本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
列強に蚕食されていた中国で民族自決の気運が一気に高まる
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(2)アメリカとソ連が火をつけた「民族自決」
渡部昇一(上智大学名誉教授)
民族自決権という考え方が、対支二十一カ条で怒りを抱いたシナの若者たちに火をつけた。加えて、コミンテルンの過激な煽動によって、排日運動はどんどん激化していく。それがシナ本土だけならまだしも、満洲でも起こってくるから、なおさら日本も引けなくなった。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第五章・第2回。
時間:3分03秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月7日
≪全文≫
 だが、実は日本がロシアから得た満洲の権益の内実は不安定なものだった。いずれもロシアが清国と結んだ協定を、両国の了承のもとに引き継いだものだが、その協定では大連や旅順が含まれる関東州の租借期間はわずか25年であり、東清鉄道の権益は、開通後36年で清国が買い戻せることになっていた。租借は大正12年(1923)に、鉄道は昭和8年(1933)前後には、期限を迎えることになっていたのである。

 その後、明治44年(1911)に辛亥革命が起こり、シナでは中華民国が生まれ、やがて袁世凱が大総統の地位に就く。日本は袁世凱に突きつけた対支二十一カ条(大正4年〈1915〉)──このうち最後の五カ条は撤去──で、99年の期間延長を認めさせ、一息ついた。

 だが、ロシアにソビエト連邦が誕生して左翼思想で反日運動を煽動し、また、アメリカが引き続きシナへの参入を強く求めたことが、日本を新たな窮地に陥れていくことになる。

 ソ連のスターリンが、東アジアの主敵である日本を打倒するために「中国革命」を利用した話は第一章で紹介した通りだ。ソ連は、国民党にも中国共産党にも援助をし、両者を国共合作で合同させようと画策する。そして民族主義を鼓吹し、中国人民の敵愾心を日本に向けて、各地で深刻な反日運動を展開させていった。

 そして、民族主義を鼓吹したのはアメリカも同じだった。第一次大戦後にアメリカが訴えた「民族自決権」という考え方が、大きな影響を与えたのである。

 「民族自決」とは本来、第一次大戦終盤にアメリカのウィルソン大統領が議会に対する教書の中で、講和の原則の一つとして示したものである。あくまで第一次世界大戦の戦場となったヨーロッパ、とくに当時のオーストリア=ハンガリー帝国などの支配下にあった各民族に対し、政治体制や帰属を自ら決定する権利を持つ、としたのが、ウィルソン大統領が唱えた民族自決権であった。

 そもそも、イギリスがインドをはじめとする植民地を、民族自決権に基づき独立させるはずはないし、アメリカもフィリピン、ハワイに対して民族自決権を認めるわけがない。民族自決権といえば非常にきれいに聞こえるが、実は、それはハプスブルク家が統治していた東ヨーロッパから中央ヨーロッパにかけての複雑な民族関係に限られていたのだ。

 だが、そんなアメリカの本来の思惑を超えて、「民族自決」の考え方...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介

人気の講義ランキングTOP10
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
プロジェクトマネジメントの基本(10)大脳生理学によるモチベーション理論
論理的?計画的?社交的?冒険的?利き脳による4タイプ
大塚有希子
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
いま夏目漱石の前期三部作を読む(7)『門』に込められたメッセージ
『門』の主人公は神経衰弱…根拠を求める人の不幸とは
與那覇潤
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹