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秘密結社「フリーメイソン」は何をしているのか?
みなさんは、「フリーメイソン」と聞いて何を思い浮かべますか。闇、タブー、秘密組織、陰謀論、都市伝説など、日本では悪質な暴露本やネットのデマ情報で目にすることが多く、フリーメイソンの本当の姿を知る日本人はかなり少ないと言えます。
しかしながら、国際社会において、フリーメイソンの知識は欠かせません。いわば基礎教養なのです。『フリーメイソン 秘密結社の社会学』(小学館)の著者・橋爪大三郎氏は、フリーメイソンを「理解すれば、世界がわかる」と語っています。
というのも、フリーメイソンには長い歴史があります。今日につながるフリーメイソンの伝統は1717年に始まりました。なんと、今年で創立300周年にもなるのです。
そもそも、どうして日本人はこれほどまでにフリーメイソンにうといのか。そんな疑問を皮切りに、フリーメイソンの真相に迫っていきます。
なぜ日本人はフリーメイソンにうといのか。その理由は非常に明快で、日本で活動するフリーメイソンの規模が小さいからです。
戦前、フリーメイソンと日本政府のあいだで「日本にはフリーメイソンを広めない」という紳士協定が結ばれました。それによって、フリーメイソンは1890年代から1945年にかけて宣伝活動ができませんでした。今なお日本でフリーメイソンがあまり浸透していないのはそのためだろうとされています。
『週刊ダイヤモンド』(2017年9月16日号)の「知を磨く読書」において佐藤優氏は『フリーメイソン 秘密結社の社会学』をフリーメイソンの「歴史と現状を客観的にまとめている良書」と評し、「日本でフリーメイソン陰謀論の書籍が堂々と売られていることと、韓国、中国、沖縄に対するヘイト本の流行は、日本社会の不安を反映した現象と思う」と述べています。
日本における勢力はというと、現在の会員数はおよそ1600人。そのうち、ほとんどが外国人で、日本人は200人ほどだそうです。やはり日本における規模は小さく、減少傾向にあります。かつて鳩山由紀夫元首相の父であり自民党初代総裁の鳩山一郎氏が会員だったことはよく知られています。
「NEWSポストセブン」によると、日本には15のロッジ(拠点)があり、総本部「日本グランドロッジ」は「東京タワーに近い一等地に、漆黒の建物がひっそりと佇む」とのこと。さらに建物の奥には「HONOR ROLL(栄誉名簿)」と彫られたネームプレートがあり、「『ICHIRO HATOYAMA』の文字が見える」と取材記事にはありました。「ICHIRO HATOYAMA」とは、もちろん先述の鳩山一郎氏の名です。
石工組合は幾何学を駆使するので、当時の「最先端の知」を有していました。それが転じて、最先端の知に触れることができる自由な結社、大学のような場に発展し、知識人や権力者の興味の的となりました。
このように、フリーメイソンはキリスト教から派生したものの、「宗教団体」ではありません。ややこしい点が、宗教団体ではありませんが、「秘密の儀式」を重視することです。この点が、暴露本などの標的にされやすい理由になっています。
ではなぜ、秘密の儀式を重視するのかというと、はじめの話にもどりますが、フリーメイソンが「友愛」の組織だからです。秘密の儀式を知っている者同士は、現実の身分や階級から離れて、「友愛」で結ばれると考えるのです。
以上のように、フリーメイソンは、暴露本が語るような怪しい組織ではありません。信仰の自由を認め、サイエンスの知を大切にします。さらに、身分を超えた、他者と出会うしくみをもっています。こうした特徴こそがアメリカ社会で広く受け入れられた理由です。
ネット上ではデマやフェイクニュースが飛び交い、正しい情報を得にくくなった昨今ではありますが、フリーメイソンを含め、誤った情報に惑わされないように注意しましょう。
しかしながら、国際社会において、フリーメイソンの知識は欠かせません。いわば基礎教養なのです。『フリーメイソン 秘密結社の社会学』(小学館)の著者・橋爪大三郎氏は、フリーメイソンを「理解すれば、世界がわかる」と語っています。
というのも、フリーメイソンには長い歴史があります。今日につながるフリーメイソンの伝統は1717年に始まりました。なんと、今年で創立300周年にもなるのです。
そもそも、どうして日本人はこれほどまでにフリーメイソンにうといのか。そんな疑問を皮切りに、フリーメイソンの真相に迫っていきます。
トンデモ本が堂々と売られているのは日本だけ
実は、国際社会から見て、日本ほどにフリーメイソンに馴染みがない国は珍しいのです。恥ずかしいことに、西欧社会において伝統あるフリーメイソンやユダヤ人の陰謀論のような書籍が書店で「堂々と売られているのは、日本くらいかもしれない」と前掲書の著者・橋爪氏は嘆いています。なぜ日本人はフリーメイソンにうといのか。その理由は非常に明快で、日本で活動するフリーメイソンの規模が小さいからです。
戦前、フリーメイソンと日本政府のあいだで「日本にはフリーメイソンを広めない」という紳士協定が結ばれました。それによって、フリーメイソンは1890年代から1945年にかけて宣伝活動ができませんでした。今なお日本でフリーメイソンがあまり浸透していないのはそのためだろうとされています。
『週刊ダイヤモンド』(2017年9月16日号)の「知を磨く読書」において佐藤優氏は『フリーメイソン 秘密結社の社会学』をフリーメイソンの「歴史と現状を客観的にまとめている良書」と評し、「日本でフリーメイソン陰謀論の書籍が堂々と売られていることと、韓国、中国、沖縄に対するヘイト本の流行は、日本社会の不安を反映した現象と思う」と述べています。
アメリカでは過去14人の大統領がフリーメイソンだった
フリーメイソンの勢力が世界最大の規模を誇るのがアメリカ。そのため、アメリカでは、日常的にフリーメイソンに触れることができます。初代大統領ジョージ・ワシントンを含めて、現代にいたるまで、14人の大統領がフリーメイソンでした。日本における勢力はというと、現在の会員数はおよそ1600人。そのうち、ほとんどが外国人で、日本人は200人ほどだそうです。やはり日本における規模は小さく、減少傾向にあります。かつて鳩山由紀夫元首相の父であり自民党初代総裁の鳩山一郎氏が会員だったことはよく知られています。
「NEWSポストセブン」によると、日本には15のロッジ(拠点)があり、総本部「日本グランドロッジ」は「東京タワーに近い一等地に、漆黒の建物がひっそりと佇む」とのこと。さらに建物の奥には「HONOR ROLL(栄誉名簿)」と彫られたネームプレートがあり、「『ICHIRO HATOYAMA』の文字が見える」と取材記事にはありました。「ICHIRO HATOYAMA」とは、もちろん先述の鳩山一郎氏の名です。
フリーメイソンとは何か?
フリーメイソンとは、一言でいえば、キリスト教から派生した世界最古にして世界最大の「友愛組織」です。もともとはヨーロッパの石工組合でした。石工組合は幾何学を駆使するので、当時の「最先端の知」を有していました。それが転じて、最先端の知に触れることができる自由な結社、大学のような場に発展し、知識人や権力者の興味の的となりました。
このように、フリーメイソンはキリスト教から派生したものの、「宗教団体」ではありません。ややこしい点が、宗教団体ではありませんが、「秘密の儀式」を重視することです。この点が、暴露本などの標的にされやすい理由になっています。
ではなぜ、秘密の儀式を重視するのかというと、はじめの話にもどりますが、フリーメイソンが「友愛」の組織だからです。秘密の儀式を知っている者同士は、現実の身分や階級から離れて、「友愛」で結ばれると考えるのです。
以上のように、フリーメイソンは、暴露本が語るような怪しい組織ではありません。信仰の自由を認め、サイエンスの知を大切にします。さらに、身分を超えた、他者と出会うしくみをもっています。こうした特徴こそがアメリカ社会で広く受け入れられた理由です。
ネット上ではデマやフェイクニュースが飛び交い、正しい情報を得にくくなった昨今ではありますが、フリーメイソンを含め、誤った情報に惑わされないように注意しましょう。
<参考文献・参考サイト>
・『フリーメイソン 秘密結社の社会学』(橋爪大三郎著、小学館)
・『週刊ダイヤモンド』(2017年9月16日号)「知を磨く読書」
・「NEWSポストセブン」東京タワー近くのフリーメイソン日本総本部に潜入
http://news.livedoor.com/article/detail/11971188/
・『フリーメイソン 秘密結社の社会学』(橋爪大三郎著、小学館)
・『週刊ダイヤモンド』(2017年9月16日号)「知を磨く読書」
・「NEWSポストセブン」東京タワー近くのフリーメイソン日本総本部に潜入
http://news.livedoor.com/article/detail/11971188/
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