」と呼んでいる南京事件で、巻き込まれた人はいるかもしれないが、市民の虐殺は事実上限りなくゼロに近かったのである。殺された大半は、南京陥落の折に、軍服を脱ぎ、一般市民に紛れ込んだいわゆるシナの「便衣兵」であった。便衣兵とは、民間人に偽装した兵隊のことである。国際法上でいえば、きちんと軍服を着て、軍人とわかるかたちで降伏しなければならない。しかし南京攻略戦のときは、南京防衛軍の唐生智司令官が撤退命令を徹底させないまま退却してしまったので、軍紀の乱れたシナ軍の兵士たちは勝手に軍服を脱いで市民に紛れ込んでしまったのである。それまでも便衣兵からの攻撃を受けていた日本軍は、投降しない便衣兵を処断する必要があった。そして、便衣兵を処刑することは、国際法上、捕虜虐待などの咎にはならないのである。

 だいいち、先ほども少し述べたが、仮に南京で大虐殺があったなら、汪兆銘は南京政府をつくることができなかっただろう。いってみればそれは、虐殺が行なわれたアウシュヴィッツなどの地に、虐殺を主導した人々が新しい政府を打ち立てられるか否か、という問いと同じである。もし、本当に30万人もの人々を大虐殺するような事件があったなら、そんな大虐殺の跡地に、シナ人たちが「汪偽政府」や「汪偽国民政府」と呼んでいる親日政権を設立することを、民衆が許すはずがない。

 汪兆銘は中国国民党左派のリーダーで、蔣介石とは対立もしたが、ともに孫文の弟子で、愛国心については一点の曇りもない。その彼が、このままでは...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也

人気の講義ランキングTOP10
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(3)テクノロジーの進化とエンタメのいま
VR、ゲーム実況、ブロックチェーン…一方でリアルライブも
水野道訓
東大ハチ公物語―人と犬の関係(1)上野英三郎博士とハチ
忠犬ハチ公で哲学する…人と犬の関係から見えてくる道徳論
一ノ瀬正樹
徳と仏教の人生論(2)和合の至りと正直
正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの
田口佳史
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
未来を知るための宇宙開発の歴史(14)宇宙開発は未来をどう変えるか
『2001年宇宙の旅』が現実になる!?カギは宇宙医学
川口淳一郎
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(2)心理的安全性とは何か
心理的安全性とは?Google流の成功するチームの条件
青島未佳
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄