本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌
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もし大虐殺があったなら、南京政府が樹立できるはずがない
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(11)虐殺後の南京に「汪兆銘政府」ができるか?
歴史と社会
渡部昇一(上智大学名誉教授)
仮に南京で大虐殺があったなら、汪兆銘は南京政府をつくることができなかっただろう。いってみればそれは、虐殺が行なわれたアウシュヴィッツなどの地に、虐殺を主導した人々が新しい政府を打ち立てられるか否か、という問いと同じである。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第五章・第11回。
時間:4分24秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月10日
≪全文≫
 第一次安倍政権の頃に、「日中歴史共同研究委員会」と称して、日本とシナの学者たちがいわゆる歴史問題について話し合う会合が行なわれているが、日本では南京問題を研究した人は一人も入っていない。私は日本側の座長だった北岡伸一氏とも一緒に議論をしたことがあるが、彼が南京問題を真剣に研究していたとはとても思えない。

 そういう人が日本側の座長だったのだから、人選が間違っているといわざるをえない。そのため「日中歴史共同研究委員会」では、日本の学者がなんとなく向こうの学者と会って話し合い、「日本が悪うございました」というような結果になった。だから、とくに国家間で見解の異なる問題を話し合う場合、そこに送り出す人を選ぶ側である外務省や文部省の役人によほど勉強してもらわないと困るのだ。

 実際、シナ人たちが「南京屠殺」と呼んでいる南京事件で、巻き込まれた人はいるかもしれないが、市民の虐殺は事実上限りなくゼロに近かったのである。殺された大半は、南京陥落の折に、軍服を脱ぎ、一般市民に紛れ込んだいわゆるシナの「便衣兵」であった。便衣兵とは、民間人に偽装した兵隊のことである。国際法上でいえば、きちんと軍服を着て、軍人とわかるかたちで降伏しなければならない。しかし南京攻略戦のときは、南京防衛軍の唐生智司令官が撤退命令を徹底させないまま退却してしまったので、軍紀の乱れたシナ軍の兵士たちは勝手に軍服を脱いで市民に紛れ込んでしまったのである。それまでも便衣兵からの攻撃を受けていた日本軍は、投降しない便衣兵を処断する必要があった。そして、便衣兵を処刑することは、国際法上、捕虜虐待などの咎にはならないのである。

 だいいち、先ほども少し述べたが、仮に南京で大虐殺があったなら、汪兆銘は南京政府をつくることができなかっただろう。いってみればそれは、虐殺が行なわれたアウシュヴィッツなどの地に、虐殺を主導した人々が新しい政府を打ち立てられるか否か、という問いと同じである。もし、本当に30万人もの人々を大虐殺するような事件があったなら、そんな大虐殺の跡地に、シナ人たちが「汪偽政府」や「汪偽国民政府」と呼んでいる親日政権を設立することを、民衆が許すはずがない。

 汪兆銘は中国国民党左派のリーダーで、蔣介石とは対立もしたが、ともに孫文の弟子で、愛国心については一点の曇りもない。その彼が、このままでは...

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