社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「残業」は何時間を超えると健康リスクが増すのか?
働き方改革やワークライフバランスの改善など、仕事との付き合い方、向き合い方に多くの人が悩み、国も動き出す時代です。長時間労働を強いられ、体を壊したり、うつ病を発症してしまう人も増え、最悪の場合は過労死や、過労自殺をするという事件もしばしば目にします。
しかし、いざ多忙な状況になり毎日何時間も残業が続いても、「まだ大丈夫」「まだできる」と、ついつい自分に厳しくなってしまったり、無理をしがちではありませんか? いったい、どのぐらいの残業をすると健康に害が出てくるのでしょうか?
具体的な健康被害としてあげられるのは、心臓病や脳卒中です。人は1日に8時間の睡眠を必要とするといわれていますが、残業時間が増えれば、その分睡眠時間は削られていきます。若い世代であれば、多少の無理はきくでしょうが、2時間、3時間などの短い睡眠が何か月も続いた場合、それは生死に関わるような事態に発展する可能性もあるのです。
また、1日に残業なしで7~8時間働く人がうつ病になる確率を1とすると、1日11~12時間働く人では、2倍以上に跳ね上がったというイギリスの研究結果もあり、過度の残業は、体だけでなく心にも深い傷を残しかねません。
海外の調査では、週の労働時間が36~40時間の場合の脳卒中を発症するリスクを1とすると、週の労働時間が55時間以上の場合は、1.33倍になりました。
長時間仕事をしたり、1週間で6日や7日も仕事にとられると、ストレスがたまります。そのストレスは、精神的な負荷だけではなく、暴飲暴食やタバコやアルコールの過剰摂取などにつながり、体を少しずつむしばんでいきます。自分がいったいどのくらい働いているのか、客観的に見つめ直すことも必要かもしれません。
とはいえ、日本では周囲に合わせ長時間仕事をしたり、もう仕事が終わっていても、切り上げると仕事をしていないように見られるといった風潮が根強くあります。今後は、こうした意識をひとりひとりが変えて行く必要性があるといえるでしょう。
また、「これくらいの残業当たり前だ」という人もいますし、実際にそうした労働環境でも問題なく働けている人がいるのも事実です。しかし、やりがいのある人の残業100時間と、精神的に追い詰められ、辛い仕事を押しつけられている人の残業100時間では、まったく意味合いが異なります。
ひとりひとりの形にあった仕事の環境を整えていくことや、お互いに理解しあい、仕事のバランスを変えていくことが、今後の社会の課題ともいえます。
しかし、いざ多忙な状況になり毎日何時間も残業が続いても、「まだ大丈夫」「まだできる」と、ついつい自分に厳しくなってしまったり、無理をしがちではありませんか? いったい、どのぐらいの残業をすると健康に害が出てくるのでしょうか?
労災認定のおりる基準は1か月100時間を超える残業
過労によって脳や心臓に疾患が引き起こされた場合、労災認定基準では、時間外労働が1か月で100時間超、2か月または6か月の平均で80時間超が基準とされています。これは、世界中の医学的根拠に基づく研究結果をまとめ、導き出された数値で、月45時間以内の残業であれば、健康障害を起こす危険性は低いと判断されています。逆に、時間外労働が月100時間を超え、継続して長時間の労働を行った場合、健康被害のリスクが高くなると考えられ、労災認定基準にはこの数値が使われているのです。具体的な健康被害としてあげられるのは、心臓病や脳卒中です。人は1日に8時間の睡眠を必要とするといわれていますが、残業時間が増えれば、その分睡眠時間は削られていきます。若い世代であれば、多少の無理はきくでしょうが、2時間、3時間などの短い睡眠が何か月も続いた場合、それは生死に関わるような事態に発展する可能性もあるのです。
また、1日に残業なしで7~8時間働く人がうつ病になる確率を1とすると、1日11~12時間働く人では、2倍以上に跳ね上がったというイギリスの研究結果もあり、過度の残業は、体だけでなく心にも深い傷を残しかねません。
残業をしていないからといってリスクが0ではない
しかし、残業が少なければ安心というわけでもありません。少ない残業時間でも、その分、別日に働いていたり、勤務日数が多くなると、やはり健康被害のリスクが高まるといわれています。海外の調査では、週の労働時間が36~40時間の場合の脳卒中を発症するリスクを1とすると、週の労働時間が55時間以上の場合は、1.33倍になりました。
長時間仕事をしたり、1週間で6日や7日も仕事にとられると、ストレスがたまります。そのストレスは、精神的な負荷だけではなく、暴飲暴食やタバコやアルコールの過剰摂取などにつながり、体を少しずつむしばんでいきます。自分がいったいどのくらい働いているのか、客観的に見つめ直すことも必要かもしれません。
仕事との関わり方を社会全体で考えていこう
現在、国は月に残業の上限を45時間、年間で360時間を基準に、残業を制限する方針で動いています。繁忙期は1か月でも100時間の残業、それを含めて、年間720時間までを認めるというものです。とはいえ、日本では周囲に合わせ長時間仕事をしたり、もう仕事が終わっていても、切り上げると仕事をしていないように見られるといった風潮が根強くあります。今後は、こうした意識をひとりひとりが変えて行く必要性があるといえるでしょう。
また、「これくらいの残業当たり前だ」という人もいますし、実際にそうした労働環境でも問題なく働けている人がいるのも事実です。しかし、やりがいのある人の残業100時間と、精神的に追い詰められ、辛い仕事を押しつけられている人の残業100時間では、まったく意味合いが異なります。
ひとりひとりの形にあった仕事の環境を整えていくことや、お互いに理解しあい、仕事のバランスを変えていくことが、今後の社会の課題ともいえます。
<参考サイト>
・1日何時間残業すると健康を害するのか
http://president.jp/articles/-/22452
・1日何時間残業すると健康を害するのか
http://president.jp/articles/-/22452
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
保守的な軍国化によって、内戦への機運が高まっているアメリカだが、MAGAと極左という対立図式は表面的なものにすぎない。その根本に横たわっているのは白人とユダヤ人という人種の対立であり、それはカーク暗殺事件によって露...
収録日:2025/09/24
追加日:2025/11/06
『孟子』に学ぶ、リーダーが過酷な境遇に追い込まれる意味
徳と仏教の人生論(5)陰陽と東洋思想を知ることの意味
宇宙や人生の本質について考察を深めていく今回の講義。前回に続く、宇宙がもう1つの宇宙のような存在をつくりたくて人間を創造したという話は非常に興味深い。陰陽(陰と陽)の両面を理解し、自然の摂理に根差した東洋思想を深...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/11/07
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
組織のまとめ役として、どのように接すれば部下やメンバーの成長をサポートできるか。多くの人が直面するその課題に対して、「経験学習」に着目したアプローチが有効だと松尾氏はいう。では経験学習とは何か。個人、そして集団...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/10


