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なぜ「無能」な人が出世して上司になるのか?
自分が勤務している会社で、あるいは、取引先などで「どうしてこの人は出世できたんだろう?」とか、「なんでこんなに使えない上司ばかりなんだろう?」と疑問を持ったことはありませんか。
実は、そうした無能な上司たちは決して珍しい存在ではなく、ある程度の規模の組織であれば、どこにでもいると言えるのです。
そのメカニズムは、「ピーターの法則」という理論によって説明することができます。
今回は、この「ピーターの法則」とは何か、そして、どうすれば人材の無能化を防ぐことができるのかをリサーチしました。
「ビジネス+IT」(SBクリエイティブ)によると、ピーターの法則は、以下の3点に要約することができます。
(1)能力主義の階層社会では人は能力の限界まで出世し、有能なスタッフは無能な管理職になる
(2)時が経つにつれ無能な人はその地位に落ち着き、有能な人は無能な管理職の地位に落ち着く。その結果、各階層は無能な人で埋め尽くされる
(3)ゆえに組織の仕事は、出世余地のある無能レベルに達していない人によって遂行される
一言で言うと、たとえどんなに有能なビジネスパーソンでも限界まで出世すると無能になってしまうということです。さらに言えば、多くの社員が限界まで昇進し、「昇進を控える人が少なくなればなるほど、組織の仕事の遂行能力は低下する」ことになります。ここに成果主義の欠陥があるのです。
「ピーターの法則」とは、「階層社会では、すべての人は昇進を重ねても職務遂行能力はともなわない」「すべての人は、いずれはその人の『無能レベル』に到達し、やがてあらゆる地位は職責を果たせない無能な人間で占められる」というもの。
「たとえば、教師として生徒に教えるのが上手な先生が、管理職である教頭先生になっても、教頭先生として有能かどうかはわからないということだ」ということで、会社に当てはめると、「有能だった社員が出世後も有能とは限らない」となります。
なんとなく、「ピーターの法則」の内容がつかめてきたのではないでしょうか。ここで問題になるのは、どうすれば「ピーターの法則」から逃れられるのかという点です。
繰り返しになりますが、成果主義に基づいて「一番成績のいい社員」を昇進させていくと「ピーターの法則」に陥って、社員は無能化していく可能性があります。そこで、上のシミュレーションでは、あくでもコンピュータ上の実験結果ではありますが、「ランダムに昇進させる」という戦略を採用したところ、「結論として、組織はランダム昇進を選択する=サイコロを振って出世を決めることが、効率化への近道となる」ことが分かりました。
この記事のまとめとして、高橋教授は、「優秀な営業マンが優秀な営業課長になるとは限らないし」「選手としてイマイチ成績が振るわなくても、監督やコーチになって才能を発揮する人は大勢いる」として「適材適所」の大切さを指摘しています。
今回のコラムのタイトルは『なぜ「無能」な人が出世できるのか?』となっています。
「どうしてこの人は無能なのに、出世できたんだろう?」という疑問に応えるためにこのタイトルになっているわけですが、ここまで読んだ方はご承知の通り、実際は、無能な人が出世しているわけではなく、組織内では出世することによって有能な人が無能になるという、恐ろしいことが起こっていることが分かりました。
問題は成果主義にあるともいえますが、とはいえ、もちろん成果主義のすべてが間違っているわけではないでしょう。高橋教授の指摘した「適材適所」と成果主義を結びつける方法もあるかもしれません。
もちろん、出世しても有能な人はいるわけですが、いずれにしても組織づくり、働き方を考えるうえで「ピーターの法則」は頭に入れておいてもいいでしょう。
<参考サイト>
・ビジネス+IT:「ハロー効果」と「ピーターの法則」で解説、出世した有能な人が無能になるメカニズム
https://www.sbbit.jp/article/cont1/32112
・プレジデント オンライン:出世は“仕事の成果と関係なく”決まる
http://president.jp/articles/-/20695
実は、そうした無能な上司たちは決して珍しい存在ではなく、ある程度の規模の組織であれば、どこにでもいると言えるのです。
そのメカニズムは、「ピーターの法則」という理論によって説明することができます。
今回は、この「ピーターの法則」とは何か、そして、どうすれば人材の無能化を防ぐことができるのかをリサーチしました。
成果主義の欠陥を指摘した「ピーターの法則」
「ピーターの法則」は、南カルフォルニア大学教授の教育学者ローレンス・J・ピーターが1969年に提唱した社会学の法則です。ピーターの法則は成果主義の欠陥を指摘した理論としてよく知られています。「ビジネス+IT」(SBクリエイティブ)によると、ピーターの法則は、以下の3点に要約することができます。
(1)能力主義の階層社会では人は能力の限界まで出世し、有能なスタッフは無能な管理職になる
(2)時が経つにつれ無能な人はその地位に落ち着き、有能な人は無能な管理職の地位に落ち着く。その結果、各階層は無能な人で埋め尽くされる
(3)ゆえに組織の仕事は、出世余地のある無能レベルに達していない人によって遂行される
一言で言うと、たとえどんなに有能なビジネスパーソンでも限界まで出世すると無能になってしまうということです。さらに言えば、多くの社員が限界まで昇進し、「昇進を控える人が少なくなればなるほど、組織の仕事の遂行能力は低下する」ことになります。ここに成果主義の欠陥があるのです。
有能だった社員が出世後も有能とは限らない
「プレジデント オンライン」では、「ピーターの法則」について次のように説明しています。「ピーターの法則」とは、「階層社会では、すべての人は昇進を重ねても職務遂行能力はともなわない」「すべての人は、いずれはその人の『無能レベル』に到達し、やがてあらゆる地位は職責を果たせない無能な人間で占められる」というもの。
「たとえば、教師として生徒に教えるのが上手な先生が、管理職である教頭先生になっても、教頭先生として有能かどうかはわからないということだ」ということで、会社に当てはめると、「有能だった社員が出世後も有能とは限らない」となります。
なんとなく、「ピーターの法則」の内容がつかめてきたのではないでしょうか。ここで問題になるのは、どうすれば「ピーターの法則」から逃れられるのかという点です。
ランダムに昇進させたほうが組織は効率化する
「プレジデント オンライン」において、東京大学大学院経済学研究科教授の高橋伸夫氏は「ピーターの法則」を打ち破る方法として、「2000年のイグノーベル賞経営学賞を受賞した、イタリア・カターニア大学のチームが行ったシミュレーション」を紹介しています。それは「成果主義より、社員をランダムに昇進させたほうが組織は効率化する」ということを証明したシミュレーションです。繰り返しになりますが、成果主義に基づいて「一番成績のいい社員」を昇進させていくと「ピーターの法則」に陥って、社員は無能化していく可能性があります。そこで、上のシミュレーションでは、あくでもコンピュータ上の実験結果ではありますが、「ランダムに昇進させる」という戦略を採用したところ、「結論として、組織はランダム昇進を選択する=サイコロを振って出世を決めることが、効率化への近道となる」ことが分かりました。
この記事のまとめとして、高橋教授は、「優秀な営業マンが優秀な営業課長になるとは限らないし」「選手としてイマイチ成績が振るわなくても、監督やコーチになって才能を発揮する人は大勢いる」として「適材適所」の大切さを指摘しています。
今回のコラムのタイトルは『なぜ「無能」な人が出世できるのか?』となっています。
「どうしてこの人は無能なのに、出世できたんだろう?」という疑問に応えるためにこのタイトルになっているわけですが、ここまで読んだ方はご承知の通り、実際は、無能な人が出世しているわけではなく、組織内では出世することによって有能な人が無能になるという、恐ろしいことが起こっていることが分かりました。
問題は成果主義にあるともいえますが、とはいえ、もちろん成果主義のすべてが間違っているわけではないでしょう。高橋教授の指摘した「適材適所」と成果主義を結びつける方法もあるかもしれません。
もちろん、出世しても有能な人はいるわけですが、いずれにしても組織づくり、働き方を考えるうえで「ピーターの法則」は頭に入れておいてもいいでしょう。
<参考サイト>
・ビジネス+IT:「ハロー効果」と「ピーターの法則」で解説、出世した有能な人が無能になるメカニズム
https://www.sbbit.jp/article/cont1/32112
・プレジデント オンライン:出世は“仕事の成果と関係なく”決まる
http://president.jp/articles/-/20695
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