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DATE/ 2018.02.03

犯罪データにみる都道府県ランキング

 いま日本で一番犯罪が多い県はどこなのでしょうか。警察庁から2018年1月18日に発表された平成29年の「犯罪統計資料(暫定値)」を参照して、急遽ランキングを作成してみました。犯罪数と人口は大きな関係がありますので、2017年10月1日推計人口を加味。人口1,000人あたりの件数を47都道府県ごとに割り出しています。

安心して暮らせるのは、この道府県だ!

 平成29年、全国では91万5,111件の刑法犯が認知されています(以下平成29年の数字はすべて暫定値)。前年比はー8.1%。平成14年の285万件と比べると、犯罪は3分の1まで減っています。人口1,000人で割ると7.22ですから、今の日本に住んでいて刑法犯にかかわる可能性は0.72%ということになります。まず、それよりも安全な地域をごらんください。

<犯罪の少ない都道府県ベスト10>
1位/秋田/2,428/2.44/995,380
2位/岩手/3,435/2.74/1,254,807
3位/長崎/4,264/3.15/1,353,550
4位/大分/3,958/3.44/1,151,853
5位/青森/4,608/3.60/1,278,450
6位/山形/3,975/3.61/1,101,452
7位/島根/2,773/4.05/684,668
8位/福井/3,231/4.15/778,329
9位/鹿児島/6,921/4.26/1,624,801
10位/山口/6,296/4.56/1,381,584
※順位/都道府県/刑法犯認知数/人口千人当たりの割合/人口

秋田県の5倍も犯罪にあう都道府県がある!?

<犯罪の多い都道府県ベスト10>
1位/大阪/107,032/12.12/8,831,642
2位/兵庫/50,828/9.24/5,502,987
3位/東京/125,258/9.11/13,742,906
4位/愛知/65,511/8.70/7,526,911
5位/埼玉/63,383/8.67/7,307,579
6位/茨城/24,810/8.56/2,896,675
7位/千葉/52,985/8.47/6,255,876
8位/福岡/42,129/8.24/5,110,338
9位/三重/13,347/7.42/1,798,886
10位/岐阜/14,897/7.41/2,010,698
※順位/都道府県/刑法犯認知数/人口千人当たりの割合/人口

 数字を見ると明らかなように、大阪府だけが人口1000人中の刑法犯認知率が「二ケタ」。全国で起きる刑法犯の約11.7%を占めていることになります。最も犯罪の少ない秋田県と比べると、ほぼ5倍は驚きの数字です。殺人、強盗、放火など重要犯罪に絞ってみると、最も安全な山梨県や長崎県と比べて114倍から142倍ものリスクがあることになります。

 人口10万人当たり重要犯罪の発生率を比較したランキングも作成してみました。

<重要犯罪の多い都道府県ベスト5>
1位/大阪/1,508/17.07
2位/福岡/598/11.70
3位/兵庫/641/11.65
4位/埼玉/795/10.88
5位/東京/1,438/10.46
※順位/都道府県/重要犯罪数/人口10万人当たりの割合

<重要犯罪の少ない都道府県ベスト5>
1位/山梨/1/0.12
2位/長崎/2/0.15
3位/山形/3/0.27
4位/宮崎/3/0.28
5位/島根/2/0.29
※順位/都道府県/重要犯罪数/人口10万人当たりの割合

 重要犯罪のなかでも、殺人、強盗、放火、強制性交は「兇悪犯」と呼ばれます。これらのランキングも確認してみましょう。

殺人事件でみた都道府県ランキング

<殺人の多い都道府県ベスト5>
1位/大阪/106/1.20
2位/奈良/16/1.19
3位/和歌山/11/1.16
4位/兵庫/58/1.05
5位/高知/7/0.98
※順位/都道府県/発生認知数/人口10万人当たりの割合

<殺人の少ない都道府県ベスト5>
1位/山梨/1/0.12
2位/長崎/2/0.15
3位/山形/3/0.27
4位/宮崎/3/0.28
5位/島根/2/0.29
※順位/都道府県/発生認知数/人口10万人当たりの割合

強盗事件でみた都道府県ランキング

<強盗の多い都道府県>
1位/大阪/291/3.29
2位/東京/351/2.55
3位/和歌山/20/2.12
4位/埼玉/151/2.07
5位/京都/46/1.77
※順位/都道府県/発生認知数/人口10万人当たりの割合

<強盗の少ない都道府県>
1位/秋田/1/0.10
2位/宮崎/2/0.18
3位/岩手/3/0.24
4位/鹿児島/4/0.25
5位/山形/3/0.27
※順位/都道府県/発生認知数/人口10万人当たりの割合

放火事件でみた都道府県ランキング

<放火の多い都道府県>
順位 都道府県 件数 人口10万人当たり
1位/大阪/177/2.00
1位/徳島/13/1.75
1位/岡山/22/1.15
1位/沖縄/15/1.04
1位/岩手/13/1.04
※順位/都道府県/発生認知数/人口10万人当たりの割合

<放火の少ない都道府県>
1位/香川/1/0.10
2位/佐賀/1/0.12
3位/山口/3/0.22
4位/青森/3/0.23
5位/島根/2/0.29
※順位/都道府県/発生認知数/人口10万人当たりの割合

強制性交事件でみた都道府県ランキング

 大阪府は「殺人・強盗・放火」という凶悪犯においても、うれしくない三冠王を達成しているようです。ただし、2017年の刑法改正で「強姦」から「強制性交」に名称変更された犯罪は、少し番付が違います。

<強制性交の多い都道府県>
1位/沖縄/28/1.94
2位/福岡/90/1.76
3位/大阪/117/1.32
4位/東京/173/1.26
5位/熊本/19/1.08
※順位/都道府県/発生認知数/人口10万人当たりの割合

<強制性交の少ない都道府県>
1位/山梨/1/0.12
2位/島根/1/0.15
3位/長崎/3/0.22
4位/福井/2/0.26
5位/岩手/4/0.32
※順位/都道府県/発生認知数/人口10万人当たりの割合

街頭犯罪でみた都道府県ランキング

 最後に、身近に起きる「ひったくり」「路上強盗」「オートバイ盗」「車上ねらい」「部品ねらい」「自動車盗」「自転車盗」の7つの手口は、「街頭犯罪」と指定されています。そちらの状況はどうなのでしょうか。

<街頭犯罪の多い都道府県>
1位/大阪/49,118/5.56
2位/埼玉/26,255/3.59
3位/東京/48,682/3.54
4位/兵庫/17,563/3.19
5位/千葉/18,960/3.03
※順位/都道府県/発生認知数/人口千人当たりの割合

<街頭犯罪の少ない都道府県>
1位/秋田/444/0.45
2位/長崎/708/0.52
3位/岩手/833/0.66
4位/青森/1,015/0.79
5位/山形/915/0.83
※順位/都道府県/発生認知数/人口千人当たりの割合

 なんと、街頭犯罪に至っては、大阪府は件数においても東京都を上回る発生件数で、18年続けての全国最多を記録することになりました。こちらの全国平均発生率は人口千人当たり2.5件。大阪府では、全国の街頭犯罪の15.5%が起こっていることになります。

 大阪府警は平成28年1月以来、子供や女性を狙った性犯罪、ひったくり・路上強盗、自動車関連犯罪を「大阪重点犯罪」と位置づけ、オール大阪体制で抑止すべく活動しているとのこと。しかしながら、街頭犯罪のうちでも車上ねらいは1万3,617件と前年比1,238件増。また、強制わいせつも777件で8年連続の全国最多です。

<参考サイト>
・e-Stat:平成29年1~12月犯罪統計【暫定値】
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&bid=000001099618
・都道府県人口ランキング
https://uub.jp/rnk/p_k.html
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