社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
パワハラは「強いものいじめ」なのか?
最近、ハラスメントに関するニュースがよく報じられています。セクハラ、アカハラ、パワハラは代表的ですが、他にもマタハラ(マタニティ・ハラスメント)、スメハラ(スメル・ハラスメント)といったものまで耳にします。
ハラスメント(Harassment)とは、英語の意味としは「嫌がらせすること」や「悩ませること」という意味。もう少し大きく捉えると、「抵抗が難しい状態の人間に対して、なにかしらの迷惑な行為をすること」といえます。こういう意味では、多くのハラスメントは広義での「パワハラ」かもしれません。
仕事の場面で考えてみれば、日本では一般的に、上司は部下を教育する義務を負っています。教育するためには、毅然と言わなければならない場面もあるでしょう。しかし、そもそも日本での上司と部下の関係は「力を持つ人間」と「抵抗が難しい状態の人間」です。上司が指導したつもりでも、この構図では部下が「パワハラを受けた」と申告すれば、それはパワハラになってしまいます。
このことが、松本氏の言う「強いものいじめ」の本質かと思われます。この日本での上下関係のあり方がすでに、ハラスメントの構図を含んでいるように思われます。
日本で評価される上司は、リーダーシップがある、部下のモチベーションを上げる、上役や他の部署とうまく調整できる人間、ではないでしょうか。つまり、統率力と政治力を備えた人材と言い換えることができるでしょう。対して、アメリカでは「システム」を作れる人間、合理的な発想ができる人間が上司に求められるということです。
アメリカでは問題が放置されればすぐに裁判になります。だからこそ、トラブルを未然に防ぐ、また裁判になっても無策でなかったことを証明できる合理的な対策が必要とされる面もあるでしょう。
この急速な時代の変化に対して、松本人志氏のパワハラは「強いものいじめ。教育的指導が出来ない」という嘆きは、ある意味、共感を得ているかもしれません。もちろん「合理性に基づく働き方が正しい」ということではないでしょうし、どんなことでも「ハラスメント」と一括りにするのは問題があります。しかし、時代を遡ることはできません。社会の基本として、「弱いもの」が社会的にも法的にも守られるべきであるという点は、揺るがないのではないでしょうか。
ハラスメント(Harassment)とは、英語の意味としは「嫌がらせすること」や「悩ませること」という意味。もう少し大きく捉えると、「抵抗が難しい状態の人間に対して、なにかしらの迷惑な行為をすること」といえます。こういう意味では、多くのハラスメントは広義での「パワハラ」かもしれません。
「指導」はパワハラか
少し前にダウンタウンの松本人志氏がパワハラは「強いものいじめ。教育的指導が出来ない」と発言して話題になりました。賛否両論があったようですが、そもそも「指導」と「パワハラ」の線引きはどこにあるのでしょう。仕事の場面で考えてみれば、日本では一般的に、上司は部下を教育する義務を負っています。教育するためには、毅然と言わなければならない場面もあるでしょう。しかし、そもそも日本での上司と部下の関係は「力を持つ人間」と「抵抗が難しい状態の人間」です。上司が指導したつもりでも、この構図では部下が「パワハラを受けた」と申告すれば、それはパワハラになってしまいます。
このことが、松本氏の言う「強いものいじめ」の本質かと思われます。この日本での上下関係のあり方がすでに、ハラスメントの構図を含んでいるように思われます。
パワハラは日本だけなのか
ハラスメントはもともと英語ですが、アメリカではそんなに問題にならないということです。例えば、アメリカのホテル業界で働く人の記事によると、上司のいちばん大切な役割は「部のパフォーマンスを最高のものにすること」とのこと。そのためには、部内でハラスメントが起きないようなシステムを作ることも上司に求められる資質、といえるかもしれません。日本で評価される上司は、リーダーシップがある、部下のモチベーションを上げる、上役や他の部署とうまく調整できる人間、ではないでしょうか。つまり、統率力と政治力を備えた人材と言い換えることができるでしょう。対して、アメリカでは「システム」を作れる人間、合理的な発想ができる人間が上司に求められるということです。
アメリカでは問題が放置されればすぐに裁判になります。だからこそ、トラブルを未然に防ぐ、また裁判になっても無策でなかったことを証明できる合理的な対策が必要とされる面もあるでしょう。
「権利」意識の変化
この日米での上司観の違いは、個人の「権利」に対する意識から生じていると言えるかもしれません。日本では「先輩後輩文化」や、職人的な仕事に「入門」するという考え方があったり、「徒弟制」や「滅私奉公」が美徳とされたりする文化や価値観があります。ある意味、目上を尊重することで、秩序を維持してきたといえるでしょう。個人の「権利」を捨て、上の人間に「庇護してもらう」もしくは「可愛がってもらう」価値観かもしれません。しかし、時代は大きく変化し、人間関係に対してもっとフラットで合理的、かつ主張のある価値観を受け入れてきた部下世代でギャップがあるはずです。この急速な時代の変化に対して、松本人志氏のパワハラは「強いものいじめ。教育的指導が出来ない」という嘆きは、ある意味、共感を得ているかもしれません。もちろん「合理性に基づく働き方が正しい」ということではないでしょうし、どんなことでも「ハラスメント」と一括りにするのは問題があります。しかし、時代を遡ることはできません。社会の基本として、「弱いもの」が社会的にも法的にも守られるべきであるという点は、揺るがないのではないでしょうか。
<参考サイト>
・マイナビニュース:松本人志、"強い者いじめ"のパワハラ告発に苦言「お気軽に言うヤツ多い」
http://news.mynavi.jp/news/2017/09/17/060/
・ホテリスタ:労働環境に見る日米の違い
https://hotelista.jp/column/hotel-in-usa/1213048.html
・学校法人大阪医科大学:ハラスメントの定義
http://www.osaka-med.ac.jp/deps/jinji/harassment/definition.htm
・マイナビニュース:松本人志、"強い者いじめ"のパワハラ告発に苦言「お気軽に言うヤツ多い」
http://news.mynavi.jp/news/2017/09/17/060/
・ホテリスタ:労働環境に見る日米の違い
https://hotelista.jp/column/hotel-in-usa/1213048.html
・学校法人大阪医科大学:ハラスメントの定義
http://www.osaka-med.ac.jp/deps/jinji/harassment/definition.htm
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
花粉、炭素、酸素同位体…重複分析で分かる弥生時代の環境
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(3)弥生時代の環境と気候
古代の気候を推測するために、研究者はさまざまな方法を駆使してきた。海水面の位置をもとにした「弥生の小海退」説をはじめ、花粉や炭素濃度などから行う分析法には難点もある。その難点を克服した方法によって見えてきた弥生...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/04/02
分断進む世界でつなげていく力――ジェトロ「3つの役割」
グローバル環境の変化と日本の課題(5)ジェトロが取り組む企業支援
グローバル経済の中で日本企業がプレゼンスを高めていくための支援を、ジェトロ(日本貿易振興機構)は積極的に行っている。「攻めの経営」の機運が出始めた今、その好循環を促進していくための取り組みの数々を紹介する。(全6...
収録日:2025/01/17
追加日:2025/04/01
なぜやる気が出ないのか…『それから』の主人公の謎に迫る
いま夏目漱石の前期三部作を読む(5)『それから』の謎と偶然の明治維新
前期三部作の2作目『それから』は、裕福な家に生まれ東大を卒業しながらも無気力に生きる主人公の長井代助を描いたものである。代助は友人の妻である三千代への思いを語るが、それが明かされるのは物語の終盤である。そこが『そ...
収録日:2024/12/02
追加日:2025/03/30
きっかけはイチロー、右肩上がりの成長曲線で二刀流完成へ
大谷翔平の育て方・育ち方(5)栗山監督の言葉と二刀流への挑戦
高校を卒業した大谷翔平選手には、選手としての可能性を評価してくれた人、そのための方策を本気で考えてくれた人がいた。それは、ロサンゼルス・ドジャースの日本担当スカウト小島圭市氏と、元日本ハムファイターズ監督で前WBC...
収録日:2024/11/28
追加日:2025/03/31
このように投資にお金を回せば、社会課題も解決できる
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(6)日本の課題解決にお金を回す
国内でいかにお金を生み、循環させるべきか。既存の大量資金を社会課題解決に向けて循環させるための方策はあるのか。日本の財政・金融政策を振り返りつつ、産業育成や教育投資、助け合う金融の再構築を通した、バランスの取れ...
収録日:2024/12/04
追加日:2025/03/29