テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.02.03

一般家庭の「光熱費と水道費」の平均は?

 除湿や冷房、暖房などエアコンが活躍する季節。気になるのは電気代を始めとする光熱水道費。みんなは一体どのぐらい使っているのか。一般家庭の光熱水道費の平均額などを、総務省統計の数字から深掘りしてみました。

夏場の電気代、みんな意外に節約してた

 総務省統計の家計調査によると、一般家庭(二人以上世帯)における7月~9月の水道光熱費の平均支出額は、以下のようになります。

[7月~9月の光熱水道費の推移]



 夏場の電気代はその年が冷夏か猛暑かによって大きく異なります。そこで、3年間のこの期間の平均を取ってみると、10,299円という結果になりました。たいていは引き落としにしている水道光熱費ですから、家計の余裕に直接かかわってくる費目ですね。

ピークは2月、6~7月が需要の底?

 夏場だけでなく、年間を通してみた電気代はどうなのでしょうか。実は全国平均値を追っていくと、電気代のピークは1月~3月。日照時間が短いうえ、暖房にも電気が必要だからです。4月以降は徐々に落ち着いて、冷房も暖房も必要なく、日照時間の長い6月~7月頭が最も電気代の低い月です。真夏から残暑にかけては冷房のための電気代がかかるため、8月・9月ではまた山を迎えます。

[月別電気代の推移(2021年)]



 北海道や東北、中部地方でも日本海側のような夏も涼しい地方では、8月~9月の電気代が低いのが特徴。その分冬の電気代は高くなります。年間を通した電気代は約12万円ですが、地方によってどのぐらい違いがあるでしょうか。

[電気代が高い順5都市(2021年)]



[電気代が安い順5都市(2021年)]



 最も安い神戸市の96,479円と最も高い福井市の181,814円では、約1.9倍の差があります。一般に大都市は光熱費が高いと思われがちですが、必ずしもそうではないようです。電気代の高い都市は、夏のフェーン現象が起こりがちな地域。そのあたりも関係するのかもしれません。

ガス代をめぐる攻防はこの先どうなる?

 続いてガス代はどうでしょうか。

 ガス代については、給湯(お風呂をふくむ)と調理器具が中心となりますが、やはり水温の低い冬場は高く、夏場は低い傾向があります。直近のデータを見てみましょう。

[月別ガス代の推移(2021年)]



 年間を通した2021年の平均は4,648円。ガス代については、電気代以上に都市単位での格差が大きいのが特徴です。全国主要都市の高い順と低い順で、5つずつあげてみましょう。

[ガス代が高い順5都市(2021年)]



[ガス代が安い順5都市(2021年)]



 ガス代の支出額が最も安い福井市で33,681円。電気代は高いけどガス代は安いという結果です。最も高い川崎市の66,712円とは倍近く違います。これはいくら節約しても手の届かない現状があったから。すなわちプロパンガスか都市ガスかという違いです。一般に「プロパンガスは高い」と言われがちですが、決してそうではなさそう。自由化を迎えて、もう一度考え直してみたい費目です。

なぜ神戸市の水道光熱費は全国でも安いのか

 最後に、水道光熱費全体を都市で比較してみましょう。2021年の年間を通した水道光熱費は全国平均で258,371円でした。

[水道光熱費が高い順5都市(2021年)]



[水道光熱費が安い順5都市(2021年)]



 高い都市に東北・北海道がずらりと並ぶのには納得。しかし、神戸市が九州の主要都市より水道光熱費が少なくて住む理由は、いったい何なのでしょうか。神戸市では水道料金の据え置きを大きくアピールしていますが、それよりも電気代やガス代のかからなさが一番響いています。1995年の阪神・淡路大震災以来、ライフラインの貴重さを痛感したのが神戸市民だという説もありますが、果たしてどうなのでしょうか。

<参考サイト>
・総務省:2000年以降の時系列結果
https://www.stat.go.jp/data/kakei/longtime/index.html
・総務省:1世帯当たり年平均1か月間の収入と支出/都市階級・地方・都道府県庁所在市別/二人以上の世帯
https://www.stat.go.jp/data/kakei/rank/singleyear.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯

ピアニスト江崎昌子氏が、ピアノ演奏を交えつつ「ショパンの音楽とポーランド」を紹介する連続シリーズ。第1話では、すべてのピアニストにとって「特別な作曲家」と言われる39年のショパンの生涯を駆け足で紹介する。1810年に生...
収録日:2022/10/13
追加日:2023/03/16
江崎昌子
洗足学園音楽大学・大学院教授 日本ショパン協会理事
2

歴史のif…2.26事件はなぜ成功しなかったのか

歴史のif…2.26事件はなぜ成功しなかったのか

クーデターの条件~台湾を事例に考える(5)世直しクーデターとその成功条件

クーデターには、腐敗した政治を正常化するために行われる「世直しクーデター」の側面もある。そうしたクーデターは、日本では江戸時代の「大塩平八郎の乱」が該当するが、台湾においては困難ではないか。それはなぜか。今回は...
収録日:2025/07/23
追加日:2025/10/17
上杉勇司
早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授 沖縄平和協力センター副理事長
3

国力がピークアウトする中国…習近平のレガシーとは?

国力がピークアウトする中国…習近平のレガシーとは?

習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(6)習近平のレガシー

「時間は中国に有利」というのが中国の認識だが、中国の国力はすでに衰え始めているとの見方を提示した垂氏。また、台湾問題の解決が習近平主席のレガシーになり得るかだが、かつての香港返還問題を事例として、その可能性につ...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/10/16
垂秀夫
元日本国駐中華人民共和国特命全権大使
4

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く

学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く

編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?

今井むつみ先生が2024年秋に発刊された岩波新書『学力喪失――認知科学による回復への道筋』は、とても話題になった一冊です。今回、テンミニッツ・アカデミーでは、本書の内容について著者の今井先生にわかりやすくお話しいただ...
収録日:2025/09/29
追加日:2025/10/16