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DATE/ 2018.02.11

生存率は10%…最も治療が難しい「がん」とは?

 プロ野球、中日ドラゴンズや阪神タイガース、東北楽天ゴールデンイーグルスの3球団で監督として日本一に輝いた星野仙一さんが2018年1月4日に逝去しました。現役時代から打倒巨人を貫き、監督就任後は“闘将”として知られた星野さんは球界全体から追悼の声が相次いでいます。また楽天の球団公式サイトでは特設サイトを作成するなど、その影響力の大きさを今なお感じさせます。

すい臓がんの治療は非常に難しい

 その星野さんを襲った病魔は、すい臓がんでした。ここ近年、がん治療は目覚ましい医療技術の発達を見せています。しかし、他のがんに比べると、すい臓がんの治療は非常に難しいとの見方は知られつつあります。たとえば、星野さんと同じ病で帰らぬ人となったのは、「昭和の大横綱」「ウルフ」の愛称で知られた千代の富士(九重親方)でした。

 屈強な肉体を持つ2人でも打ち勝てなかった病魔ともいえる、すい臓がん。なぜ、根治しにくいのでしょうか?

すい臓がんの5年生存率10%以下

 がん根治の難易度を現す指標として「5年相対生存率」というものがあります。がん総合情報ポータルサイト「がんのきほん」によると「がんの治療開始から5年後生存している人の割合」とのことになります。これは再発の有無にかかわらず、生きているか否かが判断材料です。つまり直接の死因はがんではないケースも含まれています。

 「Yahoo!ニュース オーサー」への中山裕次郎さんの投稿によると、この5年生存率が極めて低いのがすい臓がんとのことです。前立腺がんが97.5%、乳がん(女性のみ)が91.1%、胃がんが64.6%である一方で、すい臓がんは7.7%で10%以下です。これほどまでに低くなってしまう要因は、3つの要素があるようです。

(1)早期発見が難しいこと
(2)治療がしにくいこと
(3)再発しやすいこと

 まず(1)ですが、食べ物が通る胃腸などと違い、すい臓は消化液やホルモンを出す臓器のため、何かの機会に違和感を感じる機会が少ないといわれます。(2)は各臓器の手術の中で最も難易度が高く、切除となると腹腔鏡手術も普及していない点が挙げられます。(3)はすい臓が果たす役割によって転移がしやすく、全身に広がって再発しやすくなってしまうということです。この3点がすい臓がんの完治を難しくするといわれている要因です。

 厄介なすい臓がんですが、検査を受けることが発見のきっかけになると紹介しているのは光学メーカー「オリンパス」のサイトです。検査方法には血液検査で酵素や腫瘍マーカー値、ビリルビン値の異常を調べたり、CT検査によって影があるかを診断する方法もあります。何はともあれ、こまめな診断こそが早期発見につながるのは間違いありません。

<参考サイト>
・がんのきほん:がんでよく使う5年生存率とは
http://www.gan-info.com/94.html
・Yahoo!ニュース:なぜすい臓がんの治療は難しいのか?医師の視点
https://news.yahoo.co.jp/byline/nakayamayujiro/20180109-00080269/
・オリンパス光学工業:臓がん(膵がん)の検査
http://www.onaka-kenko.com/various-illnesses/pancreas/pancreatic-cancer/02.html
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