本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「日本人に土地を売ったら死刑」という法律までつくられた
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(4)激化する革命外交と排日運動
渡部昇一(上智大学名誉教授)
シナ国民政府の革命外交の方針はさらに強まり、加えて排日運動はさらに激化し各地で暴動が発生した。さらに、満洲では満鉄利権を脅かすように満鉄を包囲するかたちで鉄道が敷設され、日本人に土地を売った者は売国犯罪者として死刑その他に処すという法律までつくられ、排日教育も盛んに行なわれた。上智大学名誉教授・渡部昇一氏によるシリーズ「本当のことがわかる昭和史」第五章・第4回。※本項には該当映像がありません。
時間:9秒
収録日:2015年2月2日
追加日:2015年9月7日
≪全文≫
 一方、シナ国民政府の革命外交の方針は、さらに強まっていく。昭和6年(1931)には、「外国駐屯軍の完全撤退」「治外法権撤廃」「租借地の回復」「鉄道利権の回収」などが外交目標として掲げられるに至った。同年4月14日、上海総領事だった重光葵が王正廷外交部長と会見するが、その場で王外交部長は「革命外交は自分の真意であり、租借地・鉄道利権の回収には、もちろん旅順・大連など関東州と満鉄の利権が含まれる」と答えたのであった。

 加えて、排日運動はさらに激化していった。昭和5年(1930)5月にはコミンテルンの指示で満洲・朝鮮国境の間島地方で暴動が発生。日本領事館や、発電所、交通機関、親日朝鮮人家屋などが襲撃されている。

 このような暴動は各地で発生しており、昭和5年には年間100回近くの衝突事件が起きていた。

 さらに、満洲では満鉄利権を脅かすように満鉄を包囲するかたちで鉄道が敷設され、日本人に土地を売った者は売国犯罪者として死刑その他に処すという法律までつくられ、排日教育も盛んに行なわれた。

 これではたまったものではない。在留邦人は盛んに日本政府に対応を求めたが、幣原外相は腰を上げようとはしなかった。昭和5年10月に、間島地方の竜井村市内を巡察中の日本警官がシナ軍隊から発砲を受け、2名が殉職、1名が重傷という事件が発生した折には、日本は応援として警官百名余を派遣したが、幣原外相は「日支対立を深める」と、この増援に反対し、11月5日には反対を押し切って応援警官を引き揚げさせている。

 そんな中で、万宝山事件と、中村大尉殺害事件が起きる。

 万宝山事件は、昭和6年7月2日、長春郊外で水路工事を行なおうとした朝鮮人農民(当時、朝鮮人は日本人であった)を、中国人農民が襲撃した事件である。当時、満洲では朝鮮人が迫害対象となることが多かった。現地では日本警官が介入して朝鮮人たちを守ったため死者は出なかったが、朝鮮の中では反シナ人暴動が起きてシナ人が殺害される事件が起きている。

 そして同年6月27日、中村震太郎陸軍大尉が北満洲で地誌調査中にシナ兵に捕らえられて殺害されていたことが、七月に入ってから発覚する。日本は外交交渉を行なうが、シナ側は事実無根だとしらばっくれる。

 このように危機が高まっているなか、9月18日夜、柳条湖事件が発生し、満洲事変が勃発する...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫