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DATE/ 2018.02.19

おじさんは知らないフリマ「メルカリ」の世界

 フリマアプリ「メルカリ」が世界1億ダウンロードを突破!

 そんなニュースを見て、「メルカリ?なんだ、それ?」と、あわててしまったおじさんも多いのではないでしょうか。

 ニールセンの調査では、女性の間では楽天、Amazonに次ぐ第三のマーケットになっているのがメルカリ。男性利用者は、女性の半数に満たないと報告されています。また、別の調査ではメルカリの主要ユーザーは18歳から39歳までの女性とも言われます。なぜ、若い女性ばかりに人気があるのか?メルカリのアウトラインをのぞいてみましょう。

毎日100万品の新商品と出会う「フリマ」ワールド

 フリマアプリと呼んだように、メルカリはフリーマーケットのサービス。アプリをダウンロードすれば、だれでも簡単に会員登録ができ、その場で商品の売買にのぞむことができます(閲覧だけならアプリなしでも可能)。年会費や面倒な手続きは不要。まさに、散歩のついでにガレージセールをのぞいてみるようなライトな感覚です。

 ところが、実際にメルカリ上で毎月売買される金額は100億円以上、毎日新しく出品される商品数は100万品以上にも上るといいます。そんなにたくさんの商品、「どうやって選べばいいのだ」と思ってしまったあなた、ゴメンナサイ。おじさん丸出しです。

 女性のショッピングの主流は、もともと目的なんてないもの。なんとなく目についたものがあれば、他と比較して、自分のニーズと懐具合に相談する。迷ってみて、「やっぱりやめた」となることもあれば、「あれ、欲しかったなぁ」といつまでも後ろ髪を引かれることも。そんな気分にぴったりなのが、毎日「新着順」に商品写真が流れてくるメルカリのシステムなのです。

 オークションサイトとして人気を集めてきた「ヤフオク」のようにだれかと値段を競る必要もなく、ヒートアップして失敗する危険もありません。逆に「値段交渉」として、値切って見ることも可能。購入手続きはボタンひとつで、支払いがクレジットカードなら手数料も不要(コンビニ/ATM/キャリア決済の手数料は100円/回)。支払いも受け取りもメルカリを通して行われるので、「商品を発送したのに代金が支払われない」「支払ったのに商品が届かない」等の支払いに関するトラブルを心配する必要がありません。

スマート断捨離の味方にもなる出品の手軽さ

 スマホで簡単操作のメルカリは、買う側には「便利・手軽」なライトさが受けていますが、売る側には手軽なお小遣い稼ぎを兼ねた「スマート断捨離」としても利用されています。メルカリが2017年秋におこなったアンケートでは「自宅にいながら出品の手続きができる」「スマホさえあればすぐに始められる」「自分にとっては不用品でも、必要な人が買い取ってくれることが多い」のが魅力と答えてる人が多数でした(2017年11月10~12日、全国20~69歳男女を対象にインターネット調査)。

 まさに「捨てる神あれば拾う神あり」なのですが、クリスマスの後のメルカリは、「プレゼント出品祭り」「大処分市」とも呼ばれています。気のない相手からのプレゼント、気に入らないアクセサリーを直行で「スマート断捨離」してしまう人が多く、ティファニーや4℃などで検索すると、ざくざく「現金化」希望の人が見つかるからです。

 ヤフオクなどと比べると、メルカリの売り手にかかる負担は最小限と言ってもいいほどです。友人や親戚に到来物をおすそ分けするよりも楽なぐらい。それは「らくらくメルカリ便」「ゆうゆうメルカリ便」など、宅配業者とメルカリの間のシステムが整っていて、宛名書き不要、送料も全国一律で割安、匿名配送も可能になっているからです。

 「3分でかんたん売り買い」がキャッチフレーズのメルカリでは、売る側も買う側もアマチュアであることを望んでいます。なので、コンサートなどのチケットを定価以上で売ることは禁止されていますし、同じような商品を同時に多数出品すると、出品物が検索結果に出なくなったりする「業者認定」にあってしまうとの話です。

メルカリの「みんなの意見」は、マニアに勝つ?

 メルカリに流れる商品の種類は、とにかく多種多様。例えば「ブランド紙袋」はOLのお弁当箱を入れるサブバッグとして人気の定番商品ですし、「松ぼっくり」や「流木」は、リース材料やインテリア素材として取引されます。「ラップやトイレットペーパーの芯」は、子どもの工作用に、とメルカリはハンドメイド派の強い味方にもなっています。

 禁止されているのは、「偽ブランド品」を始め、知的財産を侵害するもの、盗難品などのほか、危険物や18禁のアダルト商品、使用済みの下着類、現金やチャージ済みのプリペイドカード、物品ではない情報やサービスの提供など。これまでにも「額面以上の値段のついた現金」「宛名のない領収書」「ブルセラ用途らしいセーラー服」など、いかがわしい出品があると途端にtwitterでアップされるため、事務局が目を光らせ、出品キャンセルや禁止品一覧への追加がなされてきました。

 最近「これはいいの?」と話題になったのが、読書感想文や自由研究の完成品。小学校の課題図書読書感想文は300円ぐらい、夏休みの工作品やチョウチョの標本などは数千円で取引されていました。2017年夏にはあまりに増えたことから、今では禁止アイテムとなっています。

 メルカリではユーザー同士がやり取りする「メルカリボックス」を設置。その中で、「あれはどうかと思う」「これはいい」とみんなの意見が集約されていくのも、アマチュアを大切にする「フリマ精神」のあらわれなのでしょうね。

<参考サイト>
・メルカリガイド
https://www.mercari.com/jp/help_center/
・nielsen:TOPS OF 2017: DIGITAL IN JAPAN ~ニールセン2017年 日本のインターネットサービス利用者数ランキングを発表~
http://www.netratings.co.jp/news_release/2017/12/Newsrelease20171219.html

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