本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌
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当時の国際社会では当たり前のことを日本はしなかった
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(5)満洲事変への批判を招いた幣原外相の罪
渡部昇一(上智大学名誉教授)
南京事件からの教訓を、幣原外相は生かそうとしなかった。満洲事変に至る過程をきちんと説明して、理解を求めれば、日本に批判が集まることはなかっただろう。だが、幣原外相は不拡大を唱えるばかりだった。それに対して、幣原外交にもはや聞く耳を持たない関東軍は粛々と行動したから、日本は「ダブルガバメント」だと批判され、受けなくてもよい不信の目を向けられることになった。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第五章・第5回。
時間:2分08秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月7日
≪全文≫
 満洲事変(昭和6年〈1931〉9月18日)が勃発すると、詳しい経緯は他書に譲るが、満洲駐屯中の第二師団を中心とする約1万の兵力が、約27万の正規軍からなる張学良軍を追い払い、満洲を押さえた。

 陸軍中央には当初、政府の不拡大方針に従おうとする動きもあったが、結局は満洲の占領および満洲国の建設に着手した。幣原外相は満洲事変に対して徹底的に反対したが、政府も結局は満洲事変を追認し、満洲国の建国を後押しするようになる。

 そういう態度が日本政府に対する信用を大きく低下させた。

 そもそも、現地の居留民を守るために軍隊が出動するというのは、現在はもちろん当時の国際社会ではごくごく当たり前のことであった。義和団が居留民を襲った北清事変では、イギリス、アメリカ、ロシア、フランス、ドイツ、オーストリア、イタリア、日本の八カ国が連合軍を出動させているし、蔣介石率いる国民革命軍(北伐軍)が南京で居留民を襲撃殺害した南京事件(昭和2年〈1927〉3月)の折には、英米が軍艦から艦砲射撃を行ない、陸戦隊を上陸させている。

 実はこの南京事件の折、日本人も殺害され、英米からともに行動するように声を掛けられているのだが、対支協調を謳う幣原外相はそれに応じなかった。それどころか、警備していた日本軍人は反撃を禁じられたため、婦女子を含む日本人が暴行、凌辱、略奪されるのをただ見ているしかなかった。結局、このことで、シナは日本を侮るようになり、さらに日本人に対する暴行事件が増えたばかりでなく、英米からも「日本だけがいい顔をしようとしている」と不信を招くようになったのだ。

 その教訓を、幣原外相はまったく生かそうとしなかった。満洲事変に至る過程をきちんと説明して、理解を求めれば、日本に批判が集まることはなかっただろう。だが、幣原外相は不拡大を唱えるばかり。それに対して、幣原外交にもはや聞く耳を持たない関東軍は粛々と行動したから、日本は「ダブルガバメント」だと批判され、受けなくてもよい不信の目を向けられることになったのである。

 さらにいえば、関東軍は満洲を攻め取って領有したのではなく、最後の清皇帝・溥儀を迎えて満洲国を建国している。もともと満洲は満洲族の故地であり、これは当時の国際常識からいっても穏健な手法であったといえる。

 清朝復興を心から望んでいた最後の皇帝・溥儀が満洲...

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