テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.10.21

便利な「リボ払い」に潜むリスクとは?

 支払いに便利なクレジットカード。高速道路で使用するETCカードとして利用したり、特定のカードを使用することによって、日々の買い物に利用するスーパーで割引が効くなど、一昔前に比べると身近な存在になっています。みなさんも、お財布のなかに何枚かクレジットカードをお持ちではないでしょうか。

 クレジットには、3つの支払い方法があります。「一括払い」「分割払い」「リボ払い」です。多くの方か「一括」での支払いを選ばれると思いますが、近年「リボ払い」を利用し、借金地獄に陥るといった事例が増えているのをご存じですか?

 今回は「リボ払い」の問題点について解説していきます。

リボ払いと利息の関係

 「リボ払い」とは「リボルビング払い」の略称で、「支払残高に応じて、月々あらかじめ決められた額をカード会社に支払う方法」です。月々決まった額が引き落とされるため、予算管理が簡単だということがメリットとしてうたわれています。

 「月々の支払いも決まっているのに、なぜ借金地獄に?」と思われる方も多いでしょう。ここで注意しなくてはならないのは、クレジットカードを利用することは、実はカード会社から借金をすることと同義だということです。

 「一括払い」の場合、利息(手数料)もつきませんし、あまりそういった印象はないかもしれませんが、「リボ払い」はそうではありません。多くの会社では、年利15%前後の利息が設定されており、使用額が大きくなればなるほど、利息額も増えていきます。多少の手数料程度の利息なら構わないと考えることもあるでしょう。しかし、リボ払いには、「多少の手数料」で済まない、利息が増えていく仕組みがあるのです。

気づいたときには借金地獄

 具体的なリボ払いの支払いを、ライフカード社のショッピングリボ返済シミュレーションで見てみましょう。

 例えば、30万円の商品を購入したケースで、手数料率15%、月々5,000円の支払いでリボ払いをはじめると、支払い終えるまでに44カ月、約3.6年の歳月がかかることになります。その間、利息がつき、最終的に支払う返済総額は約36万5千円となります。

 6万5千円以上の利息を支払っているというだけでも驚きですが、リボ払いの本当の恐ろしさはこうした高額の買い物が3つ4つと重なった時に表れます。利息は支払い残高(商品購入額)に応じて1日単位で増えていきますから、「リボ払いの利息分のお金」が、「月々支払う額」を上回ってしまうと、支払い残高はいつまで経っても減らず、利息だけが増え続ける仕組みになっているのです。

 しかし、月々の支払いとして目に見えるのは、トータルの額面からすれば小さいもの。利用者には借金をしている感覚がなく、むしろ毎月浪費を押さえているような錯覚に陥る人も少なくありません。また、商品の数が増えれば増えるほど、どの商品の支払いがどのくらい残っているのか、見通しがつきづらいという面もあります。

 リボ払いは繰り上げで支払うことも可能ですが、気づかぬうちに雪だるま式に借金がふくれ、手がつけられない状態に陥り、借金地獄へと転がり落ちる人が増えているのです。

リボ払いの借金地獄にならないために

 リボ払いの借金地獄に陥らないためには、何よりもまず「リボ払いを利用しないこと」です。キャッシュバックキャンペーンなど、リボ払いをすすめる企業も少なくありませんが、それはよほどの理由がない限り安易に手を出してはならない支払い方法なのです。

 どうしても現金や貯金が足りず、「分割払い」でも支払いが間に合わないような商品を購入しなければならない場合、リボ払いではなく銀行カードローンを利用する方が、まだ利息を抑えることができます。それだけ、リボ払いを利用することは高いリスクを伴うのです。

 そもそも、現金で購入できない商品は身の丈に合わないものだと肝に銘じる必要があります。一度作ってしまった借金は、地道に返していくほかありませんが、最悪の場合、自己破産という道も…。誰でも簡単に使えるクレジットカードですが、思わぬ落とし穴があることを覚えておきましょう。

<参考サイト>
・LifeCARD:ショッピングリボ返済シミュレーション
https://www3.lifecard.co.jp/WebDesk/www/returnSimShopping/shoppingSimRiboInp.html?wid=shoppingSimRiboInp
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る

なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る

今どきの若者たちのからだ、心、社会(1)ライフヒストリーからみた思春期

なぜ思春期に注目するのか。この十年来、10歳だった子どもたちのその後を10年追跡する「コホート研究」を行っている長谷川氏。離乳後の子どもが性成熟しておとなになるための準備期間にあたるこの時期が、ヒトという生物のライ...
収録日:2024/11/27
追加日:2025/07/05
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長
2

フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」

フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」

米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(1)ハミルトンの経済プログラム

第2次トランプ政権において台頭する米国派経済学。実はこの保護主義的な経済学は、アメリカの成長と繁栄の土台を作っていた。その原点を振り返り解説する今シリーズ。まずはワシントン政権の財務長官でフェデラリストとして、連...
収録日:2025/05/15
追加日:2025/07/08
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
3

グリーンランドに米国の軍事拠点…北極圏の地政学的意味

グリーンランドに米国の軍事拠点…北極圏の地政学的意味

地政学入門 ヨーロッパ編(10)グリーンランドと北極海

北極圏に位置する世界最大の島グリーンランド。ここはデンマークの領土なのだが、アメリカの軍事拠点でもあり、アメリカ、カナダとヨーロッパ、ロシアの間という地政学的にも重要な位置にある。また、気候変動によってその軍事...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/07/07
小原雅博
東京大学名誉教授
4

スターバックスのコンセプトは「サードプレイス」

スターバックスのコンセプトは「サードプレイス」

ストーリーとしての競争戦略(6)事例に見る経営者の戦略

一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、ホットペッパーとスターバックスを事例として、コンセプトの重要性を解説する。スターバックスやホットペッパーは、「第3の場所」・「狭域情報」といったコンセプトを的確に...
収録日:2017/05/25
追加日:2017/07/18
楠木建
一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授
5

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ

反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28
柿埜真吾
経済学者